乳がんの種類と分類

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2017.2.10

小関 淳

この記事の監修者

医師 小関 淳

乳がんは悪性度の違いにより、下記の2種類に分類されます。

  • 浸潤性乳がん
  • 非浸潤性乳がん
浸潤がんと非浸潤がん

浸潤性乳がんの特徴

乳房のしくみ

浸潤性乳がんは、周囲の組織を浸潤しながら広がり、リンパや血液の流れに乗って、リンパ節・骨・肺・肝臓・脳などに転移する可能性があります。

しこりをつくるタイプが多く、痛みや乳房のえくぼなどの症状がみられます。ただし、浸潤性乳がんでも、症状が全くでない場合もあります。

乳がんは、がんの中では進行が緩やかなタイプですが、早期の段階からわきの下にあるリンパ節に転移しやすく、わきの下のしこりで気づくケースが多いです。

非浸潤性乳がんの特徴

がんが腺小葉や乳管内に留まっており、転移する可能性が低い、ごく早期の乳がんです。

しこりをつくらないタイプが多く、症状はほとんどみられないため、乳がん検診(マンモグラフィー)などで、偶然発見されるケースが大半です。

非浸潤性乳がんの発見率は年々増加しており、非浸潤性乳がんの段階で治療を開始すれば、ほぼ100%治すことができますが、放っておくと、浸潤性乳がんに発展するケースもあります。

乳がんの発生部位

乳がんの発生部位

がんができる部位では、乳房の外側上部が最も多く、発生頻度は約46%です。

外側上部には、乳腺組織が多く集まっているため、がんが発生しやすいと考えられています。

次いで、内側上部:約19%、外側下部:約14%、乳頭直下:約4%、内側下部:約6%となっています。

左乳房と右乳房では、左側の乳房にやや多く発生します。

乳房パジェット病と炎症性乳がん

乳がんの中には、乳房パジェット病と炎症性乳がんという珍しい種類があります。発生率は、どちらも乳がん全体の1%以下とごく稀です。

乳房パジェット病は、 しこりがない場合が多く、乳頭(ちくび)が炎症したように赤くなり、皮膚がはがれ「びらん」という状態になります。乳房パジェット病は、皮膚病ではなく乳がんの1種です。

炎症性乳がんは、しこりがない場合が多く、乳房が広範囲に赤くはれ、皮膚がむくんで毛穴が目立つ状態(オレンジ皮様皮膚(かわようひふ)や、豚皮膚様(ぶたひふよう)と呼ばれます。)になります。

がん細胞の性質による「サブタイプ分類」

近年、乳がんの治療では、一人ひとりの患者さんのがん細胞の性質で分類する「サブタイプ分類」が広く活用されるようになりました。

乳がんには、全部で5つのサブタイプがあり、「ホルモン受容体」「HER2タンパク」「Ki67値」のそれぞれの項目を調べることによって、どれに属するかが決まります。

サブタイプ分類 ホルモン受容体 HER2 Ki67値
ER PgR
ルミナルA型 陽性 陽性 陰性
ルミナルB型
(HER2陰性)
陽性または陰性 弱陽性または陰性 陰性
ルミナルB型
(HER2陽性)
陽性 陽性または陰性 陽性 低~高
HER2型 陰性 陰性 陽性
トリプルネガティブ 陰性 陰性 陰性

がん情報サービス「乳がん サブタイプ分類」をもとに再作成

サブタイプを決める3つの項目について、少し詳しくご説明します。

ホルモン受容体

ERはエストロゲン、PgRはプロゲステロンという女性ホルモンのことで、がん細胞にこれらの受容体がある場合は陽性、ない場合は陰性となります。

乳がんの約7割は「エストロゲン依存性」といって、エストロゲンの影響で増殖するタイプです。

エストロゲン受容体がある、もしくはエストロゲンとプロゲステロンの両方の受容体がある場合は、それらのはたらきを抑えるホルモン療法が積極的に行なわれます。

HER2

HER2(Human Epidermal growth factor Receptor type2)とは、細胞の増殖をコントロールするタンパクのことです。

正常な細胞にもわずかに存在していますが、過剰に発現するとがん化につながると考えられています。

特に乳がんでは、がん細胞にHER2タンパクが過剰発現している場合(陽性)、再発のリスクが高くなるため、HER2の抗体薬である「トラスツマブ」という薬がよく使われます。

Ki67値

Ki67とは、細胞の増殖スピードを表すマーカーで、値が高ければ高いほどがん細胞の悪性度が高く、再発しやすいと判断されます。

特に、ホルモン受容体が陽性、かつHER2が陰性の患者さんにおいて、Ki67値は術後に追加治療を行なうかどうかの重要な指標になるため、高値であれば術後の化学療法を追加することが推奨されています。

乳がんでは、上記3つの項目を調べた上でサブタイプ分類を行ない、それぞれに応じた治療法を検討します。

ちなみに、5つのサブタイプでもっとも多いのは、「ルミナルA型」で、全体の60~70%を占めます。

2つのホルモン受容体を持ち、細胞の増殖スピードが遅いという典型的なホルモン依存性の乳がんですので、ホルモン療法が効果的です。

一方、5つの中でもっとも治療が難しいといわれるのは、「トリプルネガティブ」というタイプです。ホルモン受容体・HER2がいずれも陰性のため、効果的な薬が少なく、従来型の抗がん剤による化学療法が中心となります。

ただし、抗がん剤がよく効けば、うまく治癒できる場合もありますので、サブタイプだけで乳がんの予後を決めることはできません。

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