膀胱がんの予後と5年生存率~医学的な病状の見通し~

膀胱がんはがんの中でも初期症状が現れやすく、早期に発見されるケースが多いがんです。そのため、がんがすでに進んでしまっているケースは少なく、早期の段階で治療を開始できることが多いので、治療後の予後はよい傾向にあります。ただし、膀胱がんは再発が多いがんでもあるため、治療後も定期的な検査は欠かせません。

 

専門家にインタビューしたより詳しい記事は以下からご覧ください。

膀胱がんの検査について

膀胱がんの治療-手術から膀胱内注入療法まで

膀胱がんの5年生存率

※ 公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計'17」全国がん(成人病)センター協議会加盟施設における5年生存率(2007~2009年診断例)より引用

膀胱がんはステージI期では5年生存率が約85%を超えており、早期の段階で発見すれば、ほとんどの患者さんが治すことができるがんです。

ステージⅢ期以降は5年生存率が急激に下がる傾向にありますが、それでも全体を平均すると約60ので、すべてのがんの中では比較的予後がいがんであるといえます。

膀胱がんの再発率の高さの原因とは

ステージIの膀胱癌は内視鏡的切除(経尿道的膀胱腫瘍切除術)で治療しますが、そのままでは半数以上に再発がみられます。そのため、再発予防のためにBCGや抗がん剤の膀胱内注入療法という治療が行われる場合があります。

再発の原因としては、手術中に癌細胞が膀胱内にばら撒かれ、ほかの場所に付着する、という説と膀胱全体が癌になりやすい性質を持っているため、初めとは別のがんが新たにできる、という2つの説が考えられています。

術後数年間は定期的に受診し、膀胱鏡や尿細胞診等で再発がないかを見て行くことが非常に重要です。再発しても、早期に発見し治療することで生存率を高めることができます。

膀胱全摘出は治療においては最後の選択肢

がんの症状が進み、病巣の深さが筋層にまで達している(ステージII以上)場合は内視鏡的切除では根治できず、膀胱の全摘術という選択肢が選ばれることになります。

表在がん(乳頭がん)については、病巣が深く浸潤していないので、通常は膀胱を全摘出する必要はありませんが、悪性度が高いと診断された場合や、再発を繰り返すうちに悪性度が高まったり、また、病巣が深くまで浸潤するようになったりするタイプのものなどは全摘出を行うことがあります。

膀胱を全摘出すると、尿を溜めておく場所がなくなので、膀胱の代わりとなる尿路変向術も同時に行います。

膀胱の全摘出と同時に行う尿路変向術とは

通常、腎臓でつくられた尿は膀胱で溜められた後、尿道を通って排出されます。膀胱を全摘出する場合は、この流れを変えて、尿が体外へ排出されるようにする必要があります。そのための手術が尿路変更術です。

尿路変向術には、次の5つの方法があります。

尿管皮膚造瘻術

尿路変向術のなかでも一番簡単な方法で、腎臓から出ている尿管を直接腹部の皮膚につないでストーマ(尿の出口)をつくり、そこにパウチ(尿を溜める袋)つける方法です。

回腸導管増設術

腸の一部を切り取ってそれに尿管をつなぎ、切り取った腸の一方は縫合して塞ぎます。もう片方を腹部の皮膚に縫合してそれをストーマにし、そこにパウチをつけます。

尿管S状結腸吻合術

尿管をS状腸とつなぎ、尿は肛門から排泄されるのでQOL(生活の質)向上につながりますが、感染症や逆流の可能性もあるため1950年以降ではあまり行われていません。

導尿型新膀胱造設術

腸の一部を使って袋をつくり、それを膀胱の代わりにするものです。腸の一方はストーマのためにお腹に出します。膀胱の代わりとなるものがあるので、パウチをつける必要はありませんが、尿が溜まったら定期的にストーマから尿を排出させる必要があります。

自排尿型新膀胱増設術

導尿型新膀胱造設術と同じく、腸の一部を使って袋をつくり、それを膀胱の代わりにします。そして、尿管や尿道をその袋につないで、通常と同じように尿道から尿を排出するようにします。

ただし、この方法では尿意を感じることはないので、コツをつかむまでは尿失禁を伴うことがあります。

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