肺がんの放射線療法のメリット・デメリット

  • Facebook シェア
  • はてなブックマーク
  • LINE
  • Google+

2017.3.30

舟橋 均

この記事の執筆者

工学博士 舟橋 均

放射線療法は、高エネルギーの放射線をがん細胞に照射することによってがん細胞を小さくしていく外科手術と並ぶ局所治療の一つです。

広範囲に広がってしまっている肺がんには適用できませんので、原発巣の反対側の肺も含む他の臓器への転移がある場合には根治療法として適用することはありませんが、化学療法と併用することによってがん組織の影響による患者の苦痛を和らげる緩和療法として使用される場合もあります。

また、病巣が今以上に広がらないようにする予防的な目的で利用されることもあります。

スポンサーリンク

放射線療法で何故がん細胞が小さくなるのか?

放射線治療で用いられる放射線はがんを発見するための胸部X線検査や胸部CT検査で使用されるX線よりも高エネルギーのX線が照射されます。

ある一定の線量を超えると、細胞内に発生した反応性の高いラジカルや過酸化水素による間接的な影響やX線の直接的な影響により遺伝子を損傷することになります。

細胞には損傷した遺伝子を回復させる能力がありますが、増殖が活発になっているがん細胞は正常細胞よりも回復させる時間が短くなり、回復が間に合わなければ細胞は死ぬことになります。

すなわち、正常細胞の回復時間をキープできるように高エネルギーのX線を断続的に分割して照射することによって、がん細胞のみを死滅させることが可能になります。

ただし、放射線療法のターゲットの場所と程度によっては、正常細胞も全く無傷で済むというわけではなく放射線照射を受けた正常細胞が死滅するリスクも含んでいます。

放射線療法のメリット

放射線治療は体外からX線を照射する無侵襲の治療法であり、体が傷つくことはありません。

従って、本来外科手術で切除する治療を行うべきである肺がんにおいて手術に伴う負荷に患者が絶えることが出来ないと考えられる場合でも、実行可能な治療方法です。

加えて、患者の負担の少ない治療法でありながら、初期の小さな肺がんであれば根治が期待できる方法でもあります。

また、標準治療では手術をすることが不可能と判断されるほどがんが成長してしまっている場合でも、放射線療法を化学療法と併用することによって治療中に起こる大きくなりすぎたがんが近辺の臓器を圧迫することによる物理的な力による苦痛を緩和することも出来ます。

放射線治療によってがんが小さくなり、外科手術が可能になることが期待できるケースも大きなメリットと言うことが出来ます。

放射線療法のデメリット

がん細胞の近辺にある正常な細胞や放射線が通過するところに存在する様々な正常細胞もダメージを受ける可能性があるということが、最大のデメリットです。

通常は正常な細胞が放射線照射で受ける遺伝子のダメージから回復できるエネルギー量のX線が照射されますが、弱すぎてはがん細胞を死滅させることが出来ませんし強すぎては正常細胞まで死んでしまいます。

放射線が照射されて正常細胞が死んでしまうことで炎症反応が起こるというのが典型的な症状ですが、遺伝子が損傷することで正常細胞ががん化するリスクもゼロではありません。

従って、放射線療法で使用される放射線の量や範囲は、安全性に配慮したものとなり治療期間が長くなるというのもデメリットということが出来ます。

また、異常増殖を示す分裂が活発ながん細胞は損傷した遺伝子を修復する能力が低いというのが一般的ですが、放射線に対して抵抗力がある、すなわち、正常細胞並みの回復力があるがん細胞も存在し、そのような場合には当然ながら放射線療法の効果は極端に低下してしまいます。

放射線療法ではどうやってがん細胞にだけ強い放射線をぶつけることが出来るかということが放射線療法の欠点をカバーすることにつながり、近年では定位放射線療法や粒子線治療という治療方法もあります。

もちろん、設備が必要ですので、何処でもできるというわけではありません。
また、内視鏡の先端に付設されている小線源からがん組織にスポットで放射線を照射する腔内照射という方法も試みられています。

定位放射線照射

ターゲットとなるがん組織に多方向から同時に放射線を照射する方法です。

一つ一つの放射線は正常細胞への影響を極力抑えた放射線であっても、全てががん組織に命中することでがんの場所だけを高エネルギーにすることが出来ます。

実行するためには、全ての放射線がターゲット上で集中するようにする必要がありますので、治療中に体が動かないように固定し呼吸もコントロールする必要があります。

粒子線照射

通常の放射線治療で用いられるX線の代わりに陽子線や炭素イオン線という粒子線を使用する治療方法です。

粒子線は極めて細かい粒子が束になって通過する間にエネルギーが増幅していくことになりますので、がん細胞に届いた時点で最も高エネルギーになるように調整することが出来ます。

ターゲットとなるがん組織を通過した粒子線はエネルギーが低くなるため、病巣の先に存在する組織への影響を軽減することが可能です。

参考文献

  1. がん情報サービス | 肺がん
  2. 国立がん研究センターのがんの本「肺がん」
  3. 公益財団法人 日本医療機能評価機構 Minds | 患者さんのためのガイドブック よくわかる肺がんQ&A
  4. その他

がんとわかる前にがん保険を検討しよう!

がん保険はがんになってからでは加入できません。またがん保険は医療保険と違い、持病や既往歴があっても問題ないケースが多いのが特徴です。

がんになった際の治療費が心配な方は、がんになる前に一度資料請求をして検討してみるとよいでしょう。

FPが選ぶおすすめがん保険人気ランキングの上位2社をご紹介しておきます。

チューリッヒ生命がん保険
メットライフガードエックス
  • Facebook シェア 0
  • はてなブックマーク はてブ 0
  • LINE 送る
  • Google+ 共有 0
関連記事
応援

下記団体の活動を応援しています。

がんの臨床試験(治験)募集!
医師の転職サイト
COMLの電話相談
Minds医療情報サービス
キャンサーペアレンツ

ページの1番上へ戻る