女性の肺がん急増中!その特徴と原因とは?

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舟橋 均

この記事の執筆者

工学博士 舟橋 均

肺がんは喫煙によってリスクが増大し、1日のタバコを吸う本数と喫煙年数が大きく影響してくるがんです。

特に、長期にわたって発がん物質に暴露されている可能性のある40歳以上の中高年の肺がん罹患者は毎年のように増加する傾向にあります。

当然ですが、喫煙が肺がんリスクを増大させるということに、男女の差があるわけではありません。

実際には喫煙常習者というのは男性の方が圧倒的に多く、肺がん罹患者の絶対数というのは圧倒的に男性の方が多いのは今も昔も変わりません。

ところが、近年のデータにおいて、女性の肺がん罹患者の増加率は男性の増加率を確実に上回っているというデータがあります。

肺がん罹患率の昔と今はどう違っているのでしょうか?

肺がん罹患率の男女比という観点でデータをみると、1975年から2000年までの間は男性の肺がん罹患率は女性の2.6倍程度であり、過不足はあるものの大きな変化は無く安定しています。(参照元:がん情報サービス がん登録・統計 肺がん罹患率の男女比

ところが、2000年以降のデータでは徐々に低下し始め、2011年には2.1倍程度になっています。

言い換えると、2000年以後は肺がん罹患者の男性の割合が低下し、女性の割合が増加している傾向にあるということです。

肺がん罹患率の変化の背景は?

20世紀に入ってから、喫煙による健康被害、特に、肺がんへの影響が懸念され、1930年には様々な方面からの研究によって肺をはじめとする循環器系の疾患能増加が指摘されました。

喫煙と肺がんの関係が注目されるようになり、1950年代には世界各国において喫煙が肺がんや心臓血管性疾患のリスクを増大させることが発表されました。

日本も例外ではなく、病理学・疫学の観点からの調査研究成果に基づいて、2000年には厚生省(現在の厚生労働省)において、「健康日本21」と銘打って様々な禁煙・分煙政策が地方自治体に通達されました。

肺がんは、喫煙経験の蓄積によってリスクが増大します。

たばこでがんが発生する流れ

禁煙や減煙によって急激に肺がん患者が減るわけではありませんが、2000年以降は禁煙政策の進行に伴い肺がん患者の増加率も少し落ち着いてきたような感があります。

一方、タバコのストレス緩和や覚醒の効果に期待するところもあり、健康被害を懸念しながらも喫煙を継続している人も少なくはありません。

女性のがんにおける肺がんの位置付けは?

がん部位別罹患率女性

がんの部位別の調査によると、2014年時点で、女性が罹患している肺がんの患者数は乳がん大腸がん胃がんに次いで第4位に位置しています。

一方、死亡数が多いがんとしては、2005年に肺がんが胃がんに追いつき、以後も増加し続けている状態です。肺がんは目立った症状が現れないことが多く、発見が遅れる傾向にあります。

罹患者数の割に死亡者数が多いのは、罹患していることが分かった時には「手遅れ」ということも少なくはないということを意味しています。

女性の肺がん罹患率の増加している原因は?

「健康日本21」以降は男性の喫煙は減少傾向にあり、喫煙率が最も多かった1966年の約80%に対して2008年には半分程度まで低下しました。

女性の場合はもともと喫煙者数そのものが少ないとはいえ、20、30歳代の女性の喫煙率というのは増加しており30歳代では5人に1人が喫煙しているということです。

このことを受けてかどうかは分かりませんが、15歳から39歳までの肺がん罹患率の男女比は1.5倍となっており、20歳代あるいは30歳代における肺がん罹患者に男女差はあまりないという結果が出ています。(参照元:がん情報サービス がん登録・統計 罹患(全国推計値)

結婚している女性の場合には、旦那さんが喫煙する場合の受動喫煙のリスクもあります。女性の場合は直接喫煙することによる肺がんと受動喫煙による肺がんの両方が関係しているということになります。

増加している女性の肺がん!7割は腺がんです。

肺がんは組織型によって、小細胞がんと非小細胞がんに分類されます。

小細胞がんは肺がん全体の1割から2割程度を占めており、喫煙によって発症しやすい悪性の肺がんであることが知られています。

一方、肺がんのかなりの割合を占める非小細胞がんは、さらに、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんの3種に分類されます。

直接喫煙する場合とは異なり、発がん物質が少しずつ浸潤していく受動喫煙では肺の入り口よりも深部にできやすい腺がんが多くなります。

実際、腺がんは女性の肺がんの70%程度を占めるがんで、この数字からも女性にとって受動喫煙による肺がんリスクが大きいことが理解できます。

腺がんの次に多いのが扁平上皮がんであり、女性のがんの15%を占めています。大細胞がんは肺がん全体の5%程度しか存在しない珍しいタイプで、大きながん組織として発見されることが多い肺がんです。

喫煙習慣のある女性の場合には小細胞がんや扁平上皮がんが多くなる傾向があり、両者を合わせると女性のがんの4分の1程度を占めているそうです。

そこに、受動喫煙からくる腺がんが加わっているというのが、女性の肺がんのタイプということが出来ます。

(本文中の数字は、国立がん研究センターがん対策情報センターのデータを参考にしています。)

参考文献

  1. 国立がん研究センターのがんの本「肺がん」
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