ベバシズマブ(アバスチン)の効果・効能・副作用など

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2017.1.1

【 基本情報 】
一般名 商品名 欧文略語
ベバシズマブ アバスチン -
薬の効果・効能 VEGF阻害による、大腸がん・非小細胞肺がん・乳がんの治療
代表的な副作用 高血圧・タンパク尿・血栓塞栓症・消化管穿孔など
適応されるがんの種類 大腸がん・非小細胞肺がん・乳がん(いずれも切除不能例)

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ベバシズマブの働きと効果・効能

ベバシズマブは、「抗体薬」に分類される分子標的薬の1つです。日本では中外製薬から、「アバスチン」という点滴薬として販売されており、点滴静注によって投与されます。

ベバシズマブは、「血管内皮増殖因子(VEGF)」に対する抗体薬です。VEGFは、腫瘍が広がる際に必要な新しい血管を作るためのシグナルとして働くタンパクで、これを阻害することでがんの増殖を抑えます。

さらにベバシズマブには、腫瘍組織の間質圧(血管から物質が漏れやすい状態)を正常化する作用もあるため、より薬を効果的に行き渡らせる作用も期待できます。

ベバシズマブは単独で使用されることはなく、「FOLFOX療法」や「FOLFIRI療法」など、複数の抗がん剤の併用療法に加える形で用いられる点が特徴です。

たとえばFOLFOX療法と組み合わせる場合、最初にベバシズマブを投与した後で他の3剤(レボホリナートオキサリプラチンフルオロウラシル)をそれぞれ投与することが一般的です。

主に適応となるのは切除不能の結腸がんと直腸がん(大腸がん)で、一次治療もしくは二次治療として活用されます。

ベバシズマブの副作用

ベバシズマブは、VEGFに対して集中的に働きかける分子標的薬ですので、従来型の抗がん剤に多く見られる骨髄抑制や吐き気などの副作用はほとんど見られません。

ただし複数の抗がん剤と併用する形で使われるため、他の薬によってこれらの副作用が起こる可能性はあります。

ベバシズマブに特徴的な副作用としては、高血圧やタンパク尿、血栓塞栓症や出血、消化管穿孔などがあり、他の抗がん剤による副作用とともに慎重な経過観察が必要とされます。

たとえば足のむくみが現れた場合は、血栓症の可能性を考えて対処することが大切です。

出てきた副作用が、他剤によるものと判断された場合は、基本的にベバシズマブを減量することはありません。しかし明らかにベバシズマブによる副作用が疑われた際には、減量や中止を検討することになります。

FOLFOX療法とFOLFIRI療法についてもっと詳しく

ベバシズマブを使った抗がん剤治療としては、FOLFOX療法やFOLFIRI療法などがありますが、それぞれの治療方法についてさらに詳しく解説したいと思います。

FOLFOX療法

進行がんの治療や、術後の再発を予防するために術後補助化学療法として行われます。

FOLFOX療法とは、基本はレボホリナート(ロイコボリン、アイソボリン)、オキサリプラチン(エルプラット)、フルオロウラシル(5‐FU)の3剤を組み合わせた治療法のことで、それに分子標的薬のベバシズマブを追加して治療を行うことが多くなっています。

FOLFOX療法は、点滴による治療法です。まる2日間かけて点滴によって抗がん剤を投与しますが、病院での点滴は2時間程度で、残りは抗がん剤が入った携帯用のポンプを用いることによって自宅で続けることが可能です。

この治療を2週間に1回の頻度で受け、術後補助化学療法としてFOLFOX療法を行う場合は、約半年間にわたって継続します。

副作用としては、食欲低下や脱毛などはあまりみられないものの、白血球や血小板の減少、貧血、肝機能障害などが生じることがあります。

また、FOLFOX療法を受けた人の多くは、末梢神経障害のために手や足に力が入らなくなったり、手足がしびれたりするなどの症状が出ることがあります。

治療を続けていくにつれて、身体に薬剤が溜まっていくために、治療を始めた時よりも徐々に副作用が強く現われるようになりますので、副作用が強くみられるようになった場合は、治療を休んだり薬剤の量を減らしたりするなどして様子をみます。

