胃がんの治療法~標準治療から最新治療まで~

胃がんの治療法

胃がんの代表的な治療法は下記です。

  • 外科療法
  • 内視鏡療法
  • 化学療法
  • 放射線療法

胃がんの治療では、外科療法・化学療法・放射線療法を行いますが、外科療法が特に重要となります。胃がんは抗がん剤や放射線があまり効かないという特徴があるため、手術でがん組織を取り除くことが、もっとも重要なのです。

日本人は胃がんになりやすい民族(毎年約13万人が罹患する)で、臨床経験が豊富なため、医療技術は向上しやすいです。

胃がんの外科療法

胃がんの外科療法には、胃をすべて切除する胃全摘術、胃の下部(幽門部)を切除する幽門側切除術、胃の上部(噴門側)を切除する噴門側切除術があります。

どの外科療法を行うかは、がんのできた部位によって異なります。

胃全摘術

がんが胃の上部(噴門側)にできて進行している場合や、胃の下部にできたがんが上部にまで広がっている場合は、胃をすべて摘出する胃全摘術が行われます。

胃を全部摘出した後は、食道と十二指腸を直接つなげる再建法(ルーワイ法)がとられます。

幽門側切除術

胃の下部(幽門側)にがんができた場合は、胃の下部(胃全体の3分の2程度)を切除する幽門側切除術が行われます。

がんの広がり方により、胃の中部~下部と、周辺の脂肪組織、リンパ節を同時に切除します。再発を防ぐために、がんのできた周辺組織も同時に切除します。

噴門側切除術

胃の上部(噴門側)にがんができた場合は、胃の上部(胃全体の3分の1程度)だけを切除する噴門側切除術が行われます。

しかし胃の上部を切除し胃の下部だけを残すと、胃酸が食道に逆流し逆流性食道炎になってしまうため、がんが胃の上部にできた場合は胃を全摘する場合が多く、この手術法はあまりとられません。

胃を切除したとしても、胃の周りの臓器(大腸・肝臓・膵臓・十二指腸など)にまでがんが広がっている場合は、胃とともに周りの臓器も切除する拡大手術が行われます。

逆にリンパ節に転移をしておらず早期がんの場合には、できるだけ胃やリンパ節を切除する範囲を少なくして胃の機能を温存する縮小手術が行われます。

再建手術

胃は食物を消化し細かく分解した食物を小腸に送り出すはたらきを持っているため、生きていくうえでかかせない臓器です。

そのため、胃を全部または一部切除した場合でも胃の機能を維持できるように、切除後に、食道と十二指腸をつなげたり、残った胃と十二指腸をつなげたりといった再建法を用いて、食物を消化吸収できるようにします。

つなげ方として、ルーワイ法や、ビルロートI法、ビルロートII法といった方法があります。

手術前よりは消化吸収能力はどうしても低下してしまいますが、食物や食事法を工夫することにより、手術前と同様に口から食事をとることが可能になります。

内視鏡療法

胃がんが極早期に発見された場合には、口から内視鏡(胃カメラ)を挿入しがんを切除する方法がとられることがあります。

メスで開腹しないため患者さんの肉体的負担が少なく回復も早いというメリットがあります。

しかし内視鏡で切除できる範囲は狭い範囲に限られるため、リンパ節転移がない、がんが一番内側の粘膜層に留まっているなど、極早期の場合に限られます。

最近注目されているのがITナイフという内視鏡療法です。

従来の内視鏡療法では、スネアと呼ばれるリング状のワイヤーを内視鏡の先端から出してがん組織を囲み、高周波電流を流してがん組織を焼き切っていました。

最新のITナイフでは内視鏡の先が針状になっており、その針に高周波電流を流してがんを焼き切るため、焼き切る範囲がリングの大きさに左右されないのが特徴です。

胃がんの化学療法(抗がん剤)

胃がんの治療は基本的に手術による切除です。

抗がん剤を使うのは、すでにがんがかなり進行・再発して、手術による治癒が期待できない場合であり、延命のため、あるいは症状を軽くするために行う場合と、手術後の再発予防として行われる場合があります。

手術による治癒が難しい進行・再発の胃がんに対する化学療法

胃がんの増殖には、HER2というタンパク質が関わっていることが明らかになりました。

そのため、初回の化学療法の前にHER2の有無を確認する検査を行います。

胃がんの一次治療においてHER2陽性の場合には、分子標的薬のトラスツズマブを含む化学療法が標準治療となっています

HER2陰性の場合には、トラスツズマブは使用しません。フッ化ピリミジン系薬とプラチナ製剤から1剤ずつ併用します。

最初の化学療法の効果がなくなったり、副作用で継続できなかったり、再発した場合などには、全身状態を考慮しながら、二次治療、三次治療と使用する薬剤を変更し、ステップアップして治療を行います。

胃がんに対する術後補助化学療法

手術によって切除しても腫瘍細胞が残っている可能性があります。

再発を防ぐための術後補助化学療法は有効で、再発しない期間の延長が認められています。

胃がんの放射線療法

胃がんは放射線があまり効かないことや、胃の周囲の臓器が放射線に弱いという特徴があることから、治療を目的として胃がん患者さんへ放射線治療を行うことはあまりありません。

ただし出血を止めたり痛みを緩和したりするために、放射線療法を行うことがあります。

胃がんの治療は、ステージによって異なる

胃がんの治療は、診断時のステージ(病期)によって変わってきます。

それぞれの患者さんの状態にもよりますが、基本的にⅢ期までであれば何らかの手術が選択されることが一般的です。

遠隔転移しているⅣ期だけは、根治のための手術は難しいのですが、そうでない限りは何らかの形で手術を行える点が胃がんの特徴だといえます。

またステージが進行している場合は、術後に再発を防ぐ目的で抗がん剤を使うケースが多く見られます(術後化学療法)。

もっとも早期であるⅠA期の場合は、内視鏡治療の対象になります。

内視鏡治療の適応となるためには、いくつかの条件を満たす必要がありますが、開腹しないためもっともシンプルに済む治療法です。また最近では、Ⅰ期の胃がんに対して腹腔鏡を使う手術も始まりつつあります。

腹部に小さな穴をいくつか開け、そこから腹腔鏡(カメラ)や医療器具を入れて行う手術で、開腹するより患者さんの負担が少ない点がメリットです。

ただしリンパ節郭清(転移が疑われる周辺のリンパ節を切除すること)や、消化管をつなぎ合わせる作業がやや難しいため、胃がんの治療ではまだ問題点も多いとされています。

一方、Ⅳ期の治療は非常に限られており、進行を少しでも遅らせるための化学療法と、つらい症状を緩和させるためのケアが中心となります。また食べ物の通り道を作るためのバイパス手術など、状態に応じた対症療法も行われます。

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