肺がん手術後の息苦しさを軽減する呼吸リハビリテーション

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2017.3.30

舟橋 均

この記事の執筆者

工学博士 舟橋 均

肺がん手術が可能ということは比較的ステージが低い初期の段階ですので喜ばしいことではありますが、肺がんが発生している側の肺の一部あるいは全部を切除しますので、手術後の痛みや息苦しさというのは気になるところです。

ちろん、治療が終わってからの日常生活も低下した肺活量に体や行動を次第に順応させていくことになりますので、手術前と同じようなわけにはいきません。

しかしながら、手術直後から切断された呼吸筋が回復するまでの期間は、特に、呼吸がし辛い症状に苦しまれる患者が多く、息苦しさを解消するための呼吸リハビリテーションが指導されます。

肺がん手術後に起こる症状

開胸手術を行うことで呼吸筋の一部が切断されていますので、筋肉が元に戻るまでは呼吸困難が起こることは避けることが出来ません。

また、気管支に発生しているがんを切除する場合でも、気管支にメスが入っていますので傷が癒えるまでは違和感は否めません。

胸腔鏡を用いた患者の負担が少ない手法もありますが、再発のリスクを考えると必ずしもベストな選択とは言えません。

手術後の痛みや違和感

外科療法は全身麻酔で行われますし、術後は硬膜外麻酔という局所麻酔によって痛みを緩和し続けますので数日間は極端な痛みを感じることはありません。

しかしながら、全身麻酔を実施する際には気管に酸素を送り込むためにチューブが挿入されており、終了後にチューブを除いた後も呼吸時に咳き込んだり気管支から出る分泌物が引っかかるような違和感があったりします。

傷が癒えていない状態で咳き込むと、傷に響くような感じはあります。

手術後の息苦しさ

肺の一部が無くなって肺の容量が減少することによる呼吸困難もありますが、最小限に抑えているとはいえども呼吸筋の一部は切断されています。

肺を萎ませるのに筋肉は必要ありませんが、膨らませるときには呼吸筋と呼ばれる一連の筋肉が必要です。

当然ながら、呼吸筋が回復するまでの期間は、肺を膨らませる、すなわち、息を吸い込むのが特に難しい状況です。

もちろん、呼吸時の痛みや肺のボリュームが下がったことに対する不安などの精神的な影響もあるかもしれません。

肺がん手術後の対処と呼吸リハビリテーション

麻酔がなくなった後の痛みについては、痛み止めを投与してもらうことで抑えることが出来ますし、傷が塞がれば自然に痛みは和らいできます。

しかしながら、切断された呼吸筋が回復するまでには時間がかかりますので、息苦しさに対する対処方法は自分で身に付けておいた方が治りも早くなります。

室内の空気を清浄に保つことはもとより、呼吸しやすい18℃~20℃の室温と50%~70%の湿度にコントロールすることも大切です。

胸に対する圧迫感が無いようなゆったりした服装で過ごすようにした方が楽になるということもあります。

また、息を止めて力を入れたり急に咳き込んだりするような行動は息苦しさを増大させますので、力まずに排便できる工夫やむせることが無いような食事に対する配慮なども有効です。

もちろん、息苦しさが酷くて何をやってもダメなときには、酸素吸入や軽減するための薬が処方されます。

しかし、何よりも大切なのが、患者自身が現在の呼吸筋の状態で楽に呼吸するための手法について呼吸リハビリテーションを実施することです。

腹式呼吸による呼吸リハビリテーション

肺がん手術後の呼吸リハビリテーションで重要になるのは、腹式呼吸と深呼吸です。

腹式呼吸の基本は、鼻から大きく息を吸い込み、口からゆっくり吐き出していくことにあります。

慣れない間は、仰向けに寝転んでお腹を両手で軽く抑えて、腹筋を圧迫するようなイメージで鼻から息を吸い込みます。

吸い込んだ空気を吐き出す時にはもともと呼吸筋は必要ありませんので、力を入れている腹筋を脱力するだけで肺の内部にある空気は徐々に排出されます。

抵抗がかからないように口をしっかり開けて、自然にゆっくり排出するようにします。

腹式呼吸によって完全で無い胸部の筋肉を腹筋で補うことが出来ますし、ナチュラルに深く呼吸することになり傷んでいる呼吸筋の負担も軽く済みます。

小刻みな呼吸で肺を動かすことは呼吸筋への負担は少なくて済みますが、深呼吸で呼吸筋を大きく動かすリハビリテーションは早期回復に有効です。

術後に気管支の引っ掛かりが辛いときの対処法

気管支から分泌される痰が絡まったような違和感は、力を入れて排出できない状態では苦しいものです。

咳払いで排出するのが儘ならない状況ですので、水分補給やうがいでダメなときには腹式呼吸を応用して軽く咳払いすれば出せることもあります。

腹式呼吸でお腹を膨らませた状態で息を止めて、腹筋に力を入れたままで軽く咳払いをすることで胸の筋肉の負担を減らしながら痰を吐き出すことが出来ます。

術後は動くのが怖くて寝てばかりいる患者が多いようですが、長時間一定の姿勢を保つよりも姿勢を変える方が痰は出やすくなります。

参考文献

  1. がん情報サービス | 肺がん
  2. 国立がん研究センターのがんの本「肺がん」
  3. 公益財団法人 日本医療機能評価機構 Minds | 患者さんのためのガイドブック よくわかる肺がんQ&A
  4. その他

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