肺がん検診で行われる検査と発見されやすい種類

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舟橋 均

この記事の執筆者

工学博士 舟橋 均

肺がんは、幾つもあるがんの中で早期発見が難しいがんの一つです。

初期段階では目立った自覚症状が少なく、症状が現れた場合でも風邪の症状と似ているため中々気づくことが出来ません。

肺がん特有の自覚症状によって、「もしかして、肺がんかな?」と思って病院を受診するような状態ではかなり進行している可能性が高いがんです。それだけに、自治体が行っている定期的な肺がん検診は早期発見の有効な手段となってきます。

費用は属している自治体によって異なりますが、クーポン券を出すなどして費用の一部が公費で負担されていますので利用することをお奨めします。

肺がん検診とは?対象者は?どんな検査?費用は?

肺がんによる死亡率を減少させることを目的として、早期発見によって効果的な治療を行うために実施されています。

対象者が居住している市区町村の地方自治体の健康増進課などが、厚生労働省が定めた指針に基づいて行います。義務化されているわけではありませんので、全く実施していない市区町村も僅かながら存在します。

ちなみに、指針通りに実施している自治体は全体の66.8%ということですが、自治体の予算を含む諸事情に合わせて年齢枠を制限したり、定員制などを導入して先着順や抽選といった方法を取ったりしている自治体もあります。

逆に、国が指定する制限枠を拡大している自治体も19.3%もあります。 (参照元:市区町村におけるがん検診の実施状況等調査)

中には、お勤めの会社や会社で加入している健康保険組合が主催しているがん検診もありますので、確認するようにしましょう。

どんな人が対象になるのですか?

発見が目的ですので、既に肺がんに罹患している人は対象者ではありません。肺がんが喫煙や受動喫煙が原因であり喫煙履歴が罹患率に影響することから、通常は男女を問わず肺がんリスクの増大する40歳以上の健康な人を対象にして年に1回行われます。

どんな検査をするのですか?

肺がんの集団検診では、医師による問診と胸部X線検査が基本で、50歳以上で喫煙指数が600以上の人は喀痰細胞診を受診することも出来ます。ここで使われる喫煙指数は1日の喫煙本数×喫煙年数となっています。

後で解説するように、胸部X線検査と喀痰細胞診を組み合わせることにより広範囲のがんを検出できますが、肺がん検診で行われる検査は陽性を見つけるための検査です。従って、検査結果が陰性であっても絶対に肺がんではないというわけではありません。

必要な費用はいくらくらい?

公的な補助があるため、費用は地方自治体によって異なってきます。

平成21年1月1日に行われた「市区町村におけるがん検診の実施状況等調査」によると、無料で実施しているところは19.8%程度で、500円以下61.5%、500円~1000円12.5%となっていました。

この費用というのは胸部X線検査に必要な費用で、オプションとなっていることも多い喀痰細胞診と呼ばれる検査には追加費用が必要です。

こちらも補助が出ることが多く、胸部X線検査の費用と大きな違いは無いようです。

詳細な費用についてはお住まいの地域によって異なりますので、居住している地域の管轄部署に確認していただく必要があります。

胸部X線検査で腺がんと扁平上皮がんを早期発見

年配の方はレントゲン写真といった方が馴染み深いかもしれません。

胸部にX線を照射することによって、透過してきたX線を感光板で受け取り感光させることでX線透過量を画像としてとらえる方法です。

X線がたくさん透過する場所は黒くなりますし、X線を透過しない場所は白くなります。

肺がんを罹患している組織は細胞が異常増殖している分だけX線の透過量が減少し、周りの色よりも白っぽく見えるようになります。

従って、胸部X線検査では、背骨や心臓が存在する場所はもともとが白っぽい画像になるため、がん組織を見落とす可能性があります。

障害物の少ない肺の奥深いところ、すなわち、肺野部と呼ばれる領域に発生しやすい腺がんを発見するのに向いている方法です。

また、大きながん組織は問題ありませんが、2㎝程度の小さながんは肋骨や太めの血管の陰に隠れてしまい、解像度によっては小さながん組織は見つけるのが困難です。

肺門部のがんは喀痰細胞診でピックアップ!

対象者の痰を回収して、痰の中にがん細胞がこぼれ落ちていないいかどうかを調べる検査です。

採取された痰をしばらく放置して底の方からサンプルを取り、細胞染色をして顕微鏡で観察します。

がん組織が成長すると、新しいがん細胞が産み出されることによって古い細胞が組織から剥がれ落ちることがあります。

また、組織そのものや破って出血するような場合も、排出される痰の中にがん細胞が混入していることがあります。

ただし、細胞が剥離されるレベルではない早期のがんでは痰にがん細胞が含まれていることはほとんどありませんし、肺の深部に発生している肺がんの組織が排出されるということも可能性としてはほとんどありません。

言い換えると、肺の入り口付近の肺門部にできやすい小細胞がんや扁平上皮がんの発見に向いている方法です。

喀痰細胞診の場合には罹患しているにもかかわらずたまたま細胞が出ていないというケースもあるため、日を分けて3回ほど検査をするというのが一般的です。

参考文献

  1. 国立がん研究センターのがんの本「肺がん」
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