肺がん手術後(治療後)の注意点

肺がんの手術後には、程度に差はありますが、必ず肺の機能は低下しますので、手術前には普通にできていたことが手術後うまくできなくなることがあります。

よくあるのが、軽い運動で息が上がって苦しくなってしまうことです。そのような場合には決して無理をせず、ゆっくりと深呼吸を繰り返し、息が整うまで安静にしましょうできれば仰向けに寝転んで数分間複式呼吸をすると息が整いやすいです。

また、肺を動かす筋肉(呼吸筋)の筋力も弱っていることが多いので、咳をしたり痰を出したりすることが困難になる場合もあります。弱っている呼吸筋の力を元に戻すために、意識的に腹筋に力を入れて思いっきり咳をする練習を繰り返します。こうすることで、呼吸筋力の回復も早くなります。

再発や異変はないか定期的に検査

肺がんの治療は手術が終わった時点で完了するわけではありません。

肺がんは再発しやすいがんですので、再発していないか定期的に調べる必要があります。

また、呼吸筋の力が弱っているので痰をうまく出せずに肺炎になったり、術後の抗がん剤や放射線治療の副作用がでたりすることも考えられますので、定期的な検査は継続して受けるようにしましょう

肺がんの術後検診(フォローアップ検診)は、患者さんによってスケジュールは異なりますが、特に再発のリスクが高いと思われるケースでは、最初の3年間は3か月ごと、その後は半年ごとに検査を受けることが一般的です。手術から2~3年以内がもっとも再発しやすいため、この期間中は医師の指示にしたがってしっかりと検診を受ける必要があります。

ただしステージⅠで手術を受けた場合は、再発のリスクが低いため、最初の1年のみ3か月ごとに検査を受け、2年目以降は半年ごと、もしくは年に1度の検査で済むこともあります。

いずれにせよ、肺がん術後の5年間は経過観察が必要ですので、途中でやめることなく、継続的に検診を受けることが大切です。

肺がんの術後検診では、問診のほか、腫瘍マーカー測定や、胸部X線検査、胸部CT検査、必要に応じてFDG-PET検査や頭部MRI検査、などを行ないます。

CTは被ばくの問題もあるため、毎回は行われませんが、腫瘍マーカー測定は検診のたびに行なうことが普通です。腫瘍マーカーの数値が上がってくるようなことがあれば、再発を疑います。

退院~社会復帰まで

肺がんの手術後は、個人差はあるものの、通常2か月程度で社会復帰ができるケースが多いです。退院後の1か月間は基本的には安静にし、食事をしっかりと摂取して身体に栄養をつけることを心がけましょう

その後の1カ月は、様子をみながら軽い散歩からはじめ、少しずつ散歩の距離を伸ばしながら体力を戻していきます。決して無理をしないことが大切です。

また、肺がんの手術後は肺炎にかかりやすくなっていますので、感染予防に努めることを心がけましょう。術後しばらくの間、外出時は必ずマスクを着用し、帰宅後は手洗いとうがいを徹底するなどして肺炎を予防します。

特に抗がん剤を使って「骨髄抑制」の副作用が出ると白血球が少なくなってしまいますので、免疫力がさらに低下して感染症にかかるリスクが上がります。

骨髄抑制の副作用が出ても、自覚症状は特にありませんので、知らないうちに細菌に感染して、急に肺炎を発症することもあります。特に冬場は人ごみを避けるなどして、感染には十分気をつけることが大切です。

肺がんの手術後の喫煙は厳禁

手術をして肺がんが根治したとしても、お酒は適切な量であれば大丈夫ですが、喫煙は絶対にやめましょう

そもそも、肺がんで手術を受ける際は、喫煙者は手術前から必ず禁煙するよう医師に指示されます。これは、喫煙者では、手術前にタバコを吸わない期間が長ければ長いほど、肺炎などの術後の合併症のリスクが低くなることがわかっているからです。

禁煙しないと手術を受けられないことが多いので、どんなにヘビースモーカーだった人でも手術前から術後(退院)までの間は禁煙できることになります。しかし退院後、ずっと我慢していたタバコをどうしても吸いたくなって、再開してしまう人が多いのもまた事実です。

喫煙を再開してしまうと、当然ながら肺がんの再発リスクも上がってしまいますし、痰も絡みやすくなるため、肺にとってはよくないことだらけです。どうしても自力でやめるのが難しい方は、保険適用で禁煙治療を受けることもできますので、ぜひ担当医に相談してみてください。

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