がんと「マッサージ療法」

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2017.2.16

江原 靖子

この記事の監修者

鍼灸マッサージサロン揺らぎ 院長
せんねん灸セルフケアサポーター
はり・灸・あん摩マッサージ指圧師 江原 靖子

最近の研究によると、がん患者がマッサージ療法を受けることにより、不安や抑うつの軽減、疼痛、悪心を改善するのに役立つ可能性があると考えられています。

ここでは、がんの補完代替医療としてマッサージ療法にどんなことが期待できるのか、利用する際にどんな点に気をつけたらいいのか解説していきます。

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1.マッサージ療法とは?

マッサージ療法は、圧力を身体に加えて、皮膚や皮下組織、また、毛細血管や筋組織などに有益な効果を与えるために行うものです。

マッサージ療法においては、血行促進効果や疲労改善効果、また筋肉の緊張をほぐすといった効果があります。

マッサージの仕方はさまざまで、手を用いることもあれば、マシンを使って施術を行うこともあります。

1-1.マッサージの生理学的作用

体の各部に力を加えることで、代謝を高めることができるほか、免疫の活性化を期待することができます。ここでは、マッサージにどんな生理学的作用があるのか簡単に紹介していきます。

1-1-1.皮膚および皮下組織に対する効果

皮膚および皮下組織に力学的な作用が加わると、毛細血管が刺激され血管を拡張していきますので、皮膚の代謝が盛んになり皮膚温も高まっていきます。

1-1-2.筋組織に対する効果

マッサージによって血液の流れやリンパの流れが良くなると、滞っていた疲労物質が流れ、筋肉の疲労感が改善します。

また、筋肉の緊張も緩和され、コリなどの症状にも改善がみられるようになります。

1-1-3.神経系に対する効果

マッサージは慢性的な痛みの緩和などにも効果があるほか、うつや自律神経失調症などの改善にも効果があることが分かっています。マッサージ時の圧の入れ方によって、作用の仕方が異なります。

1-1-4.循環器系に対する効果

マッサージは手足の先端から心臓に向かって施されますので、マッサージを受けると、血液やリンパの流れが良くなります。そのため、むくみや疲労などが改善されるほか、冷えなどの症状の改善にも効果が期待できます。

1-1-5.免疫系に対する効果

マッサージには、リラクゼーション効果や血行促進効果があります。そのため、免疫系の活性化につながり、細菌やウイルスに感染しにくい身体づくりに役立つと考えられています。

2.マッサージ療法の効果を裏付ける科学的根拠

マッサージ療法に関する多くの研究で明らかになっているのは、痛みや様々な病気と関連する他の症状に一定の効果があるということです。

ただし、マッサージ療法の効果を継続して得るためにはマッサージを受け続ける必要があります。

ここでは、科学的根拠があると認められた事例をいくつか紹介していきます。

2-1.痛みの緩和

マッサージは腰痛や肩こり、ひざ関節周辺の痛みの緩和に効果があるといわれています。

臨床試験による報告としては、米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)が助成したいくつかの研究によって、マッサージが膝の変形性関節症や慢性腰痛などの痛みに効果がある可能性が指摘されています。

実際、米国疼痛学会(APS)と米国内科学会(ACP)では、腰痛への推奨治療の一つとしてマッサージを挙げています。

2-2.メンタルヘルス

マッサージの中には「メンタルヘルスマッサージ」と呼ばれているものがあるように、マッサージはメンタル面での健康に役立つことが分かっています。そのことは、2012年にNCCIHが助成したランダム化比較試験によって示されています。

その試験によると、抑うつ状態の女性に1週間に2回のペースでヨガとマッサージを併用して約3ヶ月にわたって行ってもらったところ、うつ症状や不安などの気持ちが改善されたということです。

また、マッサージによってストレスが軽減されることが、2010年に行われた研究で分かっています。約50人を対象にしたこの研究では、スウェーデン式マッサージを受けたグループとそうでないクループとを比較しました。

血液検査の結果、マッサージを受けたグループにはコルチゾールなどのストレスホルモンの数値に減少がみられたということです。

2-3.その他

ほかにもマッサージ療法には、HIVやAIDS患者の生活の質(QOL)を改善する可能性があることや、線維筋痛症の痛みや倦怠感を軽くする可能性があることが指摘されています。

しかし、科学的に十分な裏付けがなされたものではありませんので、あくまでも可能性があるという程度に留まります。

3.がんの補完代替医療としてのマッサージ

日本緩和医療学会が作成した「がん補完代替医療ガイドライン第1版」では、がん患者を対象に足マッサージを行ったところ、疼痛、吐き気、リラクセーションスコアがマッサージ後に有意に低下したと報告されています。

また、マッサージとアロマセラピーを併用することで、がん患者の身体的、心理的症状の改善に役立ったという報告もあります。

米国統合腫瘍学学会が公表した臨床実践ガイドラインの2009年度版では、マッサージ療法を不安や疼痛のあるがん患者に対して通常治療を補完するものとして行うことを勧めています。

同学会は2014年に公表した、乳がん治療を受けた患者の支持療法(がんに伴う症状、副作用を軽減したり予防したりする治療)に関するガイドラインにおいて、乳がん治療後の患者の気分障害を改善する目的でマッサージ療法を摂り入れることを推奨しています。

このガイドラインでは「マッサージ療法から得られる利益は中程度であるという確かな根拠がある」としています。

参考:海外がん医療情報リファレンス がんの症状および治療の副作用に対する補完療法と統合医療:科学的評価 「マッサージ療法」

4.マッサージ治療を受ける際の注意点

抗がん目的の健康食品などを摂り入れる場合には、副作用の心配がありますが、マッサージ療法にはそのような副作用の心配はほぼありません。

しかし、がん患者がマッサージ療法を受ける場合にはいくらかの注意が必要となります。まず、抗がん剤治療などの影響で血小板の数値が低下している場合は、マッサージによる圧力によって内出血が起きると、血が止まらなくなるといったリスクがあります。

また、血液をサラサラにするためにワーファリンなどの抗凝固剤を使っている場合も同様です。基本的に、がんの部位には圧をかけるのは避ける必要があります。

ですから、がん患者がマッサージ療法を受ける場合は、医師に相談するとともに、訓練を受けたマッサージ師による施術を受けるようにしましょう。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス | 代替療法(健康食品やサプリメント)
  2. 四国がんセンター 補完代替医療とは 大阪大学大学院 医学系研究科 統合医療学寄附講座
  3. 書籍 がん研が作ったがんが分かる本 【新装版】-初歩から最先端、そして代替医療まで
  4. 冊子 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業 がんの補完代替医療ガイドブック【第3版】
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