だれにも聞けない!健康食品で「がん」は治る?

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2017.1.1

がん治療というと、外科手術のほかに放射線療法や抗がん剤を使った化学療法のことを思い浮かべる方が多いと思います。

しかし、そのような西洋医学を補う目的で、またはそれらの治療にとって代わるものとして、近年ではがんの補完代替医療(CAM)を受ける方も増えてきています。

がんの補完代替医療には、健康食品の摂取からマッサージ、整体、鍼灸まで様々な方法がありますが、その中で利用者が多いのが健康食品です。

厚生労働省の調査結果によると、がんの補完代替医療を利用している患者の9割以上は何らかの健康食品を利用していることが分かっています。

しかし、健康食品を摂取しているだけでがんを治すことはできるのでしょうか?ここでは、健康食品でがんを治すことができるのかという点について解説したいと思います。

1.健康食品とは?

「健康食品」と聞くと、健康にいいものなんだろうというイメージはありますが、どういうものが健康食品と定義されているのかについて、きちんと答えられる方は少ないと思います。

実は健康食品については、明確な定義づけがなされていません。ですから、一般的に健康食品というと、「健康の保持や増進に役立つ食品のこと」を指します。

とくに形状などについては定められていませんから、クロレラのような錠剤タイプのものも健康食品ですし、ノニジュースのような飲料も健康食品になります。

また、食材になるものでも健康の維持や増進を目的としてつくられたものであれば健康食品になりますし、お菓子だったとしても健康食品に入るものもあります。

一般的に健康食品については、医薬品でないために「がんを治す!」とか「がんを予防する!」といった記載をすることは認められていません。

しかし、健康効果が期待できるとされている食品の中でも、国が定めた基準を満たし『特別用途食品』や『特定保健食品』、『栄養機能食品』として認められているものは、制限はあるものの特定の栄養機能や保健機能について表示することが許されています。

これらの食品については、きちんとした基準が国によって定められていますから、いわゆる健康食品と呼ばれるものに含まれません。

健康食品と呼ばれるものは、国によって栄養機能や健康機能について表示することが認められていない食品、つまり『特別用途食品』や『特定保健用食品』、また『栄養機能食品』に入らない食品になります。

もちろん、『医薬品』や『医薬部外品』も健康食品には入りません。

具体的には、『機能性食品』『栄養補助食品』『健康補助食品』『栄養強化食品』『栄養調整食品』『サプリメント』といった食品が健康食品に含まれます。

これらの食品については、特定の効果や機能の表示をすることはできません。

(参考:厚生労働省 多様な健康食品

2.がんにいいとされている健康食品

数多くある健康食品の中でも、がんにいいとされている健康食品には次のようなものがあります。

など。

とくにこれらの健康食品の中でもアガリクスが一番人気で、続いてプロポリス、AHCC、漢方薬、キチン・キトサンという順になっています。

では、これらの健康食品には実際に抗がん効果があるのでしょうか?

3.がんに効果があると科学的に証明されたものは?

本や雑誌、テレビなどを通して「がんに効く!」とか「がんの予防に効果がある」といわれる健康食品が紹介されることはあります。

しかし、実際にはそのような健康食品ががんに効くということを証明できる、信頼できる科学的データはほとんどないのが実情です。

もちろん、健康食品の多くは、特定の健康効果を証明するために何らかの実験や試験が行われています。とはいえ、研究方法はさまざまで、研究方法によってはその結果の信頼度が低いものもあります。

よく行われるのは、マウスなどを使った動物実験、もしくは細胞レベルでの実験です。これらの実験によってがんへの有効性が認められれば、がんへの効果が期待できる可能性があるということはできます。

ただし、動物実験や細胞レベルの実験によってがんへの有効性が認められたからといって、必ずしもその健康食品がヒトのがんに対して効果があると結論できるわけではありません。

その健康食品がヒトのがんに対して効果があると結論するまでには、実際にがん患者に対してその食品が効果的に働いたということを十分に証明できる研究を行う必要があります。

現在、特定の治療薬や治療法のヒトへの効果を評価するための研究方法として一番信頼性が高いのは、『ランダム化比較試験』です。

この研究では研究の対象者を無作為に2つのグループに分け、ひとつのグループには新たな治療薬や治療法を、もう一方のグループには偽薬(もしくは、従来の治療薬または治療法)を用い、その効果を比較します。

ランダム化比較試験では対象者が無作為に分けられるので、研究結果は信頼が高いとされていますが、研究を行なうためには長期に渡る観察が必要ですし、多額のコストがかかるというデメリットがあります。

健康食品のがんへの有効性を証明するためにランダム化比較試験が行われたというケースは非常に少なく、現時点では健康食品の中でがんの予防や治療などへの効果の確実性が証明されたものはないのが実情です。

4.健康食品ががんを悪化させる可能性もある

健康食品の中には、健康な人が摂取した場合にはとくに問題がないものの、がん患者が摂取するとがんの悪化を招くものもあります。

例えば、抗酸化作用のあるビタミン類は抗がん作用があるといわれている一方で、放射線療法や抗がん剤などの化学療法と併用して摂取することで、がんの治療効果を弱めてしまう可能性があることが指摘されています。

また、抗がん効果があるといわれている大豆イソフラボンについても、女性ホルモンの作用が影響している子宮がんや乳がんの患者の場合は、がんを増殖させてしまう可能性があるといわれています。

ですから、「健康食品=身体にいい=がんにもいい」というイメージがあるかもしれませんが、ある種のがんを悪化させたり、がん治療の効果を弱めてしまったりする可能性がありますので、注意するようにしましょう。

5.がん治療における健康食品の位置づけとは?

ここまで考えてきましたように、現時点では健康食品のがんへの有効性が確実に証明できたデータはありません。むしろ、健康食品の中にはがんを悪化させる可能性があることが指摘されているものもあるのが事実です。

ただ、「信頼できる科学的なデータがない=健康食品に効果はない」というわけではありません。現時点では、信頼できる科学的なデータがないだけで、実際にはがんへの効果がある可能性があるものもあります。

健康食品は医薬品ではありませんので、「がん治療に効果がある」とは言い切ることはできませんが、がんの予防や治療の補助的な役割としてある種の健康食品を試すというのはひとつの方法といえるでしょう。

しかし、がんの種類や治療法によっては特定の健康食品との相性が悪い場合もありますから、がん患者の摂取に際しては医師に相談するようにしてください。

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