肺がんの余命について

肺がんは、数あるがんのなかでも、とくに予後の厳しいがんのひとつです。肺は全身の血液が通過する場所であり、多くの毛細血管やリンパ管で覆われているため、がんができた場所から他の場所に転移しやすいことがその一因と考えられます。

しかし、早く発見できれば、根治できる可能性もそれだけ高くなることもわかっています。ここでは肺がんの予後について詳しく解説します。

肺がんの5年生存率

さまざまな臓器のがんのなかでも、肺がんの生存率は低い傾向がみられます。まずは、ステージ別の5年生存率を見てみましょう。

肺がんのステージ別5年生存率

全国がん(成人病)センター協議会生存率調査(2017年7月集計)をもとに作成

すべての病期を合わせた肺がんの5年生存率は44.7%ですが、全がんの平均5年生存率は「62.1%%」(2006年から2008年)となっていますので、平均からみると低い数値であることがわかります。

特に、ステージⅡ以降になると急激に生存率が下がることが表からも見てとれます。

リンパ節転移のないⅠ期の5年生存率は80%を超えていますから、肺がんは、まだ転移していない早期の段階で発見することが非常に大切だといえます。また、肺がんには小細胞肺がんと非小細胞肺がんの2種類に大別されますが、特に生存率が低いのは小細胞肺がんのほうです。次に、小細胞肺がんの生存率のデータをご紹介しましょう。

小細胞肺がんの5年生存率

全がん協生存率「部位別臨床病期別5年相対生存率(2007年〜2009年)より

このように、小細胞肺がんの5年生存率は、肺がん全体と比べてもかなり低い数値となっています。もっとも早期のⅠ期であっても58.1%、さらにⅣ期になるとわずか2.3%です。

さらに注目したいのが、Ⅳ期の症例数の多さです。つまり小細胞肺がんは、ほかの部位に転移してから初めて発見されるケースが多い、ということがわかります。

小細胞肺がんは、肺がん全体のおよそ15~20%ですが、非小細胞肺がんに比べると一般的に進行が速く、早期から転移しやすい点が特徴です。

太い気管支に近い肺門部という場所に発生しやすく、喫煙との関連性が高いことがわかっていますので、リスクを低くするためにも禁煙に努めるようにしましょう。

肺がんの予後は人それぞれ

通常、がんで余命宣告を受けるのは、もっとも末期であるステージⅣの場合です。

肺がんのステージⅣでは、腫瘍を少しでも小さくするための抗がん剤治療や、つらい症状を和らげるための緩和ケアが中心となり、手術などの積極的な治療はできません。

特に高齢の患者さんや、持病のある患者さんの場合、体力的な問題から抗がん剤を使えない場合もあります。そうなると、基本的には症状を和らげるための治療が中心となります。

しかし、予後の厳しいステージⅣであっても、5年後に生存しているがおられるのも事実ですので、実際にどれぐらい生きられるかは、患者さん一人ひとりによって違うということがおわかりになると思います。

肺がんを完治するためには早期発見が重要

肺がんにかかっても長く生きるためには早期発見が大きなポイントとなることは、生存率の表を見てもおわかりになると思います。

全体的に予後のよくない肺がんでも、Ⅰ期で発見できた場合は80%以上の人が5年後も生存しています。肺がんのⅠ期とは、以下のような段階です。

※がん情報サービス「肺がんの病期(ステージ)」参照

ⅠaでもⅠbでも、リンパ節転移がないという点で共通しています。肺は、多くの毛細血管やリンパ管に覆われた臓器ですので、それらの管にがん細胞が入り込むと、ほかの部位に転移するリスクが高まります。ですから、転移する前に肺がんを発見することが完治のカギなのです。しかし、Ⅰ期の肺がんではほとんど自覚症状はありませんので、早期発見のためには定期的に肺がん検診を受ける必要があります。

各自治体では、40歳以上のを対象に毎年、胸部X線検査を行なっていますので、案内が届いた方はぜひ受けるようにしましょう。

また喫煙年数の長い人には、胸部X線に加えて喀痰細胞診という検査も行なわれますが、

個人的に人間ドックなどで胸部CT検査を受けていただくこともおすすめします。

肺の内部を詳細に観察できる胸部CTでは、普通のX線検査では発見できないような小さな腫瘍も検出できます。肺がんで命を落とさないためにも、ぜひ定期的に肺がん検診を受けて、早期発見に努めるようにしましょう。

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