がんと「運動療法」

  • Facebook シェア
  • はてなブックマーク
  • LINE
  • Google+

2017.2.9

 峯尾 賢

この記事の監修者

ボディーデザイナー
ダイエットアドバイザー
ルナクリニック専属トレーナー
ピフィラティス公認インストラクター
はり・灸・あん摩マッサージ指圧師 峯尾 賢

世界がん研究基金が2007年に発表した「10項目のがん予防指針」のなかで最初に取り上げられているのが、標準体重を維持し、ウエストサイズを増えないようにすることで、2つ目が「毎日30分以上運動する(早歩きのような中程度の運動など)・座りぐせ(テレビを観るなど)を減らす」というものでした。

(参考:がんの補完代替医療ガイドブック【第3版】 p.40)

国立がん研究センターの予防研究グループが提示した「日本人のためのがん予防法」でも、身体活動を行うこと、体型を適正な範囲内に保つようにすることが推奨されています。

ですから、がんを予防するという観点からすると、運動療法を行うことの重要性が分かります。

ここでは、運動療法とは何を指すのか、がんの補完代替医療としての運動療法の有効性を示す事例などを紹介していきたいと思います。

スポンサーリンク

1.運動療法とは?

運動療法とは、疾患や障害の治療、予防のために運動を活用することを指します。治療、もしくは予防のために運動をするという観点からすると、歩行などの有酸素運動が基本的なアプローチになります。

有酸素運動を行うことで、体脂肪や中性脂肪の減少、血糖の低下や糖質代謝の改善などがなされますので、運動療法を継続すると、糖尿病や高血圧、脂質異常症、虚血性心疾患といった生活習慣病の予防・改善ができます。

そのため、最近では運動療法や食事療法を生活習慣病の通常医療に組み合わせることが推奨されてきています。

2.がんの補完代替医療としての運動療法

厚生労働省が運営している健康情報サイト『e-ヘルスネット』によると、運動療法は糖尿病や高脂血症、脂質異常症といった生活習慣病を改善するのに効果的であることが分かっています。

(参考:e-ヘルスネット 健康用語辞典「運動療法」

では、がんと診断されてしまった人にとって運動療法にはどんな意味があるのでしょうか?

最近行われた大規模な疫学調査において、がんと診断された後に積極的に運動をしている人の方が、そうでない人と比較したときに、生存が延長したり、がんの再発が抑制されたりする可能性があると報告されています。

つまり、運動療法はがん患者にも有効ということです。

がんの再発などのリスクを減らすために行うべき適度な運動量としては、1週間に3~5時間のウォーキングに相当する運動が目安とされています。

これは、ウォーキングなら3~5時間ということですから、運動量が多いジョギングや他の運動なら、もっと短時間でも良いということになります。

ウォーキング1時間を基準としたときに、ほかの運動がどれくらいの運動量に相当するのか、1時間当たりの換算値の目安は下記の表を参考にしてください。

項目 1時間当たりの換算値
普通の速度のウォーキング 1
非常に早足のウォーキング 1.5
ジョギング 2.3
サイクリング 2.3
テニス・スカッシュ 2.3
スイミング 2.3
柔軟体操・エアロビクスなど 2
ヨガやストレッチなどの軽い運動 1
その他、草刈りなどの活動 2

出典:がんの補完代替医療ガイドブック【第3版】 p40 表15;運動量の換算表

普通の速度のウォーキングと比べて1時間当たりの換算値が2.3となっているジョギングやサイクリング、スイミングであれば1週間の運動量は半分程度、つまり1.5~2.5時間で良いということになります。

がんの治療後は、できるだけ安静にした方が良いと考える人も少なくありませんが、複数の臨床試験では、適度な運動をすることでがん患者の免疫機能が活性化したり、精神的なストレスが軽減したり、生活の質が向上したりするといった効果が確認されています。

また、適度な運動はがん治療による副作用からくる身体の不調を防止するのにも効果的です。

前立腺がん乳がんなどでホルモン治療を受けている方は、副作用で筋力が低下してしまったり、骨密度の低下が起きたりして骨折しやすくなります。

こうした治療を受けられている方の場合は、運動、特に筋力トレーニングを取り入れていくことで、骨折などのリスクを下げることができます。

3.がんの予防にも運動は効果的

運動はがんの予防にも効果的であることが分かっています。

世界がん研究基金と米国がん研究協会の報告では、運動をすることは大腸(結腸)がんのリスクを下げることが“確実”で、閉経後乳がん、子宮体がんのリスクを下げることも“ほぼ確実”であるとしています。

日本人を対象としたコホート研究では、身体活動量が仕事や運動などで高くなると、がん全体の発生率が低くなるという結果が示されています。

さらに、身体活動量が増えると、がんだけでなく心疾患の死亡リスクを下げることから、死亡全体のリスクも低くなるということが分かっています。

運動というと筋肉トレーニングや、ジョギングなどの少しハードな運動を思い浮かべるかもしれませんが、ハードである必要はなく、ウォーキング程度の運動でも十分な効果があると報告されています。

米国がん学会と米国がん研究所、米国衛生研究所などの研究チームが19~98歳までの144万人を対象に11年間にわたって調査をした結果、ウォーキングなどの運動を一週間に5日以上やっている人は、そうでない人に比べてがんの発症リスクを約2割減らせることが明らかとなりました。

参考:糖尿病ネットワーク ウォーキングが13種類のがんのリスクを減少 運動でがんを予防

4.運動療法をする際の注意点

がん以外に心筋梗塞や心筋症などの心臓機能疾患を抱えている方、また、ぜんそくや慢性呼吸器疾患など呼吸機能に障害がある方は、どの程度の運動なら許容されるか医師に相談の上、運動療法を取り入れるようにしてください。

また、末期がんで食欲が落ちていて極度に栄養状態が悪いという場合も、運動をしても良いか医師と相談して決めるのが良いでしょう。

参考文献

  1. パーソナルトレーニングジム fis.
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス | 代替療法(健康食品やサプリメント)
  3. 四国がんセンター 補完代替医療とは 大阪大学大学院 医学系研究科 統合医療学寄附講座
  4. 書籍 がん研が作ったがんが分かる本 【新装版】-初歩から最先端、そして代替医療まで
  5. 冊子 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業 がんの補完代替医療ガイドブック【第3版】
  6. その他

がんとわかる前にがん保険を検討しよう!

がん保険はがんになってからでは加入できません。またがん保険は医療保険と違い、持病や既往歴があっても問題ないケースが多いのが特徴です。

がんになった際の治療費が心配な方は、がんになる前に一度資料請求をして検討してみるとよいでしょう。

FPが選ぶおすすめがん保険人気ランキングの上位2社をご紹介しておきます。

チューリッヒ生命がん保険
メットライフガードエックス
  • Facebook シェア 0
  • はてなブックマーク はてブ 0
  • LINE 送る
  • Google+ 共有 0
関連記事
応援

下記団体の活動を応援しています。

がんの臨床試験(治験)募集!
医師の転職サイト
COMLの電話相談
Minds医療情報サービス
キャンサーペアレンツ

ページの1番上へ戻る