小児がんの治療法

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2017.1.1

小児がんの治療も、基本的には大人のがんと同じで、以下の3大治療が中心です。

  • 手術
  • 化学療法
  • 放射線療法

手術ができる場合は手術を優先的に行ない、手術が難しい場合はそれ以外の治療を組み合わせます。

特に小児がんは、大人のがんと比べて抗がん剤の効き目が良いものが多く、治療成績の向上に大きく役立っています。

中でも、小児がんでもっとも多い白血病は手術ができないため、化学療法が治療の中心です。

さらに、必要に応じて「造血幹細胞移植」などの治療が行なわれることもあります。

小児がんの手術

脳腫瘍や神経芽腫、腎腫瘍、肝腫瘍などの固形がんでは、手術が最優先で実施されます。腫瘍を外科的に切除することが、完治への近道だからです。

手術で摘出された組織は、必ず病理検査にかけられ、悪性度や再発リスクなどを評価します。

脳腫瘍の手術

安全に切除できる部位については、腫瘍をできるかぎり取り除くようにします。

ただし、脳幹や脳下垂体部、松果体部や視床下部などにある腫瘍の場合は、生検のみにとどめる場合もあります。

腫瘍をすべて取り除けなかった場合は、化学療法や放射線療法を組み合わせて治療を行ないます。

神経芽腫の手術

遠隔転移がない神経芽腫では、手術が優先的に行なわれます。遠隔転移がある場合は、まず抗がん剤で転移巣を小さくしてから、手術することを目指します。

神経芽腫は、副腎を中心に全身のさまざまな部位に発生するため、発生部位や周りへの広がりなどに応じて術式が変わります。

早期発見できたケースでは、腹腔鏡を使った手術が適用されることもあります。

腎腫瘍の手術

ウィルムス腫瘍をはじめとする腎腫瘍では、腫瘍のある腎臓と、その周りの脂肪組織、尿管までを含めて切除する「根治的腎摘出術」が標準治療です。

ただし、左右両方の腎臓に腫瘍ができている場合は、なるべく腎臓を温存する方向で治療法が検討されます。

また、手術中に近くのリンパ節や、肝臓、腫瘍のない側の腎臓も検査し、がんの広がりを調べるようにします。

肝腫瘍の手術

肝腫瘍では、手術でいかに腫瘍をきれいに切除できるかが予後を大きく左右するため、手術では腫瘍の完全摘出が目標となります。

ただし、肝臓は生命活動に直結する重要な臓器のため、どの程度切除できるかは慎重に考えなくてはいけません。

そのままの状態では切除が難しい場合、事前に化学療法を行なって、腫瘍を小さくしてから手術することもあります。

網膜芽腫の手術

網膜芽腫の治療は、腫瘍が眼球内にとどまっているか、外に広がっているかによって異なります。

眼球内にとどまっている場合は、視力を温存するためにも、できるかぎり手術をせず、放射線療法や化学療法で対処する方法が最近は主流になりつつあります。

一方、がんが眼球外に広がっている場合は、転移のリスクを減らすためにも、眼球摘出が推奨されます。

眼球を摘出した後は、傷口が落ち着くのを待ってから、義眼を入れることが可能です。

義眼は毎日の手入れが必要ですが、慣れれば日常生活に大きな支障はありません。ただし小児の場合、成長にしたがって義眼を変える必要があります。

骨肉腫の手術

骨肉腫の手術では、再発リスクを低くするために、腫瘍を周りの正常な組織で包むようにして摘出する「広範切除」が行なわれます。

またこの時、手足につながる血管や神経を残すことができれば、手足を温存できる「患肢温存手術」が可能です。

手術で切除した部分の骨は、患者さん自身のほかの部位の骨を移植したり、人工関節を入れたりして補います。

ただし、骨肉腫は「成長軟骨」のそばに発生しやすいため、これから身長が大きく伸びる時期の子どもの場合、手術した側の足だけが短くなってしまうことがあります。

これを防ぐために、太ももで切断して義足を使うケースも少なくありませんが、最近は成長に合わせて延長可能な人工関節が開発されたこともあり、患肢温存手術が積極的に行なわれるようになりつつあります。

