肝臓がんの治療法~標準治療から最新治療まで~

肝臓がんの治療法

肝臓がんの代表的な治療法は下記です。

  • 外科療法
  • 局所療法(エタノール注入療法やラジオ波焼灼療法など)
  • 肝動脈塞栓術

肝臓がんの治療法では、外科療法・局所療法(エタノール注入療法やラジオ波焼灼療法など)・肝動脈塞栓術が治療の基本となります。

肝臓は生命維持のために重要な役割を担っているため、肝臓がんの進行度や肝機能の低下度合をみて、慎重に治療法を決定します。

肝臓がんの外科療法

肝臓がんを根治させるためには、がんの腫瘍を完全に切除することが重要です。しかし、肝臓にはたくさんの血液が蓄えられており、慢性肝炎や肝硬変を併発している場合が多いため、切除範囲を限定して手術を行います。腹水(ふくすい)などの合併症がなく慢性肝炎や肝硬変がない場合は、肝臓は再生能力が非常に高いため、肝臓の約70%までは切除可能です。

肝臓がんの場合は、周囲のリンパ節への転移はほとんどありませんので、他のがんの外科手術で行われるリンパ節郭清(切除)は通常行われません。また、従来肝臓がんの外科療法では開腹してがんを切除する治療法が一般的でしたが、近年お腹に4~5か所小さな穴をあけ、カメラを挿入してモニターを見ながら手術を行う腹腔鏡手術も行われています。

肝臓がんの局所療法

局所療法とは、メスでお腹を開腹する外科療法とは異なり、皮膚の上からがんの病巣部位に直接長い針を刺し治療します。

がんの病巣部位に限定して局所的に治療するので、患者さんの肉体的負担が少なく、回復も早いというメリットがあります。しかしその反面、完全にがんを取り去ることは難しく、再発の危険性が伴います。

肝臓がんの局所療法には、下記の種類があります。

  • エタノール注入療法(PEI)
  • マイクロ波凝固術(MCT)
  • ラジオ波焼灼術(RFA)

エタノール注入療法(PEI)では、がんに血液を運んでいる動脈に針を挿し、その先端からエタノールを注入することで、がん細胞を壊死させます。がんの直径が2~3cm以下で3個以下の場合に用いられます。

マイクロ波凝固術(MCT)では、がんの腫瘍に電極を差し込み、先端からマイクロ波(電子レンジと同じ電波)を照射して、がんを加熱し凝固・壊死させます。がんの直径が1~2cm以下で1個の場合に用いられます。

ラジオ波焼灼術(RFA)では、がんの腫瘍に電極を差し込み、先端からラジオ波(AMラジオと同じ電波)を照射して、がんを焼き切ります。がんの直径が3cm以内の腫瘍が3個以内、5cm以下の腫瘍が1個の場合に用いられます。

肝動脈塞栓術

肝臓には肝動脈と門脈と呼ばれる2つの大きな血管が通っています。肝臓の細胞は肝動脈と門脈の栄養で養われていますが、がん細胞は肝動脈の栄養だけで養われています。

肝動塞栓術ではこの特徴を利用して、肝動脈の内部に小さなゼラチンスポンジを詰めて血流を遮断し、がん細胞への栄養供給源を断つことで、がん細胞を死滅させます。肝動脈が塞がれたとしても正常な肝臓の細胞は門脈により栄養を供給されるので、がん細胞だけが死滅し正常な細胞は生き残ります。

ただし肝動塞栓術では、大きながんには効果的ですが、小さながんには効果が少ない場合もあり、根治させることは難しい治療法です。そのため、外科療法や局所療法などと組み合わせて用いられることが一般的です。

その他の肝臓がんの治療法

放射線療法

肝臓がんは放射線に弱い臓器であるため、あまり放射線療法は行われていませんが、近年放射線療法の一種である陽子線治療や重粒子治療が効果的であることがわかっています。

動注療法(化学療法)

動注療法では、肝臓にできたがんを養っている肝動脈に直接抗がん剤を注入することで、一般的な点滴による抗がん剤治療よりも直接的にがんを縮小させることができ、副作用も抑えることができます。

ただし動注療法では根治は難しいので、がんがかなり進行していて他の治療法が難しい場合に限られます。

肝移植

肝臓がんの場合は慢性肝炎や肝硬変を併発している場合が多く、肝機能が著しく低下している場合があります。治療をしても効果が見込めない場合や、生命を維持することが困難な場合には、ドナーに肝臓の全部または一部を提供してもらい、他人の肝臓を移植する肝移植の方法がとられることがあります。

肝臓がんの治療法は、肝障害度によって決まる

肝臓がんの治療法は、患者さん1人ひとりのステージ(病期)や、肝機能によって異なります。特に肝機能がどれだけ保たれているかは、治療方針を決めるうえで非常に重要な情報です。肝臓がんの治療ガイドライン(日本肝臓学会)によれば、肝障害度がAもしくはBで、腫瘍数が1個の場合、肝切除および局所療法が選択されます。

腫瘍の数が増えれば増えるほど、またサイズが大きくなるほど局所療法が難しくなるため、肝動脈塞栓術が選択されるケースが多くなります。また手術も、肝障害度が低いほど大きく切除できますし、肝障害度が高いほど切除範囲は狭くなることが一般的です。

肝臓は生命を維持するために欠かせない臓器であるため、残った機能をしっかりと判断しながら、体に異常のない治療法を考える必要があります。また肝障害度がCになると、基本的に切除はできず、緩和ケアもしくは肝移植が検討されます。

肝移植も、腫瘍が1個の場合は5センチ以下、多発では3個以下でそれぞれ3センチ以内の場合が目安となっており(ミラノ基準)、それを越えた場合には推奨されていません。さらに患者さんの年齢や体力なども考慮した上で、肝臓がんの治療法は決定されます。

いずれにしても肝機能が極度に低下する前に治療できることが最善ですので、肝臓がんの原因となる肝炎ウイルスの検査は受けておくとよいでしょう。

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