咽頭がんのステージ・病気の進み方・悪化の仕方

咽頭がんの進行

咽頭がんは初期症状が出にくく、診断された時点で進行がんとなっていることが多いがんです。なかでも下咽頭がんはがんがまだ小さい初期の段階から周囲の組織に転移することが多く、70~80%が進行がんの状態で見つかるとされます。

咽頭にがんができると頸部のリンパ節に転移したり、咽頭から周囲の臓器を侵しながらがんが広がっていきます。がんがさらに進行すると、肺や骨、肝臓などの遠い臓器や組織に転移することもあります。

また、咽頭がんの患者さんは、食道がんや口腔がんを併発していることがあります。これは転移ではなく、別のがんが見つかることを指します。

咽頭がんは喫煙と飲酒が危険因子となりますが、食道がんや口腔がんでも同じ危険因子をもっているため、特に併発しやすいのです。

咽頭がんのステージ・進行度

咽頭がんのステージ(進行度)は、がんの広がり・転移の有無により、下記のように分類されます。咽頭がんのステージは一般的にTMM分類と呼ばれる分類法が使われ、ステージ0~IV期に分けられます。Tは原発巣(咽頭に生じたがん)の大きさや広がり、Nは首のリンパ節の転移の程度、Mはその他の臓器(肺、骨、肝など)への転移の有無を指します。

ステージによって、治療の選択や予後の見通しが変わります。また、上咽頭がん・中咽頭がん・下咽頭がんで分類法が異なります。

上咽頭がんのステ

   

Tis         

上皮内がん(がんが上皮内にとどまっている)

T1          

がんが上咽頭にとどまっている、または中咽頭および/または鼻腔進展する

T2

がんが傍咽頭間隙上咽頭後外側のスペス)に進展する、および/または内側翼突筋外側翼突筋しゃくにわる筋肉)および/または椎前筋表面筋肉)に浸潤する

T3

がんが頭蓋底骨構造頭蓋骨底部)、頸椎)、翼状突起上咽頭外後方)、および/または副鼻腔浸潤する

T4

がんが頭蓋内進展する、および/または脳神経下咽頭眼窩眼球のあるスペス)、耳下腺浸潤する、および/または外側翼突筋外側表面をこえて浸潤する

N0

頸部リンパ節転移がない

N1

輪状軟骨喉仏のやや下方軟骨)の尾側縁より上方の、一側頸部リンパ節転移および/または一側/両側咽頭後リンパ節転移上咽頭後外側のリンパ)で最大径が6cm以下

N2

輪状軟骨の尾側縁より上方の両側頸部リンパ節転移で最大径が6cm以下

N3

最大径が6cmをこえる頸部リンパ節転移、および/または輪状軟骨の尾側縁より下方に進展

M0

遠隔転移がない

M1

遠隔転移がある

ステージ

ステージ0     Tis N0 M0

ステージI     T1 N0 M0

ステージII     T1 N1 M0、 T2 N0-1 M0

ステージIII    T1-2 N2 M0、 T3 N0-2 M0

ステージIVA    T4 N0-2 M0、 Tに関係なく N3 M0

ステージIVB    Tに関係なく Nに関係なく M1

中咽頭がんのステージ

近年、中咽頭がんの原因の一つとして、ヒトパピローマウイルス(HPV)が同定され、HPV陽性の中咽頭がんはHPV陰性の中咽頭がんに比べて予後がよいことが知られるようになっています。このため、中咽頭がんのTNM分類はパピローマウイルス陽性・陰性により異なります。

HPV陰性あるいはHPVの検査をしていない中咽頭がん

   

Tis         

上皮内がん(がんが上皮内にとどまっている)

T1          

がんの最大径が2cm以下

T2

がんの最大径が2cmをこえるが4cm以下

T3

がんの最大径が4cmをこえる、または喉頭蓋舌面気管食道をわける蓋状構造物)へ進展する

T4a

がんがのいずれかに浸潤する:喉頭舌深層筋肉/外舌筋かす筋肉)、内側翼突筋しゃくにわる筋肉)、硬口蓋天井部分)、または下顎骨

T4b

がんがのいずれかに浸潤する:外側翼突筋咀嚼筋のひとつ)、翼状突起上咽頭外後方)、上咽頭側壁頭蓋底頭蓋骨底面)、または頸動脈全周性

N0

頸部リンパ節転移がない

N1

がんと同じ側の単発のリンパ節転移で最大径が3cm以下かつ節外浸潤(リンパ節の表面を破ってがん細胞が外に広がる所見)がない

N2

がんと同じ側の単発のリンパ節転移で最大径が3cmをこえるが6cm以下かつ節外浸潤なし

N2b

がんと多発のリンパ節転移最大径が6cm以下かつ節外浸潤なし

N2c

両側またはがんと反対側のリンパ節転移最大径が6cm以下かつ節外浸潤なし

N3a

最大径が6cmをこえるが節外浸潤なし

N3b

臨床的節外浸潤あり(個数わない)

