小児がんの晩期障害

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2017.1.1

小児がんで注意したいことの一つに、晩期障害(晩期合併症)があります。

晩期障害とは、治療から時間が経ってから現れるさまざまな症状の総称です。

治療の副作用が数年後に出てくることは、大人にもありますが、子どもの場合、成長途中でがんの治療を受けたことで、大人にはない特徴的な症状が出やすくなります。

中には、もとのがんとは異なる「二次がん」を発症するケースもあるため、小児がんの治療後は、長期間にわたってのフォローアップが必要です。

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小児がんの晩期障害の原因

晩期障害とは、治療を終えた後、数ヵ月~数年が経過してから現れる症状のことです。中には、数十年以上経ってから出てくる場合もあります。

原因となるのは、過去に受けたがん治療です。

手術・化学療法・放射線療法・造血幹細胞移植など、いずれの治療法も体に何らかの影響を与えるため、それが数年後に晩期障害として現れることがあります。

特に子どもの場合、成長段階にこうした治療を受けることで、大人よりも骨や内臓に受けるダメージは大きくなると考えられます。

治療が成功し、長期的に生存できるようになることは喜ばしいことですが、将来的に晩期障害のリスクがあるという事実は心に留めておく必要があります。

小児がんの晩期障害の例

小児がんの治療後に現れることのある晩期障害には、以下のようなものがあります。

成長・発達への影響 低身長・やせ・肥満・知的(学習)障害など

生殖機能への影響 不妊・無月経・第二次性徴の欠如・早発閉経など

臓器・中枢神経への影響 腎機能・心肺機能・甲状腺機能・視力や聴力の低下など

二次がん 二次性脳腫瘍・二次性白血病など

心理的な影響 健康不安・将来への不安・治療のトラウマなど

上記はほんの一例であり、患者さんによってさまざまな晩期障害が起こり得ます。その中でも、特に代表的なものをいくつかご紹介します。

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低身長

既に体ができあがった大人と異なり、成長段階にある子どもががん治療を受けると、身長の伸びに影響が出る可能性があります。

もっとも代表的なのは、脳腫瘍の治療で頭部に放射線を照射することで、脳下垂体から成長ホルモンがうまく分泌されにくくなり、身長の伸びが悪くなるというものです。

特に、学齢に達する前にこの治療を受けると、影響が大きいとされています。

その他、白血病で造血幹細胞移植を受けた人にも、低身長の割合が多いといわれています。

これは移植そのものではなく、前処置として行なう全身放射線照射が主な原因と考えられます。

ちなみに、最近は低身長の晩期障害が起きた人に、成長ホルモンを投与する治療法が始まっており、一定の効果をあげています。

生殖機能障害

小児がんの晩期障害の中でも、その後の人生に大きな影響を与えるのが生殖機能障害です。

たとえば男児の場合、がんの治療で精巣を摘出したり、放射線療法を受けたりした場合、無精子症となることがあります。

また、「シクロホスファミド」などの一部の抗がん剤によっても、精子数が減少します。

特に、思春期以降に治療を受けた場合、その確率が上がるともいわれています。

女児の場合も、卵巣や子宮の摘出のほか、抗がん剤・放射線の影響によっても不妊になる可能性があります。

たとえば、腹部に放射線を照射すると卵巣機能が低下し、閉経が早まったり、第二次性徴が現れなかったりする例も報告されています。

こういった晩期障害をフォローするために、ホルモン補充療法が行なわれていますが、それでも必ず妊娠できるとは限らないのが現状です。

小児がんの治療を受ける際には、こうした障害が起きることを想定して、精子や卵子を保存しておく試みも行なわれています。

しかし小児の場合、今の技術ではまだ成功率は高いとはいえません。

心機能障害

小児がんの治療の影響は、内臓にも及びます。

中でも命に関わるものとして、心機能の障害があります。

ドキソルビシン」や「エピルビシン」などのアントラサイクリン系の抗がん剤による影響が大きく、使用量が多いほど心臓への毒性が蓄積されると考えられます。

特に男児より女児で、5歳以下にこれらの抗がん剤を投与した場合、心機能障害のリスクが上がります。

体が小さいうちは特に症状が出なくても、成長するにつれて体が大きくなると、心臓にかかる負担も増えてくるため、思春期ごろに心機能が低下しやすくなります。

過去にアントラサイクリン系の抗がん剤を使っていたことのある人は、定期的に心臓の検査を受けることが大切です。

二次がん

命にかかわる重大な晩期障害としては、二次がんもあります。

二次がんとは、元と同じがんが再発したものではなく、以前に受けた放射線や抗がん剤などの治療によって新たにできる別のがんのことです。

固形がんもあれば、白血病のような血液のがんもあり、たとえば「二次性白血病」という名前で呼ばれます。

原因となるのは、主に放射線や抗がん剤です。たとえば、以前に放射線をあてた部位に新たにがんが発生すれば、高い確率で二次がんであると推測できます。

また白血病の場合、同じ白血病であっても、白血病細胞の遺伝子が前回と異なる場合は、抗がん剤治療による二次性白血病である可能性があります。

精神的な問題

小児がんの晩期障害には、身体的な障害だけではなく、心理的・精神的なものも含まれます。

もともと、小児がんを患ったというだけでも相当なストレスになりますし、今後の再発の不安や、友達と自分は違うという感覚、勉強の遅れや将来の結婚・出産についての心配など、人によってさまざまな悩みを抱えるものです。

その上、実際に何らかの晩期障害を発症すると、さらに悩みは深くなってしまいます。

日本では、欧米に比べるとがん患者さんへの精神面でのケアがまだまだ遅れている上、小児がん自体が珍しい病気ということもあって、十分なサポートが行き届いているとはいえない状況です。

小児がんを患った人が前向きに人生を歩んでいくためにも、今後さらにサポート体制が充実していくことが期待されます。

小児がんの晩期障害に対するフォローアップ

小児がんの晩期障害に適切に対処するためには、治療後も継続的・長期的なフォローアップが必要です。

最近は、小児がん患者さんを末永くケアする体制が昔よりも整っており、特にがんの治療を行なうような大きな病院には、長期のフォローアップ外来が設けられていることもあります。

いつでも過去のデータを参照しながら、必要な治療を受けられる仕組みが整えられつつありますので、治療後も医師の指示にしたがって、定期的に検診を受けることがもっとも大切です。

また、晩期障害を予防するためには、毎日の生活習慣も重要といわれています。

がんの経験者に限りませんが、誰でも長く健康で過ごすためには、バランスのとれた食事や適度な運動、質のいい睡眠などが重要です。

特に小児がんを克服した人は、過去に受けた治療による晩期障害のリスクがありますので、生活習慣にはよりいっそう注意するに越したことはありません。

特に、喫煙や過度の飲酒、日焼け、運動不足、肥満などは二次がんのリスクを高める可能性があるため、気を付けるようにしましょう。

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