がんの補完代替医療(CAM)とは?

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1.がんの補完代替医療(CAM)の定義

米国の国立補完代替医療センターによると、補完代替医療とは「一般的に従来の通常医療と見なされていない様々な医学・施術・ヘルスケアシステム、生成物質など」と定義されています。

英語では補完代替医療のことをComplementary and Alternative Medicine(コンプリメンタリー・アンド・オルタナティブ・メディシン)といい、頭文字を取ってCAMと略されることもあります。

日本でも代替医療を促進していくために日本補完代替医療学会が設立されており、この学会では補完代替医療を「現代西洋医学領域において、科学的未検証および臨床未応用の医学・医療体系の総称」と定義しています。

近年では、補完代替医療の研究が進められ病気に対する効果が確認されてきたため、現代西洋医療と組み合わせて患者の身体と精神を総合的にケアする「統合治療」という概念も生まれてきました。

医療技術が進んでいるアメリカでは、がん治療の現場で現代西洋医療(手術・放射線・抗がん剤などを用いた通常医療)と補完代替医療を組み合わせた学問 「統合腫瘍学」が生まれています。

この分野の学会も設立されており、がんの統合医療を推進しています。

2.がんの補完代替医療の種類と内容

補完代替医療で用いられる種類の分類は日本とアメリカで異なっています。以下にそれぞれの分類を表にしてまとめていますので参考にしてみてください。

日本補完代替医療学会では、補完代替医療を以下のように分類しています。

名称 内容
中国医学 中薬療法、鍼灸、指圧、気功
インド医学 アーユルベーダ医療
免疫療法 リンパ球療法など
薬効食品・健康食品 抗酸化食品群、免疫賦活食品、各種予防・補助食品など
その他の療法 ハーブ療法、アロマセラピー、ビタミン療法、食事療法、精神・心理療法、温泉療法、酸素療法

参考:日本補完代替医療学会 代替医学・医療とは? 代替医学・医療の種類

米国の国立補完代替医療センター(NCCAM)では、補完代替医療を以下のように分類しています。

名称 内容
天然産物 ハーブ、ビタミン、ミネラル、サプリメント、プロバイオティクスなど
心身医療 気功、鍼灸、瞑想、ヨガ、深呼吸訓練、催眠療法、イメージ療法、漸進的弛緩法、太極拳など
手技療法と身体技法 脊椎の徒手整復術(マニピュレーション)、マッサージ療法など
その他 ピラティス・ロルフィングなどの運動療法、レイキ・ヒーリングタッチなどのエネルギー療法、ホメオパシーなど

出典:がんの補完代替医療ガイドブック【第3版】(2012年)

これらの表から分かるように、補完代替医療には世界の伝統医学・民間療法から保険適用外の新治療法まで様々な医療が含まれています。

これらの中には効果を裏付けるものがなく非科学的なものもありますが、病気に対する有効性が科学的に証明されてきているものが増えてきているのも事実です。

このことを裏付ける事実として、補完代替医療に関する文献が在来医療の文献に比べ約2倍も多く作成されているという報告があります。

実は日本のがん治療の現場でも、がん治療をしながらサプリメントを摂取する、漢方薬を併用する、鍼灸を受けているなど、補完代替医療とされるものを利用しているがん患者が約半数もいるというデータが厚生労働省の研究班によって報告されています。

また、補完代替医療はがん患者としては比較的若い人たちが多く利用しているという調査結果もあることから、補完代替医療をがん治療に取り入れていくことを考える方が今後さらに増えていくことが予想されています。

3.がんの補完代替医療を選ぶ際のポイント

がんの治療法や予防法に関する情報はテレビや新聞、インターネットなどから発信されていますが、がんの補完代替医療に関する情報に関しては、科学的根拠に基づいていないものが多くあるというのも事実です。

それゆえ、がん治療に対して有益な効果をもたらす補完代替医療を選ぶためには、がん患者やその家族が選択したものが科学的に検証されているものか、結果の信頼性がどれほど高いものなのかを確かめておく必要があります。

結果の信頼性が高いか低いかを見極めるためには、どの研究方法によって得られた結果かを確認することが大切になります。

以下に、結果の信頼性が高い研究方法を表にして掲載しておきますので、出版物やネット記事で掲載されているがんの補完代替医療について書かれた内容が信頼性の高いものかそうでないものかを判断する基準にしてください。

研究方法 研究の実施 結果の信頼性
ランダム化(無作為化)比較試験 困難 高い
非ランダム化(非無作為化)比較試験
コホート研究
患者対照研究
症例報告
実験室での研究
権威者の意見・経験談 容易 低い

出典:がんの補完代替医療ガイドブック【第3版】(2012年)を参考に筆者が再作成

がんの治療法や予防法について書かれた本やインターネット上の記事には、「友人から○○を勧められて飲み始めたら、がんが治った」とか、「○○大学と△△株式会社が共同でがんに効果がある□□を開発」といった内容を目にすることがあるかもしれませんが、これらは権威者の意見や経験談にすぎず、科学的検証がされていないため、信頼性が低いものであると判断できます。

マウスを使った動物実験や培養細胞を使った実験で、がんに対する効果が示されたという研究報告を見ることがありますが、これらは実験室での研究にあたるもので、こちらの研究報告も信頼性の高いものであるとはいえません。

動物や培養細胞を用いた実験でがんに有意な効果が得られたとしても、ヒトのがんに同じように効くとはいえないことが多いからです。

これらと比較して、コホート研究や非ランダム化比較試験、ランダム化比較試験でがんに有意な効果が報告されているものであれば、補完代替医療として試してみる価値はあると考えてよいでしょう。

4.補完代替医療のみでの治療は危険

がんの補完代替医療は、通常医療(現代西洋医学)を補う、もしくは「補完する」医療ですので、基本的には手術や放射線、抗がん剤などを用いたがん治療と併用するものと考えられています。

通常医療のがん治療を受けずに補完代替医療のみに頼ると、手術などで完全に治せるがんを治療する機会を逸してしまったり、再発の予防ができなかったりすることも考えられます。

現在のところ、補完代替医療だけで、がんを治すことができる、再発を予防することができるという科学的な根拠は提出されていませんので、民間療法などの補完代替医療をあまりに重要視することがないように気をつけてください。

あくまでも補完代替医療はがん治療において脇役の立場であり、手術などの現代西洋医学が主役であることを覚えておくようにしましょう。

また、補完代替医療の中には進行中のがん治療に悪影響を及ぼすものもありますので、利用する前には必ず主治医に相談するようにしましょう。

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