甲状腺がんのステージ・病気の進み方・悪化の仕方

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2016.12.25

笠井 創

この記事の監修者

笠井耳鼻咽喉科クリニック・自由が丘診療室 院長 笠井 創

甲状腺がんの病期の進み方・悪化の仕方は、がんの種類により異なります。

甲状腺がん患者の約90%を占める乳頭がんの場合には、進行がゆるやかで転移の可能性も低いという特徴があります。

首のしこりにより異常に気付きやすいですが、約10%の確率で非常に悪性度が高い未分化がんに変異することもあります。

未分化がんは、進行が急激でほとんどの患者が半年以内に死亡するという怖い種類の甲状腺がんです。高齢者ほど変異の可能性は高くなります。

髄様がんでは、遺伝による家族性である場合が多く、1か所ではなく甲状腺全体にがんが多発する傾向があります。悪性度はさまざまです。

濾胞(ろほう)がんでは、乳頭がん同様進行が緩やかなタイプですが、乳頭がんよりは転移しやすく、肺や骨などに遠隔転移しやすいという特徴があります。

甲状腺がんのステージ・進行度

甲状腺がんのステージ(進行度)は、がんの広がり・転移の有無・遠隔転移の有無により、下記のように分類されます。

ステージ 状態
ステージI がんが甲状腺内に留まっており、直径が1cm以下である
ステージII がんが甲状腺内に留まっており、がんの直径が1~4cm以内である
ステージIII がんが首のリンパ節へ転移している
ステージIV 甲状腺から遠く離れた臓器や組織へ遠隔転移している

甲状腺がんのステージがI・II・Ⅲ期の場合は、外科療法により甲状腺の全部又は一部を摘出します。場合によっては、頸部リンパ節を同時に切除する場合もあります。

状況によって、放射線療法や化学療法を併用することもあります。

ステージIV期以降の場合は治療が難しくなりますので、症状を抑えたり緩和させる対症療法や緩和ケア療法を行います。

なお、悪性度が非常に高い未分化がんでは、ステージ分類がありませんが、ステージIV期よりも悪性度が高く、27時間でがんの大きさが約2倍になるケースもあります。

治療法は未だ確立されておらず、対症療法や緩和ケア療法などを行い、治療はできる限りの延命が主目的となります。

乳頭がん・濾胞がんは年齢別でステージ内容が異なる

45歳未満の場合のステージ

45歳未満の患者の甲状腺乳頭がん、甲状腺濾胞がんに対しては以下の病期が用いられます。

Ⅰ期

腫瘍の成長度合いとは無関係に甲状腺内に限局しており、併せて甲状腺と隣接している組織細胞やリンパ節にまで湿潤しているケースもあります。がんの転移はありません。

Ⅱ期

腫瘍の大きさは様々で、がんは甲状腺から肺や骨などに遠隔転移しています。

45歳以上の場合のステージ

45歳以上の患者の甲状腺乳頭がん、甲状腺濾胞がんに対しては以下の病期が用いられます。

Ⅰ期

がん組織自体は甲状腺内にのみ限局して存在し、大きさは概ね2cm以下に留まります。

Ⅱ期

がん組織自体は甲状腺内にのみ限局しますが、大きさがI期とは変わり大きくなります。その大きさは2cm以上4cm未満となります。

Ⅲ期

以下のいずれかが認められる状態です。

  • 腫瘍の大きさがは4cm以上になるが、がんの場所は甲状腺内にのみ限局して存在している。もしくは、腫瘍の大きさは考慮せずに、甲状腺に隣接する組織にまで湿潤しているが、リンパ節までは湿潤していない状態であれば、これもⅢ期と診断される。
  • 腫瘍の大きさは考慮せずにがんが甲状腺のすぐ外側の組織部分まで湿潤し、かつ気管または喉頭付近のリンパ節部分にまで湿潤している。

ⅣA期

以下のいずれかが認められる状態がⅣA期と診断されます。

  • 腫瘍の大きさは考慮せず、がんが甲状腺の外側部分にまで湿潤している。併せて皮膚、気管、食道、喉頭、反回喉頭神経下の組織までがんが湿潤しているか、リンパ節まで湿潤している。
  • 腫瘍の大きさは考慮をせずに、甲状腺のすぐ外側の組織部分にまでがんが湿潤している。併せて、頸部または肺周辺の気管支リンパ節まで湿潤している。

ⅣB期

がんは脊柱前部または頸動脈周囲の組織、肺周辺の血管にまで湿潤している。

ⅣC期

腫瘍の大きさは様々でがんは肺、骨などに遠隔転移している。

髄様がんのステージ・進行度

髄様がんは、甲状腺がん全体の約2%と発症率はかなり低いがんです。しかし、髄様がんの発生は遺伝によるものが多いので、家族に髄様がんになった方がいる場合は、注意が必要になります。

髄様がんのステージは、次のようになります。

ステージ 状態
0期 甲状腺内にがんが認められないことがある。特殊な検査でのみ発見が可能
Ⅰ期 甲状腺内にがんが留まっており、大きさは2cm未満である。
Ⅱ期 甲状腺内にがんが留まっており、大きさは2cm以上、4cm未満である。
Ⅲ期 がんの大きさが4cm以上になっており、がんが甲状腺のすぐ外側にまで広がっている。リンパ節への転移がみられない場合と、周辺のリンパ節にまでがんが転移している場合とがある。
Ⅳ期 甲状腺の外側にもがんが転移している。頸動脈の外側のリンパ節や、胸の中心上部のリンパ節にまで転移している。また、がんが皮膚や咽頭、食道、気管、反回神経にまで広がっている。 

ステージⅢ期までは、外科手術によって左右にある甲状腺のうち、がんがある方を取り除くことによって治療が可能となります。

しかし、がんの大きさが大きくなるステージⅢ期になると甲状腺全体を摘出することになります。

また、がんがリンパ節への転移がみられる場合は、手術によって取り除きます。

手術で摘出できなかったがんは、放射線療法を併用することでがん細胞を死滅させます。

未分化がんのステージ・進行度

甲状腺がんの全体の約2%が未分化がんです。発症率は高くないものの、早期の段階から周辺組織への浸潤がみられる進行がとても早いがんです。

甲状腺がんの中でも悪性度が高いがんで、長年にわたってすでに存在していた乳頭がんや濾胞がんが突然性質を変えて未分化がんに転化すると考えられています。60歳以上の高齢者が発症しやすい傾向にあります。

未分化がんのステージは次のとおりです。

ステージ 状態
ⅣA期 甲状腺内にがんが留まっている。(がんがリンパ節へ拡がっていることもある。) 
ⅣB期 甲状腺の外側にまでがんが拡がっており、リンパ節への転移がみられることがある。
ⅣC期 がんが離れた臓器にまで拡がっており、肺や骨などに転移がみられる。 

ステージⅣA期までは、外科手術におってがんの摘出が可能ですが、がんの拡がりがみられるⅣB期やⅣC期になると、外科手術による治療は不可能になります。

ですから、ⅣB期以降は、放射線療法と化学療法による治療が主になります。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス | 甲状腺がん
  2. 公益財団法人 日本医療機能評価機構 Minds 甲状腺腫瘍診療ガイドライン 2010年版
  3. がん研有明病院 がんに関する情報 甲状腺がん
  4. 国立がん研究センター がんの統計’15
  5. 慶應義塾大学病院 KOMPAS | 頭頚部がん
  6. その他

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