胃がんの予後と5年生存率~医学的な病状の見通し~

2012年の統計によると罹患者数(かかる人)は胃がんが毎年約13万人を超えるのに対し、肺がんは毎年約11万人です。

胃がんは、肺がんと比べて罹患者数が同程度いるにもかかわらず、死亡原因としては肺がんよりも少ないのです(2015年国立がん研究センターがん対策情報センターによる)。

死亡者数でいうと、肺がんは年間約7万人で、胃がんは年間約4.5万人となっています(2016年時点)。つまり、胃がんになったとしても治る方が多いということがわかります。

胃がんは早期発見できれば、約98%が完治可能

胃がんは医療技術の進歩により、進行がんでも治すことができるようになってきています。治療成績も年々向上しています。

イラストのように、がんが粘膜下層までに留まっている早期がんであれば、ほとんどの場合、手術のみで治すことができるようになっています。

がんが固有筋層を越えた進行がんの場合でも、比較的早期の段階では、早期がんと同程度の治療成績となっています。

胃がんの5年生存率

※ 公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計'15」全国がん(成人病)センター協議会加盟施設における5年生存率(2004~2007年診断例)より引用

胃がんの5年生存率は、全がん(全種類のがん)の平均と同じくらいの数値で、平均程度の予後(今後の見通し)のがんであるということがいえます。

ステージI・Ⅱ・Ⅲでは5年生存率は平均程度ですが、ステージⅣでは急激に下がり、状況が厳しくなるという特徴があります。

悪性度の高い胃がん

胃がんができた場所が胃の下部付近であれば、下部だけを切除して胃の一部(上部)を残すことが可能ですが、胃の上部にがんができた場合は、一般的に胃の全摘手術になります。

胃の上部にできたがんは悪性度が高いことが多く、5年生存率は下部にできたがんと比べ、かなり低くなります。

また、胃にできたがんがスキルス胃がんの場合は、表面上はほとんど変化がないにもかかわらず、粘膜内に深く浸潤しており転移しやすいため、発見されたときにはすでに手術ができない状態であるケースが多いです。

胃がん手術後の再発・転移

がんは、手術後も再発や転移のリスクがつきまとう点がやっかいなところです。胃がんも、治療時のステージが進行していればいるほど、再発・転移の可能性は高くなります。

特に胃がんの再発で多いとされるのが腹膜再発(転移)です。手術で胃をすべて摘出したとしても、すでにがん細胞が胃壁を突き抜けてお腹の中にこぼれ落ちていた場合、そこでがんが育ってしまうことがあります。

腹膜再発は、特にスキルス胃がんなどの悪性度の高いがんでよく見られるため、治療後も慎重な観察が必要です。腹膜再発が起こった場合は、検査で見つかるよりも先に腹水がたまる症状で気づくケースが多いといわれています。

また胃がんの手術で胃の一部を残した場合、その残った部分に胃がんが再発することがあります。これは残胃がんと呼ばれるもので、必ずしも前のがんと同じものではなく、新たに発生した別の胃がんであるケースも多い点が特徴です。

そのため胃を残している場合は、治療から年月が経っていても、新たながんの発生に気をつけなくてはいけません。

他には、肝臓や肺などに遠隔転移した状態で再発が見つかることもあります。手術で取り切れなかったがん細胞が、血液やリンパ液の流れに乗って遠くに運ばれたもので、特に分化度の低い胃がんで多くみられます。

遠隔転移してしまうと、基本的に再手術は難しいため、抗がん剤治療などが中心になります。

スキルス胃がんについてもっと詳しく

悪性度の高いスキルス胃がんは、完治が難しいことでよく知られています。

通常は胃の粘膜面に発生する胃がんですが、スキルス胃がんの場合は胃の粘膜表面にはあまり変化が起きず、胃の粘膜の下を這うように広がっていくのが特徴です。

通常の胃がんでは、胃の粘膜が荒れるために胃の痛みや胃からの出血など、胃炎や胃潰瘍と似たような症状が出てきます。

そのため、そのような体の不調から早期発見に結びつきやすいのですが、スキルス胃がんは胃の粘膜の下で広がっていくがんであるため、胃の粘膜がほとんど荒れず、初期の段階では自覚症状がほとんどないのが特徴です。

症状が進むにつれて、食欲不振や胃もたれ、下痢、体重の減少などがみられるものの、ただの体調不良だろうと見過ごされてしまうことも少なくありません。

そのため、スキルス胃がんについては早期発見が難しく、見つかったときには、かなりがんが進行しているために、手術ができないということが多くみられます。

スキルス胃がんは、胃がん全体のうちの約10%を占め、若い女性に多くみられるため、注意が必要です。

スキルス胃がんの治療法と予後

スキルス胃がんでは、外科手術と化学治療(抗がん剤治療)、放射線療法の3つを組み合わせてがんの進行度に合わせた治療を行います。

他の臓器に転移がなく、がんがステージⅠ~Ⅱ期の場合は外科手術による根治治療を行いますが、他の臓器に転移が進んでいる場合は、外科手術は難しく、化学療法が主な治療法となります。

ただし、スキルス胃がんは抗がん剤が効きにくいという特徴があるため、ステージⅢ以降の治療はかなり困難となります。

仮に早期発見ができて外科手術を行えたとしても、決して安心とはいえず、定期的に検診を受けて術後の経過を注意深く見守る必要があります。

がん保険の資料請求ランキング
(5月集計)をご紹介

  • チューリッヒ生命
  • メットライフ生命
  • メディカルノート
  • メディカルノート 医療相談
本サービスにおける情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、必ず適切な医療機関を受診して下さい。
本サービス上の情報や利用に関して発生した損害等に関して、弊社は一切の責任を負いかねます。