肝臓がんのステージ・病気の進み方・悪化の仕方

肝臓がんのステージ・進行度

肝臓にできる悪性腫瘍のうち、肝臓以外に発生した悪性腫瘍が肝臓に転移したものを転移性肝がんといいます。転移性肝がんは原発性肝がんの約20倍の頻度といわれています。

転移性肝臓がんの場合は、他の臓器にできたがんが肝臓に転移してきたもので、大腸・胃・膵臓(すいぞう)・子宮・肺・乳房・胆嚢(たんのう)から転移してくる場合が多いです。転移性肝がんの経過は転移の程度・もともとの癌の種類・病理学的特徴などによりさまざまです。一般的に転移性肝臓がんの治療は困難ですが、一部の大腸がんでは外科治療を含む集学的治療により延命可能な場合もあります。

原発性肝臓がんの場合は、ほとんどがB型やC型といった肝炎ウイルスが原因となっているので、肝臓がんになる前に、慢性肝炎から肝硬変という流れを経て肝臓がんにまで進展することが多いです。また、肝臓には胃・小腸・大腸といった消化器官につながる門脈という太い血管が通っているので、その血管を通り他の臓器に転移したり、血管内に腫瘍が進展したりすることがあります。

進行がんの場合には門脈の中ががんの腫瘍で塞がります(門脈腫瘍栓)。門脈腫瘍栓や肝硬変により門脈から肝臓に血液が流れにくくなると、食道・胃・肛門などの血管に血液がうっ滞して膨らみ(静脈瘤)、突然血管が破裂・出血し、吐血や下血などの症状がでることがあります。

肝臓にできたがんがどのステージにあるかによって治療法が異なるので、肝臓がんを根治させるためにも、またQOL(生活の質)を維持するためにも、肝臓がんのステージ分類は非常に重要です。

肝臓がんのステージ(進行度)は、がんの個数・大きさ・広がりにより、下記のように分類されます。

(1) がんが1個である

(2) がんの直径が2cm以下である

(3) がんが血管浸潤していない(がんが肝臓内の血管や胆管に入り込むこと)

肝臓がんのステージはI~IV期に分けられ、リンパ節に転移をしているとステージIII、他の臓器に転移しているとステージIVに分類されます。

肝臓がんの治療方針は上記のステージ分類以外に、肝機能の状態や腹水(ふくすい)の有無も考慮した日本肝臓学会が作成した診療ガイドラインがあります。

肝臓がんの肝障害度分類

肝臓がんにおいては、ステージ(病期)のほかに、肝機能がどれだけ保たれているかも非常に重要な情報です。これを、肝予備能や肝障害度などといい、ステージと共に治療方針の決定に大きく役立てられています。

よく活用されている分類としては、肝障害度分類とChild-Pugh分類があります。いずれも腹水の有無や、血中のビリルビンおよびアルブミンの数値などをもとに、肝機能をA~Cの3段階に分けたものです。Aのほうが肝機能はよく、Cのほうが不良ということになります。

肝臓は再生能力の高い臓器であるため、肝機能が十分に保たれている場合は、手術でかなり大きく切除してもいずれは元通りの大きさまで戻ります。しかし、肝機能が悪くなっている場合、無理に切除してしまうと逆に生存期間を縮めることになりかねません。それだけ肝臓は、生命活動に直結した重要な臓器なのです。

ですから、肝臓がんがみつかった場合は、ステージと共に肝障害度を必ず調べ、手術が可能かどうか、またどれくらいの範囲を切除できるかなどを判断する必要があります。一般的に手術ができるのは肝障害度がBまでの場合で、Cと判断された場合は手術を行わず、緩和ケアか肝移植が検討されます。

肝臓がんの治療計画に影響を与える肝機能分類

肝臓の機能がどれだけ保たれているかを表す肝障害度の評価は、肝臓がんの治療法を決めるうえで重要な役割を担います。肝障害度を知ることで、肝臓がんの患者さんがどの程度まで治療に耐えられるのかを予測することができるからです。

肝障害度は、下記のようにA、B、Cの3つの段階に分けることができます。Aが肝機能の障害度が一番軽く、Cが一番重くなります。

肝障害度分類

ICG R15:ICG(インドシアニン・グリーン)負荷試験値。肝機能を測定するための検査の値

日本肝癌研究会編:臨床・原理 原発性肝癌取扱い規約 第6版補訂版.2015年:p.15より引用

肝機能の障害度は、Child-Pugh分類を用いて表されることもあります。Child-Pugh分類は、欧米で広く使用されている分類方法です。

Child-Pugh分類

※ 「治療計画に影響与える肝機能分類」を参考に作成

Child-Pugh分類では、肝性脳症、腹水血清総ビリルビン値、血清アルブミン、プロトロンビン活性値の5項目それぞれのポイントを加算して合計点で肝臓の障害度を評価します。ポイントの合計が5~6点ならA、7~9点ならB、10~15点になるとCと評価されます。Child-Pugh分類においても、肝機能の障害度が一番軽いのがAで、肝機能障害度が一番重いのがCです。

肝障害度が一番軽いAの場合、安全に肝臓を切除することができますが、Bになると肝機能が低下しているため、手術で肝臓を大きく切除することにはリスクが伴います。そのため、肝機能障害度がBと評価された患者さんは肝臓を少ししか切除することができません。手術で肝臓を切除できるのはBまでで、肝機能障害度がCと評価された場合は、切除は不可能となり、緩和ケアか肝移植を検討する必要があります。

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