悪性黒色腫(メラノーマ)の検査と診断

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悪性黒色腫の検査には、以下のようなものがあります。

  • 視診
  • ダーモスコピー
  • 生検
  • 画像検査(超音波・CT・MRIなど)

中でも「ダーモスコピー」は、悪性黒色腫の初期検査としてもっとも広く行なわれている検査です。

皮膚専用の拡大鏡を使うことで、良性と悪性の区別を高確率でつけられます。

それでも診断が難しい場合は、病変の一部または全部を切除して調べる「生検」が行なわれることもあります。

これらの検査で悪性黒色腫の診断がつけば、術前検査として、エコーやCT・MRIなどを使った画像検査が実施されます。

悪性黒色腫の診断の流れ

皮膚に異常な色素斑がみられた場合、皮膚科では悪性黒色腫の可能性を疑い、下記のような流れで検査を進めていきます。

公益社団法人日本皮膚科学会「皮膚悪性腫瘍ガイドライン メラノーマ(悪性黒色腫)の診療アルゴリズム」を参考に作成

最初に実施されるのは、臨床所見(問診・視診・触診など)です。症状の出方によっては、医師が見ただけで悪性黒色腫かどうかの大体の目安をつけられることもあります。

続けて行なわれるのが、ダーモスコピーという検査です。皮膚の病変を10~30倍に拡大して観察できる「ダーモスコープ」という機器を使った検査で、これによって良性の色素斑と悪性黒色腫を高い精度で区別することができます。

それでも診断が難しい場合、皮膚を切り取って顕微鏡で調べる「生検」を行ないます。

病変の一部を切り取る「部分生検」と、病変全体を切り取る「全切除生検」の2種類があり、それぞれの状態によってどちらかが適用されます。

その結果、悪性黒色腫の診断が確定すれば、病巣の広がりや転移の有無などを調べるために、CTやMRIなどの検査が行なわれます。

ちなみに、悪性黒色腫には有効な腫瘍マーカーがないため、血液検査はあまり実施されません。

診断が確定した後や治療後に、状態をみる目的で補助的に用いられることはありますが、初期検査としてはまだ不十分とされています。

ダーモスコピー

ダーモスコピーとは、病変を10~30倍にまで拡大できる「ダーモスコープ」という特殊な機器を使った検査です。

苦痛もなく、外来で簡単に受けることができます。

ダーモスコープは、色素の分布や血管の走行具合などを詳しく観察できますので、良性のほくろやシミと、悪性黒色腫の区別をつけるために大きく役立ちます。

検査の手順は、以下の通りです。

  1. 病変部に医療用のジェルを塗る
  2. ダーモスコープを皮膚にあてて観察し、デジタル画像を記録する
  3. ジェルをふき取り、検査結果の説明を聞く

所要時間は、およそ10分程度です。顔の場合、女性の患者さんではお化粧を落とす必要がありますが、それ以外は特に準備なども必要ありません。 

生検   

ダーモスコピーで診断がつかない場合は、病変を切除して、顕微鏡で直接調べる「生検」が行なわれます。

生検はどのような部位であれ、メスを入れる以上、患者さんにとってはやや負担の大きい検査です。

近年はダーモスコープの登場で、皮膚生検を行なう頻度は以前より減りましたが、それでも診断が難しい場合はやむを得ず実施することがあります。

生検には、病変の一部を切除する「部分生検」と、病変をすべて切除する「全切除生検」の2種類があります。

基本的には、組織全体を調べられる全切除生検が優先して行なわれますが、範囲が広すぎるなどして難しい場合は、部分生検を行なう場合もあります。

以前までは、部分生検を行なうと万が一悪性の細胞があった場合、それが奥深くに押し込まれて転移のリスクが増すと考えられていましたが、最近の研究では特に相関関係が認められなかったことから、必要に応じて部分生検も行なわれるようになりました。

皮膚生検は、大体以下のような流れで行なわれます。

  1. 検査台に横になり、血圧を測定する
    (部位によっては、体毛の一部を剃ることもある)
  2. 局所麻酔を注射し、薬が効いていることを確認してから、病変を切り取る
  3. 止血処置を行ない、縫合した後、ガーゼとテープをあてる

検査時間はおよそ30分程度で、多くは外来での検査が可能です。ただし切除範囲が広い場合は、入院が必要になることもあります。

検査後は感染症予防のための抗生物質や、痛み止めなどを服用します。結果が出るのは、およそ1~2週間後です。

術前の画像検査

ダーモスコピーや生検などで、悪性黒色腫の診断がついた後は、治療に向けてより詳しい状態を調べることになります。

超音波(エコー)検査

体の外から超音波をあてて、中の様子を観察する検査です。病変の深さや、リンパ節転移の有無などを確認するのに役立ちます。

CT検査

X線を使って、体の断面図を描く検査です。多少の医療被ばくはありますが、スピーディに全身を撮影できます。がんの転移や広がりを確認するために有効です。

MRI検査

強い磁気の力を使って、体の断面図を描く検査です。医療被ばくはありませんが、検査にやや時間がかかります。

CTとMRIでは、得意とする部位が異なるため、どちらも実施することが一般的です。

PET検査

「一度に全身のがんを調べられる」として人気の、画期的な検査です。放射性物質を含む薬剤を注射した後、専用のカメラで全身を撮影することで、がんのある部位を確認することができます。

PETにも不得意な部位はありますが、全身の転移の状況を調べるためには有効な検査です。

リンパ節転移を調べるための検査(センチネルリンパ節生検)

悪性黒色腫は、病型にもよりますが、皮膚がんの中でも早くからリンパ節に転移しやすいがんです。

ただし、リンパ節を切除すると、しびれやむくみなどの後遺症が残りやすいため、切除するかどうかは慎重に検討する必要があります。

そこで、広く実施されている検査が「センチネルリンパ節生検」です。

センチネルリンパ節とは、がん細胞が最初に入り込むリンパ節のことで、ここにがん細胞が入っていなければ、その先のリンパ節にも転移はないと考えられます。

センチネルリンパ節を見つけるためには、色素や放射性同位元素を注射し、その流れを追っていきます。

こうして見つけたセンチネルリンパ節を手術で取り出し、病理検査を行なって、がん細胞の有無を確認します。

不要なリンパ節郭清(切除)を避けるためにも、センチネルリンパ節生検は非常に重要な検査です。

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