乳がん「ステージ4」の状態とは?

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2017.3.5

小関 淳

この記事の監修者

医師 小関 淳

乳がんのステージ4とは、乳房以外の別の臓器にがんが転移している段階です。

乳がんが転移しやすい臓器としては、骨、肺、肝臓、脳などがあります。

がんでステージ4というと、一般的には「余命いくばくもない状態」というイメージがありますが、乳がんは進行が比較的ゆるやかなタイプも多いため、必ずしも末期的な状態とは限りません。

もちろん楽観はできませんが、最新の治療を組み合わせることで、がんと長く共存できる患者さんが増えています。

乳がんのステージ4の状態について、詳しく解説していきましょう。

乳がんのステージ4とはどのような状態か?

日本乳癌学会編の「臨床・病理 乳癌取扱い規約」によると、乳がんのステージ4とは「別の臓器に転移している」段階と規定されています。

また、乳がんの転移しやすい臓器として、骨・肺・肝臓・脳などが挙げられています。

つまり、腫瘍のサイズやリンパ節転移の状況などにかかわらず、乳房以外の部位にがんが転移している場合はすべてステージ4と診断される、ということです。

特に乳がんの転移は、骨から始まるケースが多くみられます。患者さんの3割近くに、骨転移が起こるともいわれるほどです。

乳がんのステージ4の症状

乳がんのステージ4では、転移した先によって以下のような症状がみられます。

骨転移の症状

乳がんでもっとも多い骨転移では、まず転移した部位の痛みが出てきます。

最初は軽い痛みから始まりますが、しだいに強くなっていき、鎮痛剤を投与しないと日常生活に支障をきたすまでになります。

また、がんが転移した骨はもろくなるため、少しの動作で骨が折れてしまう「病的骨折」も起こりやすくなります。

その他、骨から血中にカルシウムが溶け出すことで「高カルシウム血症」となり、便秘や吐き気、多飲多尿などの症状が出る場合もあります。

肺転移の症状

乳がんが肺に転移すると、長く続くがんこな咳や、血痰、胸痛、息切れなどの症状が出やすくなります。

特に胸膜に転移すると、胸水が溜まり、呼吸困難や発熱を起こすこともあります。

肝転移の症状

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、症状の出にくい丈夫な臓器ですので、乳がんが転移しても初期のころにはほとんど症状がみられません。

しかし進行すると、上腹部痛やみぞおちの圧迫感、食欲低下、倦怠感などが現れるようになります。

また、腫瘍によって胆汁の通り道である胆管がふさがれると、白目や皮膚が黄色っぽくなる「黄疸」という症状が出るほか、腹膜に転移して腹水が溜まると、おなかがパンパンに膨れ上がることもあります。

脳転移の症状

脳転移の症状は、脳のどこに転移したかによってさまざまです。

頭痛やめまい、吐き気などをはじめ、言語障害や視覚障害、味覚障害、運動障害、人格の変化など、転移した部位によって多様な症状が起こり得ます。

ステージ4の乳がんの生存率

「全国がんセンター協議会の生存率共同調査(2016年2月集計)」によると、乳がんのステージ4の5年生存率は、33.0%と発表されています。

つまり、100人中70人近くは、5年以内に命を落としてしまうということです。

ただし、この数値はがん全体の中では、比較的高いほうだといえます。ステージ4になると、5年生存率が20%を下回ってしまうがんが多い中、乳がんでは30%以上をマークしているからです。

また、この数値は2005年~2007年の間に乳がんの治療を受けた患者さんを対象としたものですので、現在ではさらに数値が上がっている可能性があります。

実際、乳がんでは新しい治療薬がどんどん登場していることもあり、治療成績は確実に向上していますので、ステージ4で発見された患者さんでも、うまくがんと付き合いながら長く生存しているケースも少なくありません。

ステージ4の乳がんの治療法

ステージ4の乳がんでは、遠隔転移している以上、基本的に手術はあまり行なわれません。

抗がん剤やホルモン薬、分子標的薬などを使った薬物療法が中心となり、それでうまく腫瘍が縮小すれば、その後で手術ができる可能性もあります。

ただし、転移先の病巣を切除できると判断された場合は、局所コントロールのための手術が行なわれる場合もあります。

根治を目的とした手術ではありませんが、体の中から少しでも腫瘍を減らすことで、QOLの改善が期待できます。

また、ステージ4になるとつらい症状が色々と出てくることが多いため、それを緩和するためのケアも重要になります。たとえば、痛みに対する鎮痛剤の投与が代表的です。

痛みの程度が強い場合は、モルヒネなどの医療用麻薬が使われることもあります。

モルヒネと聞くと、「依存性がある危険な薬」というイメージを持つ人も多いのですが、実際は医師の管理のもとで適切に使用する限り、そのような心配はほとんどありません。

また鎮痛効果も高く、痛みのレベルに応じた適切な薬を使うことで、8割以上の患者さんの痛みが和らぐともいわれています。

乳がんは近年、日本女性の罹患者数が急増していることもあって、医療の進歩が目覚ましいがんの一つです。

タイプにもよりますが、乳がんは進行がゆるやかなことも多いため、がんとうまく付き合いながら長く共存できる人も増えています。

ステージ4と診断されても希望を捨てず、受けられる治療は前向きに受けるようにしましょう。

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