日本は遅れてる?補完代替医療の日本と世界の現状

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2017.1.1

がん治療というと、抗がん剤や放射線を使った治療、また外科手術による治療が主体となってきましたが、最近では補完代替医療をひとつの選択肢として選ぶ人も増えてきています。

ここでは、海外と日本との補完代替医療の現状を比較していきたいと思います。

1.日本と世界の補完代替医療の利用状況

健康管理への関心や自身で治療法を選択したいという自己決定意識の高まりに加え、医療情報に接する機会がインターネットの普及によって増加したことで、日本でも補完代替医療の利用者が増えてきています。

では、日本と世界の国々との補完代替医療の利用状況についてみてみましょう。

1-1.日本におけるがんの補完代替医療の利用者数

厚生労働省のがん研究助成金による研究班が2001年に行った全国規模のがんの補完代替医療に関する実態調査では、対象となった3100人中1382人(45%)、つまり約2人に1人のがん患者が1種類以上の補完代替医療を利用していることが明らかになりました。

2008年の厚生労働省の患者調査によると、がん患者は推定で150万人いるとされていますから、現在日本では約68万人近くが何かしらの補完代替医療を利用していると考えられます。

参考:学校法人日本医科大学グループ がん特集Part.1 1.がんの患者数は推定150万人以上

1-2.世界の補完代替医療の利用状況

近年、補完代替医療は欧米の先進諸国においても増加傾向にあります。世界の補完代替医療(がんなどの疾病に限らず、腰痛などの痛みの緩和目的も含む)の利用状況は以下のとおりです。

過去に補完代替医療を利用したことがある人の割合

過去に補完代替医療を利用したことがある人の割合

引用:TMS JAPAN 補完代替医療総覧(3) 図1.発展途上国の伝統医学利用率と先進国のCAM利用率

各国でがん患者を対象に行った利用実態調査も行われており、約40~60%のがん患者が様々な補完代替医療を利用している、もしくは利用した経験があるということが明らかになっています。

アメリカで2007年に米国疾病予防管理センターが行った調査によると、米国成人の38.3%にあたる8,300万人がCAMを利用していたとされています。

1990年にハーバード大学が行った調査では、CAMの利用者が6,000万人でしたので、利用者が増えてきていることが分かります。

参考:アメリカ医療 Now 「補完代替医療の現状」 利用者が年々増加、2007年には18歳以下でも11%利用

参考:医学系研究科 統合医療学寄付講座 補完代替医療の国内外の現況

2.がんの代替医療を選択する患者の特徴はほぼ同じ

日本と海外では、補完代替医療を利用する患者の特徴に違いがみられるのでしょうか?

厚生労働省が行ったがんの補完代替医療に関する実態調査によると、日本国内で補完代替医療の利用頻度が高い患者には次のような背景があると報告されています。

利用頻度が高い患者
60歳以下
女性
1日の半分以上を床上安静する必要がある
高学歴
日常生活に変化あり
化学療法(抗がん剤治療)を受けたことがある
緩和ケア病棟にいる
肺がん、乳がん、肝胆道がん

出典:がんの補完医療代替医療ガイドブック【第3版】(2012年)p.13より

この調査結果では、60歳以下の高学歴の女性で、過去に化学療法を受けた経験のある患者に代替医療の利用者が多いことが分かります。

これらの利用者の特徴は、欧米の調査報告と多くの点で一致していると言われていますから、この点では変わりはないようです。

3.がんの補完代替医療を利用する目的の違い

では、がんの補完代替医療の利用者の利用する目的には違いはあるのでしょうか?日本と海外との状況を比較してみましょう。

3-1.日本での補完代替医療を利用する目的

日本のがんの医療現場で補完代替医療の利用する目的に関して聞き取り調査を行ったところ、利用する目的の回答として以下のものがありました。

がんの補完代替医療を利用する目的
がんの進行抑制 67.1%
治療 44.5%
症状緩和 27.1%
通常医療を補完する 20.7%
(複数回答可)

参考:がんの補完代替医療ガイドブック第3版 がんの補完代替医療の利用実態

日本のがん患者は、補完代替医療を「がんの進行抑制」や「治療」を目的として利用しているということが分かります。

3-2.海外での補完代替医療を利用する目的

欧米では補完代替医療を利用している人の多くが、「通常の医療を補完するため」や「症状を緩和するため」といった目的で利用しています。

つまり、がん治療を補完代替医療で行うという意識は日本ほど高くはありません。

それよりも、補完代替医療で通常の西洋医学によるがん治療の足りない面を補うという目的で利用する人、あるいは、がんの辛い症状を緩和させる目的のために利用する人が多いといわれています。

