ベバシズマブ(アバスチン)の効果・効能・副作用など

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掲載している情報は一般論であり、医師や主治医の指示に従うようにしましょう。特にがん領域においては複数の医師の意見を聞くセカンドオピニオンも大切です。

2017.12.6

この記事の執筆者

薬剤師(免許証確認済み)医療用医薬品関連資材ライター

【 基本情報 】
一般名 商品名 欧文略語
ベバシズマブ アバスチン Bmab-
薬の効果・効能 VEGF阻害により腫瘍細胞内の血管新生を抑えることで腫瘍の増殖を抑制する効果
代表的な副作用 高血圧・タンパク尿・血栓塞栓症・消化管穿孔など
適応されるがんの種類
  • 治癒切除不能な進行・再発の大腸がん
  • 切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
  • 卵巣がん
  • 進行又は再発の子宮頚がん
  • 手術不能又は再発乳がん
  • 悪性神経膠腫

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ベバシズマブの働きと効果・効能

ベバシズマブは、「抗体薬」に分類される分子標的薬の1つです。日本では中外製薬から、「アバスチン」という点滴薬として販売されており、点滴静注によって投与されます。

ベバシズマブは、「血管内皮増殖因子(VEGF)」に対する抗体薬です。VEGFは、腫瘍が広がる際に必要な新しい血管を作るためのシグナルとして働くタンパクで、これを阻害することでがんの増殖を抑えます。

さらにベバシズマブには、腫瘍組織の間質圧(血管から物質が漏れやすい状態)を正常化する作用もあるため、より薬を効果的に行き渡らせる作用も期待できます。

ベバシズマブは単独で使用されることはなく、「FOLFOX療法」や「FOLFIRI療法」など、複数の抗がん剤の併用療法に加える形で用いられる点が特徴です。

たとえばFOLFOX療法と組み合わせる場合、最初にベバシズマブを投与した後で他の3剤(レボホリナートオキサリプラチンフルオロウラシル)をそれぞれ投与することが一般的です。

主に適応となるのは切除不能の結腸がんと直腸がん(大腸がん)で、一次治療もしくは二次治療として活用されます。

ベバシズマブの副作用

ベバシズマブは、VEGFに対して集中的に働きかける分子標的薬ですので、従来型の抗がん剤に多く見られる骨髄抑制や吐き気などの副作用はほとんど見られません。

ただし複数の抗がん剤と併用する形で使われるため、他の薬によってこれらの副作用が起こる可能性はあります。

ベバシズマブに特徴的な副作用としては、高血圧やタンパク尿、血栓塞栓症や出血、消化管穿孔などがあり、他の抗がん剤による副作用とともに慎重な経過観察が必要とされます。

たとえば足のむくみが現れた場合は、血栓症の可能性を考えて対処することが大切です。

出てきた副作用が、他剤によるものと判断された場合は、基本的にベバシズマブを減量することはありません。しかし明らかにベバシズマブによる副作用が疑われた際には、減量や中止を検討することになります。

FOLFOX療法とFOLFIRI療法についてもっと詳しく

ベバシズマブを使った抗がん剤治療としては、FOLFOX療法やFOLFIRI療法などがありますが、それぞれの治療方法についてさらに詳しく解説したいと思います。

FOLFOX療法

進行がんの治療や、術後の再発を予防するために術後補助化学療法として行われます。

FOLFOX療法とは、基本はレボホリナート(ロイコボリン、アイソボリン)、オキサリプラチン(エルプラット)、フルオロウラシル(5‐FU)の3剤を組み合わせた治療法のことで、それに分子標的薬のベバシズマブを追加して治療を行うことが多くなっています。

FOLFOX療法は、点滴による治療法です。まる2日間かけて点滴によって抗がん剤を投与しますが、病院での点滴は2時間程度で、残りは抗がん剤が入った携帯用のポンプを用いることによって自宅で続けることが可能です。

この治療を2週間に1回の頻度で受け、術後補助化学療法としてFOLFOX療法を行う場合は、約半年間にわたって継続します。

副作用としては、食欲低下や脱毛などはあまりみられないものの、白血球や血小板の減少、貧血、肝機能障害などが生じることがあります。

また、FOLFOX療法を受けた人の多くは、末梢神経障害のために手や足に力が入らなくなったり、手足がしびれたりするなどの症状が出ることがあります。

治療を続けていくにつれて、身体に薬剤が溜まっていくために、治療を始めた時よりも徐々に副作用が強く現われるようになりますので、副作用が強くみられるようになった場合は、治療を休んだり薬剤の量を減らしたりするなどして様子をみます。

