肝臓がんの予後と5年生存率~医学的な病状の見通し~

肝臓がんの予後

肝臓がんは、他の臓器から転移してきた転移性肝臓がんと、肝臓の細胞そのものからがんが発生した原発性肝臓がんに分けられます。一般的に転移性肝臓がんは予後(病状の見通し)が悪い傾向にあり、原発性肝臓がんは転移性肝臓がんと比較して予後良好です。

原発性肝臓がんは肝細胞が癌化した肝細胞がんが多くを占めています。(一般的には肝臓がんは肝細胞がんのことを指す場合が多いので、特に断りのない限り、以下肝細胞がんのことを肝臓がんと呼びます。)

肝臓がんはがんの中でも再発の可能性が高いがんであり、外科手術により肝臓にできたがんを完全に切除したとしても、5年間で70〜80%が再発しています。肝臓がんは、肝炎ウイルス(B型、C型)による慢性肝炎から肝硬変、そして肝硬変から肝臓がんへと発展するケースが多く、がんを完全に切除したとしても、残った肝臓はすでに肝硬変の状態であり、すぐに新たな肝細胞がんが発生してしまうことが原因のひとつとして考えられます。

転移性肝臓がんの場合は、がんが発生したもともとの臓器(原発巣)の治療状況や他の臓器への転移の有無などが予後を左右します。肝臓にできたがんが大腸からの転移であれば予後は比較的良好ですが、膵臓や肺からの転移であれば、ほとんどの場合手術が困難であり予後が悪くなります。

肝臓がんの5年生存率

公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計'17」全国がん(成人病)センター協議会加盟施設における5年生存率(2007~2009年診断例)より引用

※ ステージとは、「がんの進行度合」という意味です。

※ 5年実測生存率とは、「がんの治療を始めた人の中で5年後に生存している人の割合」という意味です。

※ 5年相対生存率とは、 「がんの人とがんではない性別と年齢が同じ人の5年後の生存率を比べた割合」という意味です。

肝臓がんの5年生存率は、全がん(全種類のがん)の平均よりもすべてのステージで下回っているので、平均よりは予後(今後の見通し)が悪いがんであるということがいえます。ステージIでは5年生存率が50%程度ですが、ステージⅡになると約32%と大きく下がり、ステージⅣでは2%を切っています。

日本において、肝臓がんは死亡原因となるがんの3位です。肝臓は、沈黙の臓器と呼ばれていますが、それは初期の頃はほとんど症状が現れず、ある程度進行してから発見されることが多いためです。そのため、肝臓がんの治療後も再発の可能性を常に考え、定期的に検査を受けることが必要です。

肝臓がんの再発

肝臓がんは、前述したとおり再発率の非常に高いがんです。肝臓は生命活動に欠かせない臓器のため、すべてを切除できないことが一因と考えられます。また肝臓がんの再発は他の多くのがんと異なり、遠隔転移ではなく局所再発(肝内再発)が多い点が特徴です。転移の場合は、肺や骨、リンパ節の順に多いとされています。

再発した肝臓がんの治療法は、腫瘍のサイズや個数、また肝機能などをもとに決定されますが、肝機能が良好で手術が有効と判断された場合は、再手術が第一選択となります。

しかし、そうでない場合は、やはり治療の手立てが限られてしまうので、再発を早期発見するためにも定期的なフォローアップ検診を受けることが大切です。初回の治療法によっても異なりますが、治療後1年間は月に1度の血液検査(腫瘍マーカー)を、そして3~4か月に1度の超音波検査、ならびにCTやMRIを行うことが望ましいとされています。

また術後に再発を防止する目的で、インターフェロン療法などが行われることもあります。

肝臓がんは他の多くのがんと異なり、ウイルス性の慢性疾患がベースにあるため、再発予防のためにはウイルスを駆除することが重要であるためです。

こうした抗ウイルス療法は、再発予防のみならず肝機能の維持にもつながるとして広く行われています。

インターフェロン療法とは

がんの中でも再発率の高い肝臓がんですが、再発を予防するために、肝臓がんの術後にインターフェロン療法が行われることがあります。

インターフェロン療法とは、注射によりインターフェロンを注入することによってウイルスや細胞の増殖を抑える治療のことをいいます。(通常、内服薬も併用します。)インターフェロンとは、ウイルスに感染したときに、身体を守るために体内で作られるタンパク質のことです。

肝臓がんの原因のひとつに、B型肝炎やC型肝炎のウイルスに感染することが挙げられますが、インターフェロンにはウイルスの増殖を抑える働きがあるため、インターフェロンによってウイルスの増殖が抑えられれば、がんの再発率は幾分低くなるということになります。

しかし、体内でつくられるインターフェロンの量は微量なので、肝炎ウイルスなどのウイルスの繁殖を抑えるには不十分です。そのため、人工的にインターフェロンをつくって、それを体外から注入することで、ウイルスや細胞の繁殖を抑えてがんの再発を予防するのが、インターフェロン療法です。

デメリットもあるインターフェロン療法

ウイルスや細胞の増殖を抑える作用が期待できるインターフェロン療法ですが、デメリットもあります。それは、強い副作用を伴うことが多いという点、そして、費用が高いという点です。

インターフェロン療法の副作用

インターフェロン療法の副作用の表われ方には個人差がありますが、次のような副作用がみられることがあります。

  • 貧血とそれに伴う頭痛、めまい、動悸、息切れなどの症状
  • 発熱や関節痛、筋肉痛などのインフルエンザのような症状
  • 食欲不振や吐き気、腹痛、下痢などの消化器系の不調
  • やる気が出ない、気分が落ち込む、不眠、不安などのうつ症状
  • 脱毛症状(一時的なもので、治療が終われば元に戻ります。)

インターフェロン療法の治療費

インターフェロン療法は、治療費が高額です。基本的には入院で治療を開始しますが、副作用が強くなければ外来で通院することになります。治療費については、注入するインターフェロンの量などによっても変わってきます高額療養費制度や肝炎治療費助成制度の対象になるか確認しておきましょう。

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