肺がんは転移しやすい!血行性転移、リンパ行性転移と経気道性転移

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2017.1.1

舟橋 均

この記事の執筆者

工学博士 舟橋 均

がんが恐ろしい病気である理由の一つが、転移といって血液やリンパ液を利用して近隣の臓器を含む体中の臓器や器官にがんを拡大することにあります。

がんが発生した場所を原発巣と呼びますが、転移というのはがん細胞が原発巣から移動して、リンパ節や他の臓器で再度がんを発生させる現象のことです。

肺がんは各種がんの中で転移する可能性の高いがんとして知られており、脳、肝臓、副腎、骨への転移が多くなっています。

転移する可能性の高い肺がんでは、外科的な切除によって全てを除いたように見えても、肺から離れたがん細胞が体の別の場所に移動している可能性があるというわけです。

転移した先が隣接する臓器であれば容易に見つけることが出来るかもしれませんが、血液やリンパの流れに乗ってしまうと次のがんがどこに発生するのかを予測することが出来ません。

肺がんは何故転移しやすいのか?

増殖制御が利かなくなったがん細胞が増殖を繰り返し、粘膜、上皮組織から臓器の外部へと拡大される浸潤と呼ばれる現象でがん組織が大きくなっていきます。

がん細胞が原発巣のある臓器の外部に出ると、隣接する臓器はもちろんリンパ管や血管に侵入し体の中を移動することが出来るようになります。

肺がんは初期症状がほとんどなく定期的な集団検診を受けていなければ、気付かない間に進行してしまっていることが多いがんです。

発見された時にはがん組織が成長しすぎているためにがん細胞が肺の外に出てしまって他の臓器や骨に転移した後ということも、肺がんからの転移が多くなる理由の一つです。

しかし、肺がんが転移しやすいがんである理由は、肺という臓器の役割が最も大きく影響しています。

肺の構造と機能

肺の中の肺胞は、血液中の二酸化炭素と気管支から入ってきた空気中の酸素を入れ替えるという血液中のガス交換が主な働きです。

ガス交換は肺胞にある毛細血管を介して行われていますので、肺の中には毛細血管が豊富に存在しています。

肺胞から取り込まれた酸素を体中に運ぶ血管もありますし、運ばれてきた酸素を利用して代謝を行った後に発生する二酸化炭素を肺胞に運ぶ血管も存在します。

また、吸気と共に体に侵入してくる異物を速やかに攻撃するためのリンパ球を侵入箇所に速やかに運ぶリンパ管も、肺の中に豊富に存在します。

一時も休むことなく呼吸を繰り返している肺では異物侵入のリスクも高く、その分だけリンパ管も発達しているというわけです。

さらに、分岐を繰り返しながら肺全体に広がっている気管支の内部は、常に呼気と吸気が移動しています。

肺がん転移経路は三種類!

肺がんが転移しやすい部位

通常のがんでは、原発巣から臓器の外へと浸潤していく過程で血管・リンパ管を経由して転移が起こります。

血液を介して血管を利用する転移が血行性転移と呼ばれる転移方法であり、リンパ液を介してリンパ管を利用する転移がリンパ行性転移と呼ばれる転移方法です。

血行性転移とリンパ行性転移は、他の臓器の場合でも起こる可能性のある転移方法です。しかし、肺がんの転移方法には肺の機能に特化した三つ目の転移経路も存在します。

肺の機能に特有の転移方法として挙げられるのが、気道性転移と呼ばれる気管支の中を移動するガスの流れを利用して起こるがんの転移方法です。

血行性転移による肺がん転移のリスク

血管を経由して原発巣のがん細胞が全身に転移するというのは、血管が通っていない臓器はありませんので比較的オーソドックスな転移方法です。

しかし、生命活動を維持するという体の中の機能の関係上、肺を通る血管網は他の臓器よりも発達しており、がん細胞が血管内にリリースされると肝臓転移や副腎転移だけでなく背骨や骨盤などへの骨転移や脳転移といった肺からかなり離れた場所への転移も起こる可能性があります。

リンパ行性転移による肺がん転移のリスク

リンパ系は外界と接触する頻度が高い場所に発達し、侵入してきた異物に対する攻撃を行うための免役細胞であるリンパ球を運んでいます。

食べた時だけ必要な消化器系とは異なり、呼吸に伴い常に外気を取り入れている肺はリンパ系が発達している臓器です。

リンパ系の関所と呼ばれる免疫システムによって異物が全身に広がるのを防ぐリンパ節は上半身にたくさん存在し、肺門、縦隔、腹部や頸部、さらには肺の内部や腋窩(腋の下)にも存在しています。

リンパ行性転移では原発巣に近いリンパ節から順次転移していくことになります。

肺がんが発見されて外科的に切除する際には、転移を予防するために原発巣に近いリンパ節、すなわち、転移している可能性の高いリンパ節を切除するリンパ節郭清という方法がとられます。

経気道性転移による肺がん転移のリスク

肺の原発巣にあるがん細胞が肺の中を網羅している気管支を通って、肺の別の部分にがんを広げていくという転移方法です。

経気道性転移による転移性の肺がんは、肺門部にできる肺がんよりも肺の深部である肺野部にできる細気管支肺胞上皮癌に多く見られるという特徴があります。

参考文献

  1. 国立がん研究センターのがんの本「肺がん」
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