M0

遠隔転移がない

M1

遠隔転移がある

ステージ

ステジ0           Tis N0 M0

ステジI            T1 N0 M0

ステジII           T2 N0 M0

ステジIII          T3 N0 M0、 T1-3 N1 M0

ステジIVA       T1-3 N2 M0、 T4a N0-2 M0

ステジIVB       T4b Nに関係なく M0、 Tに関係なく N3 M0

ステジIVC       Tに関係なく Nに関係なく M1

HPV陽性中咽頭がん

   

Tis         

上皮内がん(がんが上皮内にとどまっている)

T1          

がんの最大径が2cm以下

T2

がんの最大径が2cmをこえるが4cm以下

T3

がんの最大径が4cmをこえる、または喉頭蓋舌面気管食道をわける蓋状構造物)へ進展する

T4

がんがのいずれかに浸潤する:喉頭舌深層筋肉/外舌筋かす筋肉)、内側翼突筋しゃくにわる筋肉)、硬口蓋天井部分)、下顎骨)、外側翼突筋しゃくにわる筋肉)、翼状突起上咽頭外後方)、上咽頭側壁頭蓋底頭蓋骨底面)、または頸動脈全周性

N0

頸部リンパ節転移がない

N1

がんとのリンパ節転移最大径がすべて6cm以下

N2

両側またはがんと反対側のリンパ節転移最大径がすべて6cm以下

N3

最大径が6cmをこえるリンパ節転移

M0

遠隔転移がない

M1

遠隔転移がある

ステージ

ステジ0           Tis N0 M0

ステジI            T1-2 N0-1 M0

ステジII           T1-2 N2 M0、T3 N0-2 M0

ステジIII          T1-3 N3 M0、 T4 Nに関係なく M0

ステジIV          Tに関係なく Nに関係なく M1

下咽頭がんのステージ

   

Tis         

上皮内がん(がんが上皮内にとどまっている)

T1          

がんが下咽頭の1亜部位にとどまっている、および/または最大径が2cm以下

T2

がんが下咽頭の1亜部位をこえるか隣接部位浸潤する、または最大径が2cmをこえるが4cm以下

T3

がんの最大径が4cmをこえる、または片側喉頭固定がある、または食道進展する

T4a

がんがのいずれかに浸潤する:甲状軟骨喉仏)、輪状軟骨喉仏のややにある軟骨)、舌骨喉仏のややにある)、甲状腺気管にある臓器)、食道頸部正中軟部組織喉仏にある脂肪など)

T4b

がんが椎前筋膜筋肉)に浸潤する、頸動脈全周性む、または縦隔心臓などがあるのスペス)に浸潤する

N0

頸部リンパ節転移がない

N1

がんと単発のリンパ節転移最大径が3cm以下かつ節外浸潤(リンパ表面ってがん細胞がる所見)がない

N2a

がんと単発のリンパ節転移最大径が3cmをこえるが6cm以下かつ節外浸潤なし

N2b

がんと多発リンパ節転移最大径が6cm以下かつ節外浸潤なし

N2c

両側またはがんと反対側のリンパ節転移最大径が6cm以下かつ節外浸潤なし

N3a

最大径が6cmをこえるが節外浸潤なし

N3b      

臨床的節外浸潤あり(個数わない)

M0

遠隔転移がない

M1

遠隔転移がある

ステージ

ステジ0           Tis N0 M0

ステジI            T1 N0 M0

ステジII           T2 N0 M0

ステジIII          T3 N0 M0、 T1-3 N1 M0

ステジIVA       T1-3 N2 M0、 T4a N0-2 M0

ステジIVB       T4b Nに関係なく M0、 Tに関係なく N3 M0

ステジIVC       Tに関係なく Nに関係なく M1

咽頭がんでは、ステージI・Ⅱ期を早期がん、ステージIII・IV期を進行がんと呼びます。

上咽頭がんでは解剖学的に手術が困難なこと、放射線が効きやすいことから、基本的には外科手術は行わず、すべてのステージで放射線療法が中心となります。放射線療法の効果を高めるため、全身状態が許せば化学療法を併用するのが一般的です。放射線療法後に残ったリンパ節転移に対しては手術が考慮されます。

中咽頭がん・下咽頭がんでは、早期であれば手術で口腔内からのがんの摘出を行うか、放射線療法を行います。進行がんの手術では、頸部や顎の骨を大きく切ったり、場合により声帯を摘出する必要があり、術後に飲み込みの機能が低下したり、声を出す機能を失ったりすることがあります。手術ではなく放射線療法と化学療法を併用することもありますが、この場合も治療後の飲み込みの機能の低下により、誤嚥(食物を誤って気管・肺へ飲み込むこと)による肺炎のリスクが上昇することなどが問題となります。

咽頭がんが悪化すると

咽頭がんが悪化していくと、飲食物を飲み込むことが困難になるため、普通の食事を摂ることができなくなります。

また、がんが声帯におよぶと声がかすれたり出にくくなり、気管ががんによって塞がれてしまうと呼吸困難を引き起こすこともあります。

咽頭がんが進行していくと併発されやすくなる病のひとつとして肺炎があげられます。

これは咽頭がんが原因でものをスムーズに飲み込むことが困難になり、飲食物が気管に入ってしまう誤嚥を引き起こすからです。

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