肺がん治療で増えている外来での化学療法と注意点

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2017.1.1

舟橋 均

この記事の執筆者

工学博士 舟橋 均

肺がんの治療というと入院するのが当たり前のようなイメージがありますが、近年では外来通院による化学療法が増加しています。

もちろん、化学療法による肺がん治療では副作用が懸念されますので、無条件で外来での治療が可能というわけではありません。

化学療法による副作用や体調変化を担当医師が入念にチェックした上で大丈夫と判断された場合のみ、外来による化学療法が可能となります。

外来による化学療法では病院で投薬しているとき以外は普段の生活を続けることが出来るわけですから、患者の生活の質(QOL)は著しく向上することになります。

他方、自宅にいる間の自己管理は患者自身と家族で行うことになりますので、知識と注意が必要になります。

外来による化学療法とは?

肺がんの外来化学療法

肺がんの化学療法では3、4週を1コースとして、4回、5回とコースを繰り返して行う長期戦になります。

一つのコースの中では、1日目と8日目に抗がん剤を投与しそれ以外の日は休薬して、抗がん剤の副作用と体の変化を確認しながら進められるというのが一般的です。

一方で、最初の1コースのみを入院で対応し、2コース目からは最初の1週間のみ抗がん剤投与のための入院を行いコースの残りの日数は自宅で過ごすという方法が、外来による化学療法と呼ばれる方法です。

もちろん、命に関わる重篤な副作用が発症するリスクが高い場合には、入院治療しか方法は無いかもしれません。

しかし、吐き気・嘔吐や下痢あるいは手足の痺れや脱毛症など、苦しいながらも患者自身である程度管理できるような副作用しか認められない場合には、担当医の許可のもと定期的に通院する外来による化学療法を選択することが可能になります。

外来による化学療法のメリット

肺がんの化学療法は長期にわたって行われる治療であり、肺がんと闘うことはもとより化学療法による副作用とも付き合っていかなければなりません。

どのような副作用に襲われるのかにもよりますが、苦しければ苦しいほどQOLが低下してしまいます。

化学療法が外来で可能ということになれば、家で普段通りの生活をしたりしながら治療を進めることが出来るという点は大きなメリットとなります。

治療を開始する前の状態とはいきませんが、治療をしている1週間だけ我慢すれば副作用のケアをしながら職場に行って仕事をすることが出来るケースもあります。

外来による化学療法のデメリットは?

抗がん剤の進歩によって、従来よりも副作用が軽くなるケースが増加していることで外来による化学療法を選択できる可能性は高くなりました。

副作用が軽いと言っても、決して楽に自己管理できるというわけではありません。

また、白血球が低下しているようなケースでは、通常の生活をすることによって感染症に罹患する可能性は健康な人に比べるとはるかに高くなってきます。

自己管理のための情報と知識が必要というわけです。

外来による化学療法の注意点

最初の1コース目で抗がん剤に対する患者の副作用と体調変化の様子が分かり、在宅でのケアが可能と判断されると、担当医師、薬剤師、看護師が連携して自己管理に関する注意点を患者に説明して、自宅でケアができるように教育することになります。

また、病院側では、容態が急変した場合の緊急事態に素早く対応できるサポート体制も確保されることになります。

また、肺がんになった時点で禁煙は必須ですが、最低でも治療中はお酒も控える必要があります。

在宅ケアは本人だけでなく周りの協力が必要!

自宅での副作用の管理と対処については本人だけでなく家族の協力も必要ですが、職場に出る場合には会社や職場の上司・同僚の理解も必要になります。

副作用が体に及ぼす影響が軽いと言っても、病院で管理されている状態と自己管理とでは雲泥の差があります。

各種症状が現れた時の対処方法はもちろん状況によっては薬を準備し、可能な限りリラックスして生活できなければ外来で化学療法を行う意味がありません。

悪心・嘔吐や下痢・便秘への対処

代表的な抗がん剤の副作用には発疹・痒み等の皮膚疾患や脱毛などもありますが、在宅でケアするにあたって注意するべき症状は、悪心・嘔吐や下痢・便秘といった症状が挙げられます。

悪心・嘔吐はどの抗がん剤でも認められる副作用であり、制吐剤が処方されます。

吐きそうになることに対する不安から気分が悪くなるということもあり、抗不安剤が使用されるケースもあります。

また、悪心や嘔吐への対処としては、体を圧迫するような服装を避けてリラックスできる体勢と環境を造ることも大切です。

下痢への対処は下痢止めを処方してもらうしかありませんが、便秘対策としては水分を十分に摂り適度な運動をすることが大切です。

感染症対策は最も重要な管理ポイント

抗がん剤の影響で白血球の数が減少し、感染症に対する抵抗力が著しく低下しています。

治療中は、外出時のマスク着用や帰宅時の手洗いうがいは習慣化するようにしましょう。

また、食べ物はできるだけ十分に加熱したものを食べるようにし、細菌やウイルスによる食中毒にも注意をする必要があります。

参考文献

  1. 国立がん研究センターのがんの本「肺がん」
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