FOLFIRI療法

FOLFOX療法と同じく、進行がんの治療や術後の再発を予防するために術後補助化学療法として行われています。

FOLFIRI療法とは、フルオロウラシルとレボホリナート、イリノカテンの3剤を組み合わせる治療法のことで、これにベバシズマブを追加して治療を行うケースが多くみられます。

FOLFIRI療法は、FOLFOX療法と同じく2週間に1回の頻度でまる2日間にわたって点滴による抗がん剤投与を受ける必要があります。術後療法としては、約半年間継続して治療を受けるのが一般的です。

副作用としては、食欲低下や脱毛、下痢、白血球減少などがみられます。

がんの部位別・ベバシズマブを使った治療法

ベバシズマブは、主に大腸がんと非小細胞肺がん、乳がんの治療に使われています。

大腸がん

大腸がんの化学療法は、FOLFIRI療法、もしくはFOLFOX療法が標準治療です。ベバシズマブも、これらの治療に加える形で用いられます。

たとえばFOLFOX療法では、最初にベバシズマブを投与した後、レボホリナートとオキサリプラチンを投与し、続けてフルオロウラシルを20時間以上かけて持続静注します。

その他、フルオロウラシルを46時間かけて持続静注する「mFOLFOX6療法」という治療法もあり、これにベバシズマブが加わることもあります。

非小細胞肺がん

非細胞肺がんでは、「扁平上皮がん以外のがん」に対して、プラチナ製剤と併用する形でベバシズマブが用いられます。

もともと、進行性の非小細胞肺がんにおける化学療法は、プラチナ製剤の「カルボプラチン」と、タキサン系の「パクリタキセル」の2剤を使う「CP療法」が標準治療でしたが、それにベバシズマブも加えることで、生存期間の延長が認められました。

その場合の生存期間の平均中央値は、12~13ヶ月、つまり1年以上の生存が期待できますので、有効性は高いと考えられています。

ただし、非小細胞肺がんの中でも扁平上皮がんの場合は、ベバシズマブの投与によって喀血のリスクが高くなるため、対象となりません。

また、プラチナ製剤との併用療法の後で、ベバシズマブを単独で投与する臨床試験も進められています。

乳がん

乳がんでは、特に進行・再発乳がんに対して、パクリタキセルと併用する形でベバシズマブが用いられており、特に早い段階で投与することが効果的とされています。

ただし、アメリカでは「副作用のわりに効果は少なかった」として、FDA(米国食品医薬品局)は2011年、転移性乳がんにおけるベバシズマブの適用を取り消すことを発表しました。

一方、日本では現在も転移・再発乳がんに対して、「パクリタキセル+ベバシズマブ」の併用には一定の効果があるとされており、副作用のリスクをしっかりと踏まえた上で、対象となる患者さんに対しては実施を考慮しても良い、と結論づけられています。

悪性神経膠腫

2013年、新たにベバシズマブの保険適用が認められた病気です。脳に発生する神経膠腫(グリオーマ)の一つで、がん全体の中でも珍しく、治療が難しいことで知られています。

悪性神経膠腫に対してベバシズマブを単独投与、もしくは放射線やほかの抗がん剤と併用したところ、生存期間の延長が認められたことから、新たな治療薬として活用されるようになりました。

ちなみにベバシズマブは、上記のがんのほか、海外では腎臓がんや卵巣がんなどでも承認を受けています。今後、日本でも適応が拡大する可能性のある抗がん剤です。

参考文献

  1. 書籍 がん化学療法の薬-抗がん剤・ホルモン剤・分子標的薬・支持療法薬-はや調べノート2017・2018年版 (プロフェッショナルがんナーシング2017年別冊)
  2. 添付文書
  3. インタビューフォーム
  4. その他

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