がんと「鍼灸」

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2017.2.9

 齋藤 隆裕

この記事の監修者

中医臨床センター センター長
鍼灸らせん堂 院長
正中山遠壽院 「荒行堂 百日大寒行」東洋医学顧問
はり・灸・あん摩マッサージ指圧師 齋藤 隆裕

 峯尾 賢

この記事の監修者

ボディーデザイナー
ダイエットアドバイザー
ルナクリニック専属トレーナー
ピフィラティス公認インストラクター
はり・灸・あん摩マッサージ指圧師 峯尾 賢

がんの補完代替医療の利用実態の調査によると、日本の医療現場で8.3%ほどの方が鍼灸を利用していると報告されています。

鍼灸はがん治療や予防目的以外にも用いられており、20~30%ほどの日本人が一生のうちに一度は鍼灸治療を受けていると言われています。

1.鍼灸とは?

鍼灸は、中国に起源をもつ伝統医療で、一般に「はり・きゅう」と呼ばれています。

日本に鍼灸や漢方が伝来したのは6世紀初めの飛鳥時代に遡ることができます。

以来、約1000年以上もの間、生薬を用いる漢方とともに日本人の健康に活用されてきました。

幕末から明治期にかけてオランダやドイツから、感染症や外科手術に目覚ましい効果のある近代西洋医学が伝わり、当時の政府の方針によって鍼灸治療を含む伝統医学は衰退していきました。

しかし近年では日本や中国だけでなく、世界各国の大学や研究機関で伝統医学に対する科学的な手法による検証が行われて、鍼灸の効果が徐々に解明され始め、一部の症状や生活習慣病に対し再評価されはじめています。

鍼灸はひとくくりにまとめられることが多いですが、鍼と灸では施術の方法が異なります。

1-1.鍼の施術について

細い鍼を使って経穴(ツボ)を刺激して治療します。

鍼には様々な種類がありますが、一般的な鍼治療に用いられる「毫鍼(ごうしん)」は太さが0.16~0.24mm程度、長さが30~60mm程度です。

患者の部位や症状、状況によって使い分けます。

鍼治療は「痛そう」というイメージがあるかもしれませんが、予防接種などに使われる注射針(0.50mm)と比べるとかなり細く、実際には痛みはほとんどありません。

鍼を施術することを「鍼を打つ」といいます。鍼は細くて長いので曲がりやすく、目的の部位にきちんと刺すためには高い技術が必要とされます。

現在の日本では鍼を打つ時に専用の「鍼管」と言う、鍼より一回り大きな管に鍼を入れて刺入(しにゅう)を行う「管鍼法」が一般的です。

鍼管を使うことで、はり師の力が強すぎて鍼を曲げてしまったり、逆に弱すぎてうまく刺入できずに患者に痛みを感じさせてしまうことを防ぐことができます。

鍼の治療においては、刺入した鍼を上下に動かしたり、回したりすることで、経穴に刺激を与えていきます。

また、鍼に低周波の電流を流して刺激を与えることもあります。

1-2.灸の施術について

もぐさ(よもぎの葉の裏にある白い綿毛のようなもの)を経穴の上で燃焼させるのが灸の施術です。

灸の施術は大きく「直接灸」と「間接灸」の2種類に大別されます。

直接灸は、もぐさを皮膚の上に直接置いて燃焼させます。間接灸は、もぐさと皮膚の間を空けて燃焼させる方法です。

直接灸でよく用いられる「透熱灸」は、皮膚の上で半米粒大(2mm)のモグサを置いて燃焼させます。

燃焼温度は40℃~60℃で、施術後は皮膚に小さな火傷や水泡など灸痕が残ります。

間接灸は、もぐさと皮膚の間に空間を設けたり、切った生姜、にんにく、味噌などの緩衝材を入れたりしていますので、熱が適度なものとなり気持ちよく施術を受けることができます。

火傷を作らないように施灸するため「知熱灸」とも呼ばれます。

2.さまざまな症状や病気に効果がある鍼灸

鍼灸治療は、肩こりや腰痛、神経痛などにしか効果がないと一般的に思われているかもしれませんが、最近の研究によって多くの症状や病気に効果があることが分かってきました。

米国の国立衛生研究所の見解として、神経系疾患・運動器系疾患・循環器系疾患・呼吸器系疾患・消化器系疾患・代謝分泌系疾患・生殖、泌尿器系疾患・婦人科系疾患・眼科系疾患・小児科疾患に対して、鍼灸が西洋医学の補完代替医療として有効で科学的根拠があると発表しました。

具体的な鍼灸の適用例として以下のものがあります。

具体的な鍼灸の適用例
神経系疾患 神経痛・神経麻痺・けいれん・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー
運動器系疾患 関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)
循環器系疾患 心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ
呼吸器系疾患 気管支炎・喘息・風邪および予防
消化器系疾患 胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾
代謝内分秘系疾患 バセドウ病・糖尿病・痛風・脚気・貧血
生殖、泌尿器系疾患 膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎
婦人科系疾患 更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊
耳鼻咽喉科系疾患 中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎
眼科系疾患 眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい
小児科疾患 小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善

引用:公益社団法人 日本鍼灸師会 こんな症状に効果があります<鍼灸の適応症>

3.がんの補完代替医療としての鍼灸

鍼灸の臨床試験は世界各国で行われており、がんの補完代替医療として効果があるという報告も多く寄せられています。

鍼灸治療を行ったことによる効果として以下のものが報告されています。

  • がんにともなう痛みの緩和
  • 吐き気や嘔吐など、抗がん剤を用いた化学療法による副作用を緩和
  • 乳がん治療の副作用としてみられるホットフラッシュ(ほてり、のぼせなど)の軽減
  • 手術後の腸閉塞の予防
  • 闘病生活における精神的・心理的苦痛の緩和

このような効果がみられるために、がんの闘病生活における患者の生活の質を改善するために鍼灸を受けることにはメリットが多いと考えられています。

しかし、抗がん剤の副作用に関しては、早期のものに関してのみ効果がみられたということですから、すべてのがん患者の抗がん剤治療における副作用の緩和に役立つわけではないということを思いに留めておくようにしましょう。

4.鍼灸治療を受ける際の注意点

鍼治療は鍼を経穴に刺していく施術です。通常、治療にともなう出血はほとんどありませんが、まれに内出血や出血をともなうケースもあります。

もし、がん治療を受けている方で血小板の数値が少なくなっている方や、またがんが進行しているために出血しやすい状態になっている場合は、鍼治療にはリスクがともないますので治療については受けるかどうか慎重に判断しましょう。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス | 代替療法(健康食品やサプリメント)
  2. 四国がんセンター 補完代替医療とは 大阪大学大学院 医学系研究科 統合医療学寄附講座
  3. 書籍 がん研が作ったがんが分かる本 【新装版】-初歩から最先端、そして代替医療まで
  4. 冊子 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業 がんの補完代替医療ガイドブック【第3版】
  5. その他

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