がんと「漢方薬」

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2017.1.1

漢方薬を補完代替医療とみなすかどうかは欧米と日本で見方が多少異なっています。

欧米では漢方薬についての西洋医学的な見地からの科学的検証が不足していることから、現在のところ補完代替医療の「ハーブ・食品」の中に分類されています。

それに対して、日本では厚生労働省によって漢方薬が医薬品として認められており、医療者の管理下で治療に用いられている医療用漢方薬があります。

そのため、漢方薬は補完代替医療には当てはまらないと考えている医療従事者もいます。

現在のところ、漢方薬は補完代替医療のひとつという見方が一般的ですが、アメリカで日本の医療用漢方エキスを利用して漢方薬の有効性を検証する臨床試験が進行中で、その結果次第では欧米でも通常医療のひとつとみなされる可能性もあります。

ここでは、がんの補完代替医療として用いられている漢方薬にはどのようなものがあるのか、またがん患者が漢方薬を使用する際にどんな点を注意したらよいかを紹介していきます。

1.漢方薬とは?

漢方薬は天然の有効成分が含まれている「生薬」を組み合わせて作ったものです。

生薬とは、薬効成分を持った植物の根や茎、貝殻や鉱物などの天然成分を蒸したり、塩水で浸して干したり、乾燥させるなど加工したものです。

日本で漢方薬と分類されたものは医学的に認められており、数種類の生薬を組み合わせることで様々な症状に効くとされています。

現在、日本では厚生労働省によって認可された漢方生薬が約200種類あり、生薬単位で処方することができるようになっています。これらは医療用漢方薬として分類されているために保険の適用が可能です。

2.代表的な漢方薬

補完代替医療として有効であるという報告がなされた漢方薬に以下のものがあります。

  • 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
  • 大建中湯(だいけんちゅうとう)
  • 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
  • 六君子湯(りっくんしとう)
  • 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
  • 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

これらの漢方薬には、基本的に2種類以上の生薬が組み合わされています。

例えば、補完代替医療の現場でよく用いられている「十全大補湯」は、人参(にんじん)、白朮(びゃくじゅつ)、甘草(かんぞう)、茯苓(ぶくりょう)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、地黄(じおう)、川芎(せんきゅう)、黄耆(おうぎ)、桂皮(けいひ)といった生薬からなっています。

3.漢方薬のがんに対する効果

ヒトを対象とした臨床試験が近年多く行われるようになり、漢方薬の効果が科学的に証明されてきています。

現時点で、がん細胞を直接殺傷する漢方薬は発見されていませんが、がんの再発や転移の抑制、化学療法や放射線療法の副作用の軽減、生活の質の改善などの効果があることは臨床試験で明らかになってきています。

下記にどのような漢方薬がどんな症状に効果を発揮したのかまとめてみました。

漢方薬 効果
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) 乳がんの化学療法とホルモン療法に併用して使用することで生存率を改善
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう) 抗がん剤(塩酸イリノテカン)の副作用として生じる重篤な下痢の予防や軽減
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) 抗がん剤(パクリタキセル)の副作用として生じる末梢神経の痛みの緩和
大建中湯(だいけんちゅうとう) 手術後の腸閉塞や腸管運動麻痺を予防
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん) リンパ浮腫を減退させる
六君子湯(りっくんしとう) 胃がんの手術後に起こる逆流性食道炎の改善

出典:がんの補完代替医療ガイドブック 第3版 p38より

4.漢方薬を利用する際の注意点

漢方薬は自然素材の生薬の組み合わせから作られているため、副作用の心配がない安全な薬と考えている方もいるかもしれません。

しかし、医療用漢方エキス製剤を利用する際には、医薬品ですので副作用や他の薬との併用に注意する必要があります。

漢方薬を使用し始めると、湿疹やできものができたり、汗をどっとかくようになったり、トイレに行く回数が増えたり、下痢になってしまうこともあります。

これら副作用のように思えるものは、血液やリンパの流れが良くなることで起こるもので、体の中から不要なものが排出されると自然と治まってきます。漢方ではこれらの体の変化を「瞑眩(めんげん)」と呼んでいます。

最近ではインターネットを通じて様々な漢方薬を購入できるようになっていますが、販売されているものの中には日本では承認されていない漢方薬もあります。

個人で購入する際には、購入しようとしている漢方薬が本物で安全性の高いものかしっかりと確認する必要があります。

もし、製造元などに確認が取れないなど不安が残るようであれば、購入を見送った方が良いかもしれません。

いずれにしても、漢方薬は日本では医薬品という括りで取り扱われていますから、抗がん目的のために利用する際には必ず医師と相談するようにしてください。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス | 代替療法(健康食品やサプリメント)
  2. 四国がんセンター 補完代替医療とは 大阪大学大学院 医学系研究科 統合医療学寄附講座
  3. 書籍 がん研が作ったがんが分かる本 【新装版】-初歩から最先端、そして代替医療まで
  4. 冊子 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業 がんの補完代替医療ガイドブック【第3版】
  5. その他
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