食べ物とがんの関係性

がんの大きな原因は生活習慣といわれますが、そのなかでも喫煙・飲酒と並んで重要なのが食事です。実際、国内外の多くの研究機関が、食べ物とがんの関係についてさまざまなデータを発表しています。特に大腸がんのリスクを上げる食べ物としてよく指摘されているのが、赤肉(牛、豚、羊などの肉)や加工肉です。

一方、日本人に昔から多い胃がんのリスクにおいては、和食に多く含まれる塩分が大きくかかわることが指摘されています。このように、がんのなかには特定の食べ物と関わりの深いものがあります。どんな食べ物ががんの原因になりうるのかについて、解説します。

 

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肉は大腸がんの原因になるのか

がんの原因になる食べ物として、よく話題になるのが「食肉」です。

2015年10月にも、国際がん研究機関(IARC)が、「加工肉と赤肉(牛、豚、羊などの肉)には発がん性がある」と発表したことが大きなニュースになり、国内外で賛否両論が巻き起こっています。

特に、加工肉と赤身肉が原因になