肺がんの進行度合いを調べる検査

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舟橋 均

この記事の執筆者

工学博士 舟橋 均

肺がんの疑いがある患部から組織を採取しがんであることが確認された段階で、細胞の形状や組織の状態から肺がんのタイプが判明するとともに現状について大まかな情報がわかります。

次のステップとしては、発見された肺がんがどのようなステージにあるのかを把握するための検査を行っていくことになります。

肺がんの進行においては転移が起こっているのかどうかというのが、治療方針を決める上で大きな因子となってきます。

肺がんの進行度合いを意味するステージとは?

肺がんと診断されると、がん組織がどのくらいの大きさまで成長しているのか?リンパ節や他の臓器あるいは骨への転移があるのか?といった情報を集めるための検査を行い、がんの進行度合いを決定する必要があります。

この進行度合いが、肺がんのステージや病期と呼ばれるものです。

ステージによる肺がん進行度の違い

肺がんのステージ
ステージ がん細胞が確認された場所 原発巣のがんの大きさ
潜伏期 -
0期 気管支の上皮組織 -
ⅠA期 肺葉内 ~3㎝
ⅠB期 肺葉内 3㎝~5㎝
ⅡA期 原発巣のがんと同じ側の肺門のリンパ節に転移 ~5㎝
原発巣のがんのみ 5㎝~7㎝
ⅡB期 原発巣のがんと同じ側の肺門のリンパ節に転移 5㎝~7㎝
原発巣のがんのみ 7㎝~
原発巣のがんが胸膜や胸壁に浸潤 -
ⅢA期 原発巣のがんと同じ側の縦隔リンパ節に転移 -
原発巣のがんと同じ側の肺内リンパ節に転移 7㎝~
原発巣のがんが胸膜や胸壁に浸潤し、同じ側の肺内リンパ節に転移 -
原発巣のがんが縦隔、大動脈、食道、気管などに浸潤 -
ⅢB期 原発巣のがんが縦隔、大動脈、食道、気管などに浸潤し、同じ側の縦隔リンパ節に転移 -
原発巣と反対側の縦隔あるいは鎖骨上窩のリンパ節に転移 -
Ⅳ期 原発巣の反対側の肺に転移 -
胸膜を破り肺全体にがんが拡散 -
悪性胸水が存在 -
他の臓器への転移 -

参照元:がん情報サービス 肺がん 検査・診断を参考に作成)

肺がんの分類は潜伏がん、0期、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期の5つのステージに分けられています。

さらに、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ期では、がん組織の大きさや浸潤度合、さらには、リンパ節への転移の状況によってA、Bの二つに分けられます。

ただし、小細胞がんは発見された時点でわずかな転移が起こっているというケースがほとんどであるため、原発巣のある側の肺だけにとどまっている限局型と反対側の肺も含む他の臓器に転移している進展型に分類さるケースもあります。

他の臓器への転移を調べる検査

肺がんは肺内部での転移、肝臓や副腎を含む腹部の臓器への転移、さらには、脳への転移が発生しやすいがんです。

また、がん組織が成長すると胸膜や胸壁へと浸潤し、心臓、大血管、気管、食道などの隣接する臓器へと拡大される可能性もあります。

従って、肺がんが確定した段階で胸部、腹部、脳のCT検査を行い、他の臓器への転移の有無について調べます。

胸部と腹部についてはCT検査で十分な情報を得ることが出来ますが、頭蓋骨で囲まれている脳の場合にはMRIを利用する場合があります。

CTの方がMRIよりも解像度が高く詳細な情報を得ることが出来ますが、MRIで使用される磁気はX線と異なり骨を通過できるというメリットがあります。

すなわち、頭蓋骨で囲まれている脳の転移は、MRIで検査することによって小さながんも発見できる可能性があるというわけです。

骨への転移を調べる検査

骨の内部に到達した際に放射線を出すテクネチウムという物質を静脈から注射し、物質から出される放射線をシンチカメラと呼ばれる道具で画像化して解析する骨シンチグラフィーという方法で調べられます。

がん細胞のある場所ではテクネチウムが集中するため放射線量が増加しますので、放射線の分布状態を見ることにより骨にあるがんを見つけることが出来ます。

全身のがんを一気に調べることができるPET

PETというのはポジトロン断層法の略称で、フルオロデオキシグルコース(FDG)というブドウ糖に放射性のフッ素が結合したトレーサーと呼ばれる物質を注射により血管に投入して、1時間後に全身をスキャンして蛍光を発する場所を見つけます。

がん細胞は増殖が活発になっている分だけ大量のブドウ糖を必要とし、普通のブドウ糖と同じように細胞に取り込まれるFDGも大量に取り込まれます。

すなわち、がん細胞が集中している場所にFDGが集中して、強く蛍光を発色している場所ががん細胞の存在しているところです。

ただし、胃、大腸、肝細胞および脳などの本来増殖が旺盛であるような部位では、がん細胞と正常細胞に大きな差が無いためにがん細胞が分かりにくいという欠点もあります。

腫瘍マーカーで進行度合いや治療経過をチェック

腫瘍マーカーと呼ばれる物質は正常な細胞でもある程度は分泌しているタンパク質ですが、細胞ががん化することによって特異的に増加することが分かっています。

がんが進行しているほど、血液中の腫瘍マーカーの濃度が正常値を超えて高くなることになります。

ただし、がん以外でも腫瘍マーカーの濃度が高いくなるケースもありますし、腫瘍マーカーが正常値であってもがんではないという証拠にはなりません。

従って、がんを見つけるために行う検査というよりは、治療したあとの再発状況や治療の進捗状況を調べるための検査ということになります。

現在、判明している肺がんの腫瘍マーカーとしては、小細胞がんのNSEやProGRP、扁平上皮がんのSCCやCYFRA21-1、腺がんのCEAが挙げられます。

参考文献

  1. 国立がん研究センターのがんの本「肺がん」
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