FOLFIRI療法

FOLFOX療法と同じく、進行がんの治療や術後の再発を予防するために術後補助化学療法として行われています。

FOLFIRI療法とは、フルオロウラシルとレボホリナート、イリノカテンの3剤を組み合わせる治療法のことで、これにベバシズマブを追加して治療を行うケースが多くみられます。

FOLFIRI療法は、FOLFOX療法と同じく2週間に1回の頻度でまる2日間にわたって点滴による抗がん剤投与を受ける必要があります。術後療法としては、約半年間継続して治療を受けるのが一般的です。

副作用としては、食欲低下や脱毛、下痢、白血球減少などがみられます。

がんの部位別・ベバシズマブを使った治療法

ベバシズマブは、治癒切除不能な進行・再発の大腸がん、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、卵巣がん、進行又は再発の子宮頚がん、手術不能又は再発乳がん、悪性神経膠腫の治療に使われています。

それぞれのがんの治療法についてみていきましょう。

ベバシズマブによる大腸がんの治療

一般的に大腸がんで総称される結腸・直腸がんの治療は、基本的には手術による切除が第一選択です。

リンパ節や周囲の臓器に転移しているステージⅢや、遠隔転移のあるステージⅣでも原発巣が切除できれば手術を行います。再発大腸がんも同様に、切除が可能であれば手術を行います。

切除できない進行・再発した大腸がんには、腫瘍が大きくなるのを遅らせて延命し、症状を減らすことが目的で化学療法が行われますが、患者さんの状態や、腎臓、肝臓、骨髄の機能が保たれていることが条件となります。

化学療法後に腫瘍が小さくなり、手術が可能になる場合もあります。

基本的に、現在の大腸がんの治療ガイドラインでは、化学療法には可能な限り分子標的薬を併用することとなっており、標準治療として一次治療および二次治療において、FOLFIRI療法、FOLFOX療法、CapeOX療法(カぺシタビン+オキサリプラチン)などのレジメンに、ベバシズマブを併用することが薦められています。

たとえばFOLFOX療法では、最初にベバシズマブを投与した後、レボホリナートとオキサリプラチンを投与し、続けてフルオロウラシルを20時間以上かけて持続静注します。

その他、フルオロウラシルを46時間かけて持続静注する「mFOLFOX6療法」という治療法もあり、これにベバシズマブが加わることもあります。

いずれにしてもベバシズマブを大腸がんの治療に使用する場合には、フッ化ピリミジン系に分類される化学療法剤(フルオロウラシル、カぺシタビンなど)を含むレジメンと併用することが必要です。

ベバシズマブによる非小細胞肺がんの治療

非小細胞肺がんの標準治療は手術であり、次いで放射線治療です。化学療法は術後の再発予防で行われます。

また、肺以外のリンパ節転移や肺がんの大きさなどから病期が進行している場合に、化学療法が行われます。

また、肺がんの増殖にはEGFR(上皮成長因子受容体)とALK(未分化リンパ腫キナーゼ)、ROS1融合遺伝子が関わっていることが明らかになっています。

こうした遺伝子に変異がある非小細胞肺がんの場合には、チロシンキナーゼ阻害薬に分類される分子標的薬の単独使用が標準治療となっています。

ベバシズマブは、非小細胞肺がんの「扁平上皮がん以外のがん」で、遺伝子変異が無いあるいは不明な場合、かつ75歳未満で全身状態が良い場合に、プラチナ製剤と併用する形で用いられます。

もともと、進行性の非小細胞肺がんにおける化学療法は、プラチナ製剤の「カルボプラチン」と、タキサン系の「パクリタキセル」の2剤を使う「CP療法」が標準治療でしたが、それにベバシズマブも加えることで、生存期間の延長、悪化しない期間の延長が認められました。

その場合の生存期間の平均中央値は、12~13ヶ月、つまり1年以上の生存が期待できますので、有効性は高いと考えられています。

非小細胞肺がんの中でも扁平上皮がんの場合は、開発早期の臨床試験で、ベバシズマブの投与によって、出血によって死亡する例が多かったため、扁平上皮癌でない方への投与に限られています。