胚細胞腫瘍の手術

胚細胞腫瘍では、部位にもよりますが、手術が可能な場合はすべての腫瘍を取り除くことが第一選択です。

完全に切除した上で化学療法を追加すれば、胚細胞腫瘍の予後は比較的良く、特に精巣の胚細胞腫瘍は手術だけで完治できることもあります。

手術が難しい場合は、事前に化学療法で腫瘍を小さくしてから手術を行ないます。

小児がんの化学療法

小児がんは、手術しか治療法のなかった時代に比べ、化学療法の登場によって治療成績は大きく向上しています。

白血病や悪性リンパ腫のような「血液のがん」では、化学療法が治療の中心となりますし、固形がんでも、手術と組み合わせて実施することがあります。

白血病の化学療法

手術のできない白血病では、化学療法が標準治療です。抗がん剤は血液に乗って全身に届けられるため、高い効果が期待できます。

たとえば、急性リンパ性白血病(ALL)の場合、化学療法は「寛解導入療法」「強化療法」「維持療法」の3ステップで行なうことが一般的です。

寛解導入療法では、まず4~6週間、デキサメタゾンまたはプレドニゾロンのステロイド剤に加え、ビンクリスチンやL-アスパラギナーゼなどの抗がん剤を組み合わせて投与します。

この治療によって、98%の患者さんは、白血病細胞が全体の5%未満になる「完全寛解」という状態に達しますが、ここで治療を終えるとほぼ必ず再発するため、次に強化療法へと移ります。

強化療法は、寛解導入療法によって減少した白血病細胞を、さらに減らすための治療です。

シタラビン、アルキル酸、メトトレキサートなどの抗がん剤を、6ヵ月~12ヵ月間にわたって投与します。

その後は維持療法として、主に経口薬タイプの抗がん剤を、外来で1~2年間服用します。

維持療法を行なわないと、再発リスクが高くなるため、医師の指示にしたがってしっかりと続けることが大切です。

上記は、基本的な急性リンパ性白血病(ALL)の化学療法ですが、1歳未満の乳児の場合や、「フィラデルフィア染色体陽性ALL」という珍しいタイプの場合は、治療法が異なってきます。

また、急性骨髄性白血病(AML)の場合は、ALLよりも治療期間が短く済むことが一般的です。

その他の小児がんの化学療法

骨肉腫や神経芽腫などの固形がんでも、化学療法が実施されることがあります。

固形がんに対する化学療法は、大きく分けて「術前化学療法」「術後化学療法」「進行・再発がんに対する化学療法」の3つです。

術前化学療法 手術前に、抗がん剤で腫瘍を縮小するための治療
術後化学療法 手術後に、取り残したがん細胞を叩いて、再発リスクを低くする治療
進行・再発がんに対する化学療法 手術不能なケースにおいて、症状の緩和や延命を目的として行なわれる治療

たとえば骨肉腫では、手術しか治療法のなかったころは9割近くの患者さんが再発していましたが、術後化学療法が普及してからは再発率が大きく下がるようになりました。

また、そのままでは手術が難しい症例でも、術前化学療法によってうまく腫瘍が小さくなれば、その後で安全に手術ができるケースも多くあります。

放射線療法

放射線療法は、X線やγ線などの放射線を病巣に向かって照射することで、がん細胞を攻撃する治療法です。

がんの中には、放射線療法の感受性が高いものとそうでないものがありますが、小児がんの場合、たとえば脳腫瘍やユーイング肉腫、網膜芽腫などは効き目が良いとされ、手術不能例、もしくは手術と組み合わせる形で活用されています。

一方、骨肉腫や軟部肉腫など、放射線療法の感受性が低いがんもあります。

ただしそのようながんでも、補助的な治療として放射線療法が行なわれることもあります。

その他の治療法

3大治療以外の小児がんの治療法としては、白血病における「造血幹細胞移植」や、肝腫瘍における「肝移植」などがあります。

造血幹細胞移植

提供者(ドナー)の造血幹細胞を、白血病の患者さんに移植する治療法です。主に、化学療法で効果がみられない場合に行なわれます。

いわば「病気の工場」をなくして、正常な工場に置き換える治療法ですので、効果は高いのですが、合併症や晩期障害などのリスクも大きいため、適応となるケースは厳しく制限されています。

肝移植

肝移植とは、ドナーから肝臓の一部(もしくは全部)を提供してもらい、それを患者側に移植する治療法です。

小児がんでは、肝腫瘍の治療として行なわれることがあります。

肝腫瘍では、抗がん剤と、病巣のある区域の肝切除が主な治療法ですが、術前化学療法を行なっても切除が難しい場合や、血管の位置関係などから手術が困難な場合などに、肝移植が検討されます。

いずれの場合も、遠隔転移のないことが条件です。

小児の肝移植では、再発したケースを除いて、生存率は80%以上という報告もあります。

ただし、まだ世界的にも症例数が少ないため、今後さらに安全性と有効性を示すデータが集まることが期待されています。

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