乳がんの予後と5年生存率~医学的な病状の見通し~

  • Facebook シェア
  • はてなブックマーク
  • LINE
  • Google+

2017.1.06

及川 明奈

この記事の監修者

東京都済生会中央病院 乳腺外科 副医長 及川 明奈

乳がんは他の部位のがんに比較すると5年生存率が高く、予後の良いがんと言えます。

早期発見もしやすい部位ですので、検診や自己触診などで早い段階で発見し、適切な治療を受けることが大切です。

一方で乳がんは早い時点で全身へがん細胞が広がりやすいこともわかっています。

また進行は非常にゆっくりなものが多く、手術後5-10年の晩期に再発する人がいることも知られています。

ですので、最初の治療から10年間は再発防止の治療を行ったりしながら、定期的に経過をみていくことが多いです。

乳がんのステージ分類

乳がんの広がりを検査して総合的に評価し、がんが見つかった時の進行度を分類したものをステージ分類(病期分類)といいます。

ステージ分類は乳房内のしこりの大きさ(T)、リンパ節転移の程度(N)、他の臓器への遠隔転移の有無(M)によって構成されています。ですのでTNM分類とも呼ばれます。

UICC(国際対がん連合)による TNM分類の他、日本では日本乳癌学会の乳癌取り扱い規約によるTNM分類がよく用いられます。

※ 乳癌のTNM分類(乳癌取り扱い規約 第17版 日本乳癌学会編)

遠隔転移の有無 転移なしM0 転移ありM1
リンパ節転移
/
しこりの大きさ
転移なしN0 わきの下(動く)
N1
わきの下(固定)または胸骨横
N2
わきの下と胸骨横両方または鎖骨上下
N3

 

乳管内Tis 0
しこりなしT0 IIA IIIA IIIC IV
2cm以下T1 I
2-5㎝以下T2 IIA IIB
5cm以上T3 IIB IIIA
胸壁固定または皮膚変化T4 IIIB
ステージ 状態
ステージ0 がん細胞が乳管内にとどまる 非浸潤がん
ステージⅠ しこりの直径が2cm以下で、リンパ節へ転移がない
ステージⅡ IIA しこりの直径が2cm以下で、わきの下のリンパ節へ転移している
しこりの直径が2.1~5cmでわきの下のリンパ節へ転移がない
IIB しこりの直径が2.1~5cmでわきの下のリンパ節へ転移している
しこりの直径が5cmより大きく、リンパ節へ転移がない
ステージIII IIIA しこりの大きさに関係なく、わきの下のリンパ節転移があり周辺の組織と強く癒着している
しこりの大きさに関係なく、胸骨近くのリンパ節に転移している
しこりの直径が5cmより大きく、わきの下のリンパ節へ転移している
IIIB しこりが大きさに関係なく胸壁に固定している
しこりの大きさに関係なく、乳房皮膚のむくみやくずれ・出血、皮膚結節などがある 炎症性乳がん
IIIC しこりの大きさに関係なく、わきの下のリンパ節と胸骨近くのリンパ節両方に転移している
しこりの大きさに関係なく、鎖骨上下のリンパ節に転移している
ステージIV しこりの大きさやリンパ節転移に関係なく、骨・肺・肝臓・脳など他の臓器へ遠隔転移している

乳がんの5年生存率

※ ステージとは、「がんの進行度合」という意味です。詳しくはこちらがんのステージ・病期・進行度

※ 5年実測生存率とは、「がんの治療を始めた人の中で5年後に生存している人の割合」という意味です。詳しくはこちらがんでよく使う5年生存率とは

※ 5年相対生存率とは、 「がんの人とがんではない性別と年齢が同じ人の5年後の生存率を比べた割合」という意味です。詳しくはこちら5年相対生存率とは

乳がんのステージごとの5年生存率をお示しします。

これは公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計'15」全国がん(成人病)センター協議会加盟施設における5年生存率(2004~2007年診断例)および10年相対生存率(1999-2002初回入院治療症例)より引用したものです。

ここで5年生存率と10年生存率では症例の年度や施設や数が違うため単純に比較できないことに注意してください。

データは女性の乳がんのみです。ステージ0はありません。

がんの種類 ステージ 5年実測生存率(%) 5年相対生存率(%) 10年相対生存率(%)
乳房(女)


IV
96.8
92.4
77.0
31.6
90.1
99.9
95.2
79.5
32.6
92.9
93.5
83.5
53.8
15.6
80.4

続いて日本乳癌学会によるステージ別無再発生存率(2004年次症例)を引用します。

これは最初の手術でがんが全て取り除かれている人が、その後5年間再発なしに生存している割合になります。なのでステージIVは含まれません。

ステージ 5年無再発生存率(%)
0


96.3
92.2
81.6
58.4

※ 日本乳癌学会によるステージ別無再発生存率(2004年次症例)引用

ステージ0,Iの生存率は高く、早期発見が非常に重要と言えます。

また、この2つのデータを単純に比較することはできませんが、乳がんは再発しても治療をしながら生活されている方が多数いらっしゃるということが予想されます。

このように乳がんは薬物療法などもよく効くことが多いです。たとえ乳がんが再発しても、適切な治療を受けながら、がんと共存して生活していくことも可能であるといえます。

また乳がんの治療は年々進化しています。どうしても生存率はやや古いデータになりますので、主治医とよく相談しながらその時点で最善の方法を選択していくことが大切です。

ステージ別の乳がん治療

乳がん治療の基本は手術でがん細胞を取り除くことです。

ステージ分類以外の情報も加味して総合的な判断になりますが、ステージ0、I、IIは一般的に最初に手術を行います。(早期がんは先進治療の対象になることもあります。)

手術の方法は主に乳房全摘と部分切除になります。しこりが小さい方が部分切除可能な場合が多いですが、しこりを作らず乳管内に広がっているため全摘が必要になることもあります。

ステージI以上は手術治療ののちに再発防止のために薬物治療を追加することが多いです。これを術後補助療法といいます。

ステージIII(まれにII)でも基本は手術治療なのですが、総合的に判断して先に薬物治療を行い、腫瘍が小さくなった後に手術をすることもあります。これを術前薬物療法といいます。

ステージIVは薬物治療や放射線治療が中心になります。生活の質を上げるために手術を行うこともあります。→ 進行した乳がんについて

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス | 乳がん
  2. 公益財団法人 日本医療機能評価機構 Minds 有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン 2013年度版
  3. がん研有明病院 がんに関する情報 乳がん
  4. 国立がん研究センター がんの統計’15
  5. 慶應義塾大学病院 KOMPAS | 乳がん
  6. その他

がんとわかる前にがん保険を検討しよう!

がん保険はがんになってからでは加入できません。またがん保険は医療保険と違い、持病や既往歴があっても問題ないケースが多いのが特徴です。

がんになった際の治療費が心配な方は、がんになる前に一度資料請求をして検討してみるとよいでしょう。

FPが選ぶおすすめがん保険人気ランキングの1位と2位をご紹介しておきます。

  • Facebook シェア 0
  • はてなブックマーク はてブ 0
  • LINE 送る
  • Google+ 共有 0
関連記事
応援

下記団体の活動を応援しています。

がんの臨床試験(治験)募集!
COMLの電話相談
Minds医療情報サービス
キャンサーペアレンツ

ページの1番上へ戻る