扁平上皮癌でない方においても、喀血や高血圧、心臓や脳血管の病気、消化管の出血したことがある方は、非常にリスクが高いため使用できない場合もあります。

また、プラチナ製剤との併用療法の後で、ベバシズマブを単独で投与する臨床試験も進められています。

ベバシズマブによる卵巣がんの治療

卵巣がんは進行して発見されることの多いがんで、基本的には開腹手術が標準治療です。そのため化学療法は術後に、再発予防のために行われます。

卵巣がんの悪性度が低く卵巣内に留まる早期がんの場合には、化学療法が行われない場合もありますが、悪性度が高い場合には早期がんでも術後に化学療法が行われます。

卵巣がんに対するベバシズマブの投与は、進行したステージ3以上の場合に、カルボプラチン+パクリタキセルのCP療法に併用して使用します。

CP療法との併用は21日間を1サイクルとして6サイクルまで行われますが、併用が終わった後、ベバシズマブのみ単独で投与を続けることで、悪化しない期間が延長したと報告されています。

現在卵巣癌に使用できる分子標的薬は、ベバシズマブのみとなっています。

ベバシズマブによる進行又は再発の子宮頚がんの治療

子宮頚がんの治療は、基本的には手術ですが、子宮頸部を超えてがんが拡がり、他の臓器に転移している場合や再発の場合には、手術や放射線療法が出来ないため、化学療法が行われます。

ベバシズマブは、骨盤腔を超えてがんの転移がある場合に適応されます。その場合、臨床試験において、シスプラチン+パクリタキセルのCP療法に併用してベバシズマブを投与したところ、化学療法だけの場合と比べて、生存期間の延長が認められています。

ベバシズマブによる乳がんの治療

乳がんの治療は、基本的には手術によるがんの切除が行われますが、手術後に再発予防のためや、手術前にがんを小さくするため、進行・再発して手術が出来ない場合に、化学療法が行われます。

乳がんではがん細胞の種類によって、術前や術後に選択する薬物療法が決まっています。

ベバシズマブは、HER2というタンパク質が無い(HER2陰性)乳がんの場合に、パクリタキセルと併用することで、悪化しない期間の延長や、がんのサイズが縮小する割合が高くなることがわかっています。

ただし、アメリカでは「副作用のわりに効果は少なかった」として、FDA(米国食品医薬品局)は2011年、転移性乳がんにおけるベバシズマブの適用を取り消すことを発表しました。

一方、日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインでは、現在も転移・再発乳がんに対して、「パクリタキセル+ベバシズマブ」の併用には一定の効果があるとされており、副作用のリスクをしっかりと踏まえた上で、がんのサイズを早急に小さくしたい場合など、対象となる患者さんに対しては実施を考慮しても良い、と結論づけられています。

ベバシズマブによる悪性神経膠腫の治療

2013年、新たにベバシズマブの保険適用が認められた病気です。

脳に発生する神経膠腫(グリオーマ)の一つで、がん全体の中でも珍しく、治療が難しいことで知られています。

基本的には外科的に手術や放射線療法が行われますが、悪性が高いグレード3、4の場合には放射線療法に薬物療法が行われます。

治療をしたことが無い初発の悪性神経膠腫に対して、放射線療法とテモゾロミドに併用してベバシズマブを投与したところ、悪化しない期間の延長が認められています。

また、既に他の治療法で治療したことのある再発の悪性神経膠腫は、非常に予後が悪いのですが、ベバシズマブを単独で投与することで、3割の方で6ヵ月間悪化しないこと、1年間延命すること、がんのサイズが小さくなることが期待できます。

ちなみにベバシズマブは、上記のがんのほか、海外では腎臓がんや卵巣がんなどでも承認を受けています。

今後、日本でも適応が拡大する可能性のある抗がん剤です。

参考文献

  1. 書籍 がん化学療法の薬-抗がん剤・ホルモン剤・分子標的薬・支持療法薬-はや調べノート2017・2018年版 (プロフェッショナルがんナーシング2017年別冊)
  2. 日本癌治療学会 がん診療ガイドライン 子宮頚がん
  3. 日本乳癌学会 乳がん診療ガイドライン
  4. 国立がんセンター がん情報サービス それぞれのがんの解説
  5. 添付文書
  6. インタビューフォーム
  7. その他

がんとわかる前にがん保険を検討しよう!

がん保険はがんになってからでは加入できません。またがん保険は医療保険と違い、持病や既往歴があっても問題ないケースが多いのが特徴です。

がんになった際の治療費が心配な方は、がんになる前に一度資料請求をして検討してみるとよいでしょう。

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参照:医師の転活

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