喫煙(たばこ)で肺がんリスクは男性4.5倍、女性4.2倍に急上昇!

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2017.3.30

舟橋 均

この記事の執筆者

工学博士 舟橋 均

たばこ

喫煙=肺がんと言われるほど、喫煙が肺がんリスクをアップさせることは常識のように考えられています。

販売されているたばこのパッケージにも、「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。」と記載されています。

公共の場所での分煙や禁煙などの政策も進み、喫煙できる場所を制限しているのが現状です。

実際のところ、たばこの煙には有害な成分がたくさん含まれていますが、喫煙が肺がんに及ぼす影響というのは、どの程度なのでしょうか?

肺がんリスクと喫煙の関係は?

喫煙者の肺がん相対リスク(男性)

喫煙の起源は南米で、15世紀になってヨーロッパに伝えられたこともあり、喫煙に歴史のある欧米においては、喫煙が肺がんの原因の90%を占めると言われています。

日本にたばこが伝えられたのは1600年に入ってからで、後発の日本では喫煙が原因とされる肺がんは男性がおよそ68%、女性がおよそ18%ということです。

喫煙指数(1日に吸う喫煙箱数×喫煙年数)が20から39という人では、喫煙経験の無い人に比べると肺がんリスクは、男性で4.5倍、女性で4.2倍にもなっているということです。(2008年厚生労働省多目的コホート研究 1990年より継続)

喫煙指数が多くなればなるほど肺がんリスクは増加し、60以上になると6.4倍にも膨れ上がるそうです。

喫煙指数が60というのはかなりのヘビースモーカーですが、20程度であれば1日一箱のペースで20年ですので十分ありえる喫煙量です。

喫煙習慣の無い女性でも肺がんリスクが増加中!

たばこを吸わない女性の肺腺がんへの夫の喫煙状態の影響

女性であっても喫煙習慣のある人の肺がんリスクは4.2倍ですが、喫煙習慣の無い女性でも受動喫煙による肺がんリスクは増加しています。

受動喫煙というのは、副流煙というたばこに火をつけた時に先端から出ている煙や喫煙者が吐き出す煙を吸うことで、喫煙と似たような状況になることを意味しています。

分煙が進んでいる現代社会では、受動喫煙は喫煙習慣のある男性と結婚した女性に多く見られる現象です。

受動喫煙による肺がんは、気管支の上皮組織や外分泌腺といった腺細胞に発生する肺腺がんが8割を占めています。

旦那さんがヘビースモーカーの場合には、奥さんが肺腺がんに罹患するリスクは約2倍ということです。

旦那さんがたばこを止めることで、奥さんの肺腺がんリスクは40%近く下がるそうですので、「今さら止めても」と考えずに禁煙を試みた方が良いかもしれません。

たばこの煙の危険物質は200種類も!

たばこの煙には500種類以上の化学物質が含まれており、その内の200種類程度が健康に有害な物質とされています。

さらに、そのうちの60種類ほどが発がん物質であるとされており、代表的なものにベンツピレン(ベンゾピレン)、ニトロソアミン、アセトアルデヒド、ヒ素などがあります。

たばこの煙による肺がんは悪性になりやすい

たばこの煙に含まれる発がん物質は、反応性の高い物質です。

細胞を傷つけて遺伝子と反応することによって遺伝子の変異を引き起こし、発がん遺伝子を出現させたり発がん抑制遺伝子を機能できなくしたりする可能性があります。

たばこの煙による肺がんは、肺の入り口にある太い気管支が存在する肺門という領域に多く発症します。

肺門にできるがんのほとんどは小細胞がんや扁平上皮癌に分類されており、細胞の増殖が速く他の臓器に転移しやすい悪性度の高いがんです。

たばこの煙の発がん物質はたばこだけのものではありません!

化学を知っている人であれば分かることですが、たばこの煙に含まれる代表的な発がん物質であるベンツピレンは天然物を燃やすという行為を行なえばどんなときにも発生する物質です。

ニトロソアミンは野菜に含まれている硝酸化合物と食品に含まれるアミノ酸があれば人の体内でも合成されます。

アセトアルデヒドは、アルコールを飲んだ時の代謝の過程でも発生する物質です。

直接肺に入ることが無いというだけで、肺がんに限らず様々ながんのリスクを高める物質です。

たばこは発がん物質を集中的に吸い込むことで肺がんリスクを高める要因のナンバーワンかもしれませんが、普通に生活していても肺がんリスクはあちらこちらに転がっています。

喫煙と同じリスクがあるかもしれない環境因子は?

喫煙者の肺がんリスクが日本人の男性でおよそ68%ということですが、この数字は喫煙という生活習慣だけにターゲットを絞って出された数字であり、喫煙習慣以外の生活習慣は共通しているものではありません。

言い換えると、喫煙していても肺がんに罹患しない生活習慣があるかもしれませんし、喫煙以外にも肺がんリスクを高める有害物質を吸い込む可能性があるということです。

たばこの煙に含まれているベンツピレンは、自動車の排気ガス、焼却炉の煙、工場から出る噴煙などに大量に含まれています。

食材が焦げるときの調理の際に出てくる煙にもベンツピレンは含まれていますので、肺がんリスクが無いというわけではありません。

中でも、自動車の排気ガス、特に、軽油を燃料とするディーゼルエンジン車の排気ガスはたばこに次いで有害物質が肺に入る量が多く、肺がんリスクが高くなります。

トラックなどの大型車が頻繁に通過する道路沿いに居る時間が長い人は、肺がんに罹患するリスクが存在していることになります。

参考文献

  1. がん情報サービス | 肺がん
  2. 国立がん研究センターのがんの本「肺がん」
  3. 公益財団法人 日本医療機能評価機構 Minds | 患者さんのためのガイドブック よくわかる肺がんQ&A
  4. その他
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