乳がんの診断と検査 進行の仕方とステージ分類

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2017.1.6

及川 明奈

この記事の監修者

東京都済生会中央病院 乳腺外科 副医長 及川 明奈

ステージ

一般に乳がんは比較的緩やかに進行するものが多いですが、まれに早く大きくなるものもあります。

このように乳がんといっても色々なタイプがあり、様々な検査をして分類した上で、総合的に判断して治療方針を決定していくことになります。

乳がんは細胞の病気なので、病理検査でがん細胞がいると確認して診断されます。

そのがん細胞の形や配列の仕方などで分類する方法があります。→ 乳がんの種類

また免疫染色という方法を用いて、がん細胞そのものの性質を調べて分類する方法があります。これをサブタイプによる分類といいます。→ 乳がんのサブタイプ分類

さらにがんは進行性の病気ですから、診断された段階でどれくらい進行しているのかという広がりの検査も重要になります。

これをステージ分類(病期分類)といいます。ここではこのステージ分類の話をします。

乳がんの進行の仕方とステージ分類

乳がんは最初は乳房でしこりを作ることが多いですが、しこりを作らず広がっていくものもまれにあります。がん細胞が乳房の外に広がることを転移といいます。

がん細胞はリンパや血液の流れに乗って転移します。乳がんが転移しやすいのはリンパ節、肺、肝臓、骨、脳などです。

病気の元は乳がん細胞なので乳房以外の場所に転移しても乳がんの治療をすることになります。

乳がんは他のがんと比べると早い段階から乳房の外にがん細胞が広がりやすいことが知られています。

乳がんが1番最初に転移するリンパ節をセンチネルリンパ節といい、わきの下(腋窩(えきか)といいます)にあります。

乳房のしこりが小さくてもリンパ節に転移していることもまれにあります。ごく稀ですがリンパ節転移だけで、乳房にしこりの見つからないものもあります。

こういう乳がんの広がりを検査して総合的に評価し、がんが見つかった時の進行度を分類したものをステージ分類(病期分類)といいます。

ステージ分類は乳房内のしこりの大きさ(T)、リンパ節転移の程度(N)、他の臓器への遠隔転移の有無(M)によって構成されています。ですのでTNM分類とも呼ばれます。

UICC(国際対がん連合)による TNM分類の他、日本では日本乳癌学会の乳癌取り扱い規約によるTNM分類がよく用いられます。

このステージ分類によって生存率のデータが集計されています。→ 乳がんのステージ分類と5年生存率

乳がんのステージ分類を調べるための検査

乳房のしこりの大きさは、触診や乳房超音波検査、マンモグラフィ、乳房MRIなどによって総合的に判断されます。

リンパ節転移の有無は超音波検査やCTスキャン、MRIなどによって判断します。またセンチネルリンパ節を摘出生検して転移の有無を調べることもあります。

遠隔転移の有無は、CTや腹部超音波などの他、骨シンチグラフィなども用いて判断します。最近はPET-CT検査で診断することもあります。

※ 乳癌のTNM分類(乳癌取り扱い規約 第17版 日本乳癌学会編)

遠隔転移の有無 転移なしM0 転移ありM1
リンパ節転移
/
しこりの大きさ
転移なしN0 わきの下(動く)
N1
わきの下(固定)または胸骨横
N2
わきの下と胸骨横両方または鎖骨上下
N3
 
乳管内Tis 0
しこりなしT0 IIA IIIA IIIC IV
2cm以下T1 I
2-5㎝以下T2 IIA IIB
5cm以上T3 IIB IIIA
胸壁固定または皮膚変化T4 IIIB

詳細にみてみましょう。

ステージ 状態
ステージ0 がん細胞が乳管内にとどまる 非浸潤がん
ステージI しこりの直径が2cm以下で、リンパ節へ転移がない
ステージII IIA しこりの直径が2cm以下で、わきの下のリンパ節へ転移している
しこりの直径が2.1~5cmでわきの下のリンパ節へ転移がない
IIB しこりの直径が2.1~5cmでわきの下のリンパ節へ転移している
しこりの直径が5cmより大きく、リンパ節へ転移がない
ステージIII IIIA しこりの大きさに関係なく、わきの下のリンパ節転移があり周辺の組織と強く癒着している
しこりの大きさに関係なく、胸骨近くのリンパ節に転移している
しこりの直径が5cmより大きく、わきの下のリンパ節へ転移している
IIIB しこりが大きさに関係なく胸壁に固定している
しこりの大きさに関係なく、乳房皮膚のむくみやくずれ・出血、皮膚結節などがある 炎症性乳がん
IIIC しこりの大きさに関係なく、わきの下のリンパ節と胸骨近くのリンパ節両方に転移している
しこりの大きさに関係なく、鎖骨上下のリンパ節に転移している
ステージIV しこりの大きさやリンパ節転移に関係なく、骨・肺・肝臓・脳など他の臓器へ遠隔転移している

日本ではステージ0~I期を早期がんといいます。

非浸潤がんはステージ0に該当し、ステージ1以上は浸潤がんになります。基本的に非浸潤がんは乳管内のみにとどまっているがんで、理論上転移する可能性はありません。

手術前と手術後でステージが変わることもあります。

ステージ

手術前のステージ分類は治療方針を決めるのに重要ですが、がん細胞を画像で検出するのに限界があるため、手術後の詳細な病理検査で診断が変わることもあります。

最終的には手術後に診断が確定しますので、その結果を踏まえて主治医と手術後の治療方針を相談することになります。

乳がんのステージ分類と治療

乳がん治療の基本は手術でがん細胞を取り除くことです。

ステージ分類以外の情報も加味して総合的な判断になりますが、一般的にステージ0、I、IIは手術が最初の治療になります。(早期がんは先進治療の対象になることもあります。)

手術の方法は主に乳房全摘と部分切除になります。しこりが小さい方が部分切除可能な場合が多いですが、しこりを作らず乳管内に広がっているため全摘が必要になることもあります。

ステージI以上は手術治療ののちに再発防止のために薬物治療を追加することが多いです。これを術後補助療法といいます。

ステージIII(まれにII)でも基本は手術治療なのですが、総合的に判断して先に薬物治療を行い、腫瘍が小さくなった後に手術をすることもあります。これを術前薬物療法といいます。

ステージIVは薬物治療や放射線治療が中心になります。生活の質を上げるために手術を行うこともあります。→ 進行した乳がんについて

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス | 乳がん
  2. 公益財団法人 日本医療機能評価機構 Minds 有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン 2013年度版
  3. がん研有明病院 がんに関する情報 乳がん
  4. 国立がん研究センター がんの統計’15
  5. 慶應義塾大学病院 KOMPAS | 乳がん
  6. その他

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