がんの補完代替医療は本当に効果があるのか?科学的検証の方法

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2017.1.1

がんの補完代替医療を選択する際に一番知りたいことは、特定の健康食品・サプリメントや鍼灸などの治療法を行うことで、「本当にがんに対して有意な効果を得ることができるのか?」という点でしょう。

現在、テレビや出版物、インターネットなどを通して非常に多くの補完代替医療に関する情報が発信されています。

では、さまざまな情報があふれている中で、どうにしたら効果がある補完代替医療を選択することができるでしょうか?

1.特定の補完代替医療の効果を科学的に検証する方法

どの補完代替医療ががんに対して効果があるかを知るためのひとつの方法は、情報リテラシー(ある目的を達成するために情報を扱う能力や知識)を身につけることです。

がんの補完代替医療に関していえば、どのような研究方法で科学的検証が行われ、どんな結果が得られたかの情報を知り、信頼できるものなのかを判断することが必要になります。

科学的検証がしっかりなされて、がんに対する効果が示されていれば、それは本当に効果があると考えることができます。

以下に、特定のがんの補完代替医療の効果について見極めるために用いられている研究方法を表にしてみましたので参考にしてください。

研究方法 研究の実施 結果の信頼性
ランダム化(無作為化)比較試験 困難 高い
非ランダム化(非無作為化)比較試験
コホート研究
患者対照研究
症例報告
実験室での研究
権威者の意見・経験談 容易 低い

※ 厚生労働省 がんの補完代替医療ガイドブック第3版より

それぞれの研究方法の具体的な内容を分かりやすく説明していきます。

1-1.ランダム化比較試験

対象者を2つのグループにランダム(無作為)に分け、一方には新規に開発された治療法、もう一方には従来の治療法を行って治療の効果を比較する方法です。

新薬を使った比較試験の場合は、一方のグループに新薬、もう一方のグループに偽薬(プラセボ)を投与して薬の効果を比較することもあります。

ただし、新薬の比較試験においては、偽薬を用いるということが倫理的に問題になったため、偽薬ではなく従来使用されている薬と新薬を比較することが多くなってきているようです。

ランダム化比較試験は対象者がランダムに振り分けられるので、治療法の効果を純粋に検証することができるため、研究結果として信頼性が高いと言えます。

しかし、この試験を実施するためには長い観察期間と多額の費用が発生するため簡単に行えるものではありません。

また、この試験では、鍼灸・整骨療法・マッサージといった、がんの補完代替医療の効果を実証するのが難しいという問題もあります。

1-2.非ランダム化(非無作為化)比較試験

ランダム化比較試験とは異なり、ランダムに対象者を振り分けることをしません。

対象者は新規に開発された治療法もしくは新薬を服用しているということを分かっているため、プラセボ効果(効果のない薬でも効果があると信じ込むことで症状に何らかの改善がみられる作用)が起きることも考えられます。

ですから、結果の信頼性としては、ランダム化比較試験と比べ劣ります。

1-3.コホート研究

特定の集団を対象に一定期間をかけて追跡調査を行って、対象となる病気の発生率を比較することで、病気の原因となる可能性のある要因との関連性を調べていく研究方法です。この追跡調査は、数年~十数年という期間にも及ぶ大規模なものです。

コホート研究には2つの種類があります。ひとつはある病気の原因となり得る要素をあらかじめ調べておき、その後の追跡調査によって病気の発生とその要因との関係を調査するものです。これは、『前向きコホート研究』とよばれています。

もうひとつは『後ろ向きコホート研究』と呼ばれるもので、この場合は病気の発生後に過去にさかのぼってその要因を調べるものです。

1-4.症例対照研究

すでに病気になっている人(患者)と年齢・性別などを揃えた人(対照)を選び、病気の原因として考えられる要因を過去に遡って調査して両者を比較するというものです。

この研究はコホート研究にように数年~十数年という期間をかけて追跡調査をする必要がないため、結果が早く分かるというメリットがあります。

また、その分かかるコストも抑えられます。しかし、適切な研究の対照の選択が難しいことと、研究対象者の過去の記憶を頼りにするため、正確な研究結果を出すのが難しいというデメリットがあります。

1-5.症例報告

ある病気に対して有効だった診断法や治療法が複数確認されている場合、その症例に関して記録されたカルテの情報(血液検査や画像検査など)を整理して、それを類似した病態の患者の診断や治療に役立てるというものです。

ただ症例数が少ない場合、診断法や治療法が類似した病態の患者に、どれほどの確率で効果が現れるかを判断することができないため、医師には診断法や治療法を選択する際に慎重な判断が求められます。

1-6.実験室での研究

マウスやラットなどを使った動物実験、培養細胞を使った実験が実験室での研究に区分されます。動物実験や培養細胞実験は、新しい薬を開発する際に、作用機序、安全性、有効性を確認するために用いられています。

ただし、実験室で行われた研究の結果がヒトの病気に対して同じような効果を発揮すると単純に考えることはできません。

新薬の候補として動物実験などが行われた物質であっても、それが実際に医療現場で使われる薬となる確率は1/6000(0.016%)といわれています。

ですから、動物実験や培養細胞実験で抗がん作用がみられたからといって、効果があると判断するのは早急です。

1-7.権威者の意見・経験談

がんの補完代替医療を探している時に、目にしたり聞いたりする機会が多いものが権威者の意見や経験談といったものだと思います。

大学教授やがん治療の権威者と呼ばれる方の意見は信ぴょう性が高いように思えるかもしれませんが、これはデータの裏付けがない主観に基づく意見ですので、信頼性が一番低いものと考えるようにしましょう。

経験談も具体的な内容が含まれているために説得力があるように感じられるかもしれませんが、科学的な根拠に基づかない主観的な意見であることが多いので、経験談だけを参考に補完代替医療を選ぶことがないようにしましょう。

権威者の意見や経験談を聞いたり、読んだりする際には、どんな根拠に基づいているのかを見極める必要があります。

2.補完代替医療の多くは、実験室での研究程度

特定の補完代替医療の効果について語ったものの多くは、マウスやラットなどの動物実験や細胞レベルでの実験などの実験室での実験によるものです。

つまり、効果がないと言い切ることはできませんが、科学的に効果を示すには信頼性が乏しいということになります。

ですから、ある特定の補完代替医療の研究結果などが記載されたり、報じられたりする場合は、ここに挙げた中のどの研究の結果によるものなのかを確認するようにしましょう。

科学的に信頼性の高い研究は、ランダム化比較試験によるものですが、それ以外の研究によるものであれば、その効果について過度の期待を抱かないようにしてください。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス | 代替療法(健康食品やサプリメント)
  2. 四国がんセンター 補完代替医療とは 大阪大学大学院 医学系研究科 統合医療学寄附講座
  3. 書籍 がん研が作ったがんが分かる本 【新装版】-初歩から最先端、そして代替医療まで
  4. 冊子 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業 がんの補完代替医療ガイドブック【第3版】
  5. その他
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