米国とカナダではがん患者の約8割が西洋医学による治療と補完代替医療とを併用しているといわれています。

4.利用されているがんの補完代替医療の内容

日本と海外で利用されている補完代替医療の内容について比較してみましょう。

4-1.日本で利用されているもの

日本で利用されているがんの補完代替医療は以下のとおりです。

補完代替医療の内容
健康食品・サプリメント
(漢方薬・ビタミン剤を含む)
96.2%
気功 3.8%
3.7%
3.6%

参考:がんの補完代替医療ガイドブック【第3版】 p.14

つまり、日本では健康食品やサプリメントの利用頻度が96.2%と圧倒的に多いことが分かります。利用されている健康食品・サプリメントの内訳は次のようになっており、キノコ類を摂取している人が多いのが特徴です。

健康食品・サプリメントの内訳 (%)
キノコ類 (78.7)
アガリクス 60.6
AHCC 7.4
霊芝 6.3
メシマコブ 4.4
プロポリス 28.8
漢方薬 7.1
キチン・キトサン 7.1
サメ軟骨 6.7
ウコン 5.9
ビタミン 4.8
メシマコブ 4.4
クロレラ 3.7

4-2.世界で利用されているもの

海外でも健康食品・サプリメントは補完代替医療の一種として多くの国で認められていますが、利用頻度は日本のように高くはありません。

では、海外で利用されている補完代替医療にはどんなものがあるのでしょうか?

一例として、米国で利用頻度の高い補完代替医療を下記にまとめてみました。

補完代替医療の内容 (%)
リラクセーション 16.3
ハーブ療法 12.1
マッサージ 11.1
カイロプラクティック 11.0
スピリチュアルヒーリング 7.0
メガビタミン療法(大量のビタミン剤) 5.5
自助グループ 4.8

参考:TMS JAPAN 補完代替医療総覧(3) 表2.アメリカで利用頻度の高いCAMを元に筆者が再作成

このように米国では利用する補完代替医療の内容については、リラクセーションやマッサージ、スピリチュアルヒーリングなどの心理療法など、バラエティに富んでいるのが特徴です。

ドイツとイギリスの例についても考えましょう。

補完代替医療の知識が必修となっていて医師国家試験にも出題されるなど、補完代替医療に積極的に取り組んでいるドイツでは、鍼治療、イチョウ葉エキス、ナチュロパーシー(自然療法)、ハーブ療法、ホメオパシーなどが利用されています。ペインクリニックの臨床では、医師の7割が鍼治療を実践しているとされています。

臨床現場で補完代替医療を積極的に利用しているイギリスでは、がん治療のCAMを実施している施設で多く利用されているものとして、アロマセラピー(83.4%)、マッサージ(76.4%)、リフレクソロジー(71.4%)などがあります。

このように、健康食品やサプリメントを摂るというのがメインの日本の補完代替医療に対して、海外ではあらゆる種類の補完代替医療が利用されていることが分かります。

5.日本は補完代替医療の面で遅れている?

日本と海外とを比較した時に、がん患者の補完代替医療の利用者数については、欧米などの先進国では40~60%、日本でも約2人に1人が利用している(50%)と大きな開きがないことが分かります。

とはいえ、大きな違いは、ドイツや英国、米国などといった国々では、国が補完代替医療の利用について前向きであるという点です。

それらの国々では、国家レベルで補完代替医療の研究が行われているほか、補完代替医療についての情報も積極的に発信しています。

また、補完代替医療については患者がこっそりと利用しているということが多い日本に対して、ドイツのような国では医療の現場にも代替医療が積極的に取り入れられています。

このような国家レベルでの取り組みという点では、日本は欧米と比べて遅れているといえるでしょう。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス | 代替療法(健康食品やサプリメント)
  2. 四国がんセンター 補完代替医療とは 大阪大学大学院 医学系研究科 統合医療学寄附講座
  3. 書籍 がん研が作ったがんが分かる本 【新装版】-初歩から最先端、そして代替医療まで
  4. 冊子 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業 がんの補完代替医療ガイドブック【第3版】
  5. その他

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