肝臓がんの末期(ステージ4)の状態

肝臓がんのステージ4は、他の多くのがんと異なり、遠隔転移の有無だけで診断されません。腫瘍の個数や大きさ、血管やリンパ節転移の有無などのさまざまな情報を総合したうえで診断されることになります。

肝臓は、沈黙の臓器と呼ばれるほど症状が出にくい臓器ですが、ステージ4まで進行すると肝機能が著しく低下し、食欲不振や倦怠感、体重減少、黄疸などのさまざまな症状が現れます。肝臓がんのステージ4の状態について、詳しく解説していきます。

肝臓がんのステージ4とはどのような状態か

日本肝癌研究会編の臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約によると、肝臓がんのステージ4とは以下のような状態を指します。

ⅣA期

リンパ節転移はあるが、遠隔転移はない。

もしくは、下記のいずれも満たさない場合

  • 腫瘍が1つに限られる
  • 腫瘍の大きさが2㎝以下
  • 脈管(門脈・静脈・胆管)に広がっていない

ⅣB期

遠隔転移がある

※がん情報サービス「肝臓がんの病期(ステージ)分類」参照

このように、肝臓がんのステージ4にはⅣA期とⅣB期の2つがあります。

多くのがんでは、遠隔転移している段階をステージ4としますが、肝臓がんでは遠隔転移がなくても、リンパ節転移のある場合や、腫瘍の数が2個以上の場合はステージ4となる点が特徴です。

さらに肝臓がんの場合、肝障害度分類という別の分類も重視されます。こちらは、肝臓がどれぐらいダメージを受けているかによって、A・B・Cの3段階に分けるもので、これによっても治療法が変わってきます。

肝臓がんのステージ4の症状

非常に丈夫で症状の出にくい肝臓ですが、がんがステージ4まで進行するといろいろな症状が出るようになります。

食欲不振・体重減少・全身倦怠感など

肝臓がんは他の多くのがんと違い、肝炎ウイルスへの感染から急性肝炎、慢性肝炎、そして肝硬変を経て発症するケースが多い病気です。肝硬変による症状として、食欲不振や倦怠感、体重減少などがよくみられます。

黄疸

腫瘍によって、胆汁の通り道である胆管がふさがれてしまうと、白目や皮膚が黄色っぽくなる黄疸という症状が出るようになります。

右上腹部痛・しこり

肝臓は右上腹部に位置していますので、がんが進行すると痛みが出たり、硬いしこりに触れたりすることもあります。

腹部膨満感

肝臓がんが進行すると、おなかに腹水が溜まり、妊婦さんのようにお腹がパンパンに膨れ上がることもあります。

吐血や下血

肝臓がんによって、肝臓に血液を送る門脈という血管の流れがとどこおると、食道や胃などの静脈が腫れて静脈瘤を形成することがあります。これが破裂してしまうと、大量の吐血や下血が起こり、命の危険に及ぶこともあります。

転移先の症状

肝臓がんでは、同じ肝臓の中にがんが増える肝内転移が多くみられるのですが、かなり末期の段階になると、他のがんと同じく別の臓器に転移することもあります。もっとも多いのは肺転移で、この場合はしつこい咳や胸痛、血痰、呼吸困難などの症状が現れます。

その他、骨転移した場合は痛みや骨折、脳転移した場合はめまいや吐き気、言語障害など、転移先によってさまざまな症状が出ます。

ステージ4の肝臓がんの生存率

肝臓がんは突然発症するものではなく、肝炎ウイルスへの感染から数十年かけてじわじわと進行した結果に起こる病気であるため、がん化した時点でかなり深刻な状況といえます。

特にステージ4の予後は非常に厳しく、全国がんセンター協議会の生存率共同調査(20184月集計)によると、5年生存率はわずか1.9%という数値です。肝臓がんの場合、Ⅰ期であっても5年生存率は59.6%となっているので、早期発見できた場合でも治癒できる確率は低いことがわかります。

肝臓は代謝や解毒をおこなう、体内でも非常に重要な臓器のため、肝機能の低下は生命の危機に直結してしまうのです。

ステージ4の肝臓がんの治療法

肝臓がんの治療法は、ステージだけではなく、A・B・Cの肝障害度も合わせて考慮されます。たとえば、腫瘍が複数あっても肝障害度がそれほど悪くない(AもしくはB)場合は、肝切除や焼灼療法、塞栓療法などの治療を行なうことが一般的です。

肝臓がんの場合、手術のほかにも外科的にアプローチできる方法がいくつかあるため、それぞれの状態に応じた最適な方法で腫瘍を攻撃します。一方、肝障害度がCになると、局所療法を行なうことはできません。無理に治療を行なうと、肝臓の機能がますます低下して生命が危険にさらされるからです。

肝障害度Cの場合の治療の選択肢は、基本的に緩和ケアもしくは肝移植の2つとなります。肝移植とは、ドナーから肝臓の一部を分けてもらう治療のことで、成功すれば完治できる可能性があります。肝臓がんで肝移植を受けるには、がんの遠隔転移や血管侵襲がみられず、5cm以下の腫瘍が1個または腫瘍の数が3個までで、サイズは3cm以内がスタンダードな基準です。これに当てはまらない場合は、痛み止めや対症療法を中心とした緩和ケアが検討されます。

このように、肝臓がんの治療法はステージだけではなく、肝臓の機能がどれだけ残っているかが非常に重要となります。

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