膀胱がんの予後と5年生存率~医学的な病状の見通し~

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2016.12.25

後藤 宏顕

この記事の監修者

マイシティクリニック 院長 平澤 精一

予後

膀胱がんはがんの中でも初期症状が現れやすく、早期に発見されるケースが多いがんです。

そのため、がんがすでに進んでしまっているケースは少なく、早期の段階で治療を開始できることが多いので、治療後の予後はよい傾向にあります。

ただし、膀胱がんは再発が多いがんでもありますので、治療後も定期的な検査は欠かせません。

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膀胱がんの5年生存率

がんの種類 ステージ 5年実測生存率(%) 5年相対生存率(%)
膀胱 I


IV
不明
76.7
63.1
49.8
14.7
55.0
63.5
91.9
73.2
59.0
17.4
65.4
75.4

※ 公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計'15」全国がん(成人病)センター協議会加盟施設における5年生存率(2004~2007年診断例)より引用

膀胱がんはステージI期では5年生存率が約95%を超えており、早期の段階で発見すれば、ほとんどの患者さんが治すことができるがんです。

ステージⅢ期以降は5年生存率が急激に下がる傾向にありますが、それでも全体を平均すると約60%ありますので、すべてのがんの中では比較的予後が良いがんであるといえます。

膀胱がんの再発率の高さの原因とは

再発

膀胱がんの治療で、膀胱を温存して治療した場合、再発率が極めて高くなると言われています。

その再発率は、再発しない人のほうが珍しいと言われるほどです。なぜ膀胱を温存治療したことで再発率が高くなるのでしょうか。

膀胱がんの再発に関して、膀胱自体ががん細胞が増殖しやすい環境であるため、治療から逃れた小さながんが再発しやすいと言う説と、膀胱自体ががん細胞の種を広げる種まきのような動きをしているという説があります。

現在有力視されているのは、この膀胱自体ががん細胞を広げる動きをしているという説です。膀胱は尿を貯めている間は大きく膨らんでいますが、排尿することでつぶれて小さくなります。

このつぶれた時に、膀胱壁の粘膜上皮がお互いにくっつくため、このときにくっついた粘膜を介して小さながん細胞が膀胱内に広がっていき、がんが再発するのではないかと考えられています。

様々な治療を経て膀胱がんを克服したと思っても、術後数年間は定期的に受診し、再発、転移がないかを見て行くことが非常に重要です。再発しても、早期に発見し治療することで生存率を高めることができます。

現在、手術の際に膀胱に繋がる血管を遮断し、抗がん剤を膀胱と周囲の組織にだけ循環させることより、抗がん剤の効果を上げるという新しい手術法の試みが行われており、このような新しい治療法を選択することで膀胱がんの再発率を低くすることができるようになると期待されています。

膀胱全摘出は治療においては最後の選択肢

膀胱を温存することで再発する可能性がかなり高くなる膀胱がんですが、それでも治療にあたっては、最初から膀胱を全摘出することを考えるわけではありません。

がんの症状が進み、膀胱を全摘出するしか方法がないという場合にのみ、膀胱の全摘出という選択肢が選ばれることになるのです。

具体的には、病巣の深さが筋層・漿膜にまで達している湿潤がん(非乳頭がん)が適応となります。

表在がんと浸潤がん

表在がん(乳頭がん)については、病巣が深く浸潤していないので、通常は膀胱を全摘出する必要はありませんが、悪性度が高いと診断された場合や、再発を繰り返すうちに悪性度が高まったり、また、病巣が深くまで浸潤するようになったりするタイプのものなどは全摘出を行うことがあります。

膀胱を全摘出すると、尿を溜めておく場所がなくなりますので、膀胱の代わりとなる尿路変向術も同時に行います。

膀胱の全摘出と同時に行う尿路変向術とは?

通常、腎臓でつくられた尿は膀胱で溜められた後、尿道を通って排出されます。膀胱を全摘出する場合は、この流れを変えて、尿が体外へ排出されるようにする必要があります。そのための手術が尿路変更術です。

尿路変更術

尿路変向術には、次の5つの方法があります。

尿管皮膚造瘻術

尿路変向術の中でも一番簡単な方法で、腎臓から出ている尿管を、直接腹部の皮膚につないで、ストーマ(尿の出口)をつくり、そこにパウチ(尿を溜める袋)つける方法です

回腸導管増設術

腸の一部を切り取って、それに尿管をつなぎ、切り取った腸の一方は縫合して塞ぎます。もう片方を腹部の皮膚に縫合して、それをストーマにし、そこにパウチをつけます。

尿管S状結腸吻合術

尿管をS状腸とつなぎ、尿は肛門から排泄されるのでQOL(生活の質)向上につながりますが、感染症や逆流の可能性もありますので、現在ではあまり行われていません。

導尿型新膀胱造設術

腸の一部を使って袋をつくり、それを膀胱の代わりにするものです。腸の一方はストーマのためにお腹に出します。

膀胱の代わりとなるものがあるので、パウチをつける必要はありませんが、尿が溜まったら定期的にストーマから尿を排出させる必要があります。

自排尿型新膀胱増設術

導尿型新膀胱造設術と同じく、腸の一部を使って袋をつくり、それを膀胱の代わりにします。そして、尿管や尿道をその袋につないで、通常と同じように尿道から尿を排出するようにします。

ただし、この方法では尿意を感じることはないので、コツをつかむまでは尿失禁を伴うことがあります。

どの方法にも一長一短があり、不便を強いられることは否めません。ですから、膀胱がんの再生率は高くなるとはいえ、よほどがんが進行していない限りは、膀胱を温存する治療法が行われます。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス | 膀胱がん
  2. 公益財団法人 日本医療機能評価機構 Minds 膀胱癌診療ガイドライン 2015年版
  3. がん研有明病院 がんに関する情報 膀胱がん
  4. 国立がん研究センター がんの統計’15
  5. 慶應義塾大学病院 KOMPAS | 膀胱癌
  6. その他

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2017.6.12更新

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