肺がんの喀痰細胞診検査で「要精密検査」!肺がん確定?

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舟橋 均

この記事の執筆者

工学博士 舟橋 均

喀痰細胞診検査は対象者の痰を採取し痰の中にがん細胞が含まれているかどうかを調べる検査のことを言います。

喀痰細胞診検査は集団検診でも行うことがある検査ですが、自治体によっては本人の希望によるオプションとなっている場合もあります。

基本的には、1日の喫煙本数と喫煙年数をかけた喫煙指数が400~600で50歳以上の人が対象者となります。

喀痰細胞診検査で「要精密検査」と診断されたら背筋が凍りついてしまうかもしれませんが、その段階ではまだ肺がんが確定しているわけではありません。

喀痰細胞診検査では何を調べているのか?

非小細胞がんの内の扁平上皮がんの早期発見のために行われる検査が、喀痰細胞診と呼ばれる検査です。

扁平上皮がんは喫煙の習慣のある男性に多い肺がんで、男性の肺がんの40%、女性の肺がんでも15%が該当しています。(参照元:がん情報サービス 肺がん 基礎知識を参考に作成)

タバコの煙に含まれる発がん物質が気管支の粘膜に付着することで細胞ががん化して起こる可能性が高く、喫煙指数に応じて喀痰細胞診検査を行う理由もこの点にあります。

肺の中では、タバコの煙と一番先に接触する肺門部にある気管支に発生する可能性が高い肺がんです。

喀痰細胞診検査はどんな検査ですか?

痰というのは、異物を排出するために気管支の内壁から分泌される粘液のことを言います。

肺野部に存在する細気管支の一部が粘液で閉塞しても、代わりの気管支はいくらでもあります。

ところが、肺門にある太い気管支に粘液が溜まる場合、気管支の内部が狭くなることによって呼吸困難になり溜まった粘液が咳と共に排出されます。
従って、痰の中には、肺の中、特に肺門にある気管支で起こっている現象を反映する物質が混在しています。

扁平上皮がんによって発生している悪性腫瘍が崩れてそこから剥がれ落ちた細胞が混在していないかどうかを調べるのが、喀痰細胞診と呼ばれる検査ということになります。

細胞の形状や大きさを熟知した細胞検査士と臨床医によって、がん細胞とそうでない細胞を識別することによって判定します。

肺がんの時には細胞はどうなっているのですか?

扁平上皮細胞というのは、球体の両端を摘まんで引っ張ったような平たい形状をしています。

がん細胞は増殖の制御が利かなくなった細胞で、扁平上皮細胞ががん化することにより形状や大きさがまちまちになります。

進行すると、がん細胞が集まってできる胞巣構造と呼ばれるがん細胞の集団を形成することになります。

細胞の形態が通常と異なる状態を異型と言いますが、喀痰細胞診検査では痰の中に確認される細胞の異型の程度を調べることになります。

喀痰細胞診検査の評価方法と対応

判定区分 所見 検査結果の評価
A 検体中に痰が含まれていない 再検査
B 異型細胞が存在しない 異常なし
通常の炎症でも起こるような軽度異型細胞を確認
C 中等度異型扁平上皮細胞を確認 半年以内に再検査
D 高度(境界)異型扁平上皮細胞を確認 要精密検査
悪性腫瘍細胞の疑いがある異型扁平上皮細胞を確認
E 悪性腫瘍細胞を確認

(参照元:「国立がん研究サンタ―のがんの本 肺がん 治療・検査・療養」の「Q&A 先日、喀痰検査を受けたら要精密検査と言われました。こらはがんの宣告と同じことですか?」を参考に作成)

喀痰細胞診検査の検査結果の評価はA~Eの5段階になっています。

Aは検体の中に痰が含まれていないケースで、喀痰細胞診以前の問題で再検査となります。

そして、喀痰細胞診検査で要精密検査と言われるのは、D判定とE判定の場合であり全体の1%程度しかないと言われています。

要精密検査ではないB、C判定とは?

気管支炎や喘息などの炎症を伴う呼吸器系疾患でも、程度の軽い異型扁平上皮細胞は発生しています。

このような場合には形態変化の度合いも小さく数も少ないことが多く、軽度異型扁平上皮細胞としてBの区分になります。

また、がん細胞というのは増殖の制御が利かなくなるとともに周りの正常な細胞の増殖をも狂わせてしまう細胞ですので、痰の中の異型細胞の数も多くなります。

良性腫瘍の場合や炎症が酷い場合には、形態変化が激しく数も多くなっていますが、ある程度の正常細胞も混在している中等度異型扁平上皮細胞としてCの区分になります。

ただし、良性から悪性に変化する、すなわち、扁平上皮がんに変わる可能性もあるため、経過観察として6ヶ月以内の再検査により追跡調査をすることになります。

要精密検査のD、E判定における肺がんの可能性!

D判定で言うところの高度(境界)異型扁平上皮細胞というのは、痰の中に含まれている大半の細胞にがん細胞の持つ異型性は確認されているものの正常な細胞をがん化させるという悪性腫瘍特有の形態的特徴までは確認することが出来ない状態を意味しています。

E判定になると悪性腫瘍であると判断される形態的特徴を持つ細胞が確認されている状態です。

ただし、明らかに悪性腫瘍細胞と判断できる細胞が確認されているE判定であっても、精密検査によって肺がんであるケースというのは10%以下でしかありません。

参考文献

  1. 国立がん研究センターのがんの本「肺がん」
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