2017.5.19
肺がんのステージ4とは、脳や肝臓、骨などにがんが転移した段階で、一般的には「末期」と呼ばれます。
中にはステージ4でもほとんど症状のない人もいますが、多くは原発巣のある肺の症状に加え、転移した先によってさまざまな症状が出てきます。
転移がある以上、治療は基本的に難しく、抗がん剤を使った化学療法と、痛み止めなどの緩和ケアが中心です。
肺がんのステージ4の状態について、詳しく解説していきましょう。
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日本肺癌学会編の「臨床・病理 肺癌取扱い規約」によると、肺がんのステージ4とは、「肺の中の別の場所、胸膜播種、悪性胸水や、脳、肝臓、副腎、骨などへ転移がある」状態と定められています。
多くのがんでは、脳、肝臓、骨などに遠隔転移している段階をステージ4といいますが、肺がんの場合、同じ肺の中で別の場所に転移している場合も、ステージ4に分類されます。
さらに、がん細胞が胸膜にちらばったように広がる「播種」を起こしている場合や、がん細胞の混じった胸水(悪性胸水)が溜まっている場合も、病巣の大きさに関わらずステージ4に分類される点が特徴です。
肺がんのステージ4の症状は、人によってさまざまですが、以下のようなものが代表的です。
頑固な咳や、血痰、胸痛、呼吸のたびに胸がゼーゼーする「喘鳴(ぜんめい)」、息切れなどは、肺がんの代表的な症状です。
ただし、人によっては末期になるまで進行しても、こうした症状がほとんど出ないこともありますし、出たとしてもただの風邪と間違えてしまうことがあります。
特に、非喫煙者に多い「肺野型」の肺がんでは、咳や痰などの症状が出にくいため、注意が必要です。
さらに進行して胸水が溜まるようになると、呼吸困難がひどくなり、酸素療法が必要になることもあります。
肺がんが骨に転移すると、その部位に痛みが出るほか、ちょっとした刺激で折れてしまう「病的骨折」を起こすことがあります。
特に肺がんが転移しやすいのは、肩関節や脊椎、骨盤、股関節などです。中には、腰痛を訴えて病院にかかったところ、ステージ4の肺がんが発見されたというケースも少なくありません。
肺がんが脳に転移すると、頭痛や吐き気、めまいのほか、部位によってさまざまな症状が現れます。
たとえば言語能力を司る部位に転移すれば、言語障害が出やすくなりますし、他にも手足のしびれや人格の変化など、症状は多岐にわたります。
肺がんは、ホルモン分泌に関わる副腎という臓器に転移することもあります。
副腎転移を起こすと、ホルモン分泌の乱れによって、多毛や骨粗しょう症などのさまざまな症状が起こり得ます。
また、顔だけに脂肪がついて丸くなる「ムーンフェイス」と呼ばれる症状が出ることもあります。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど症状が出にくいため、肺がんが転移しても初期のころはほとんど症状がありません。
進行すると、食欲不振や体重減少、発熱、右上腹部痛などのさまざまな症状が出てきます。
また、がんが胆管をふさいでしまうと、胆汁の流れが悪くなることで、皮膚や白目などが黄色くなる「黄疸」という症状が出ることもあります。
さらに進行すると、腹水がたまっておなかが大きく膨れ上がります。
どのがんでも、ステージ4の生存率はそれほど高くありません。
特に肺がんの場合は予後が厳しく、「全国がんセンター協議会の生存率共同調査(2016年2月集計)」によると、ステージ4の5年生存率はわずか5.0%と報告されています。
つまり、5年後の時点で生存できるのは、100人中5人ということです。
ステージ4の肺がんでは、基本的に手術はできず、抗がん剤と緩和ケアが治療の中心となります。
放射線療法も、手術と同じ局所療法の一つですので、ステージ4ではあまり行なわれません。
もっとも優先的に検討されるのは、抗がん剤です。肺がんの場合、シスプラチンやカルボプラチンなどの「プラチナ製剤」を中心に、複数の薬を組み合わせます。
まだ治療成績は十分とはいえませんが、年々新しい効果的な薬が登場していることもあり、人によっては腫瘍を大幅に縮小できることもあります。
また、ステージ4になると痛みや呼吸困難などのつらい症状が出る患者さんが多いため、それを和らげるための緩和ケアも重要な治療の一つです。
たとえば、つらい痛みに対してはモルヒネなど、痛みの強さに応じた最適な鎮痛剤が使われますし、呼吸困難に対しては酸素療法が行なわれます。
その他、最近では「免疫療法」という新しい治療法を試す患者さんも増えています。
免疫療法とは、もともと体に備わっている免疫力を人工的に上げることで、がんと戦う治療法です。
まだ保険が適用されていないものがほとんどですが、一部の免疫療法は先進医療に指定されています。
参考文献
がん保険はがんになってからでは加入できません。またがん保険は医療保険と違い、持病や既往歴があっても問題ないケースが多いのが特徴です。
がんになった際の治療費が心配な方は、がんになる前に一度資料請求をして検討してみるとよいでしょう。
FPが選ぶおすすめがん保険人気ランキングの上位2社をご紹介しておきます。
参照:医師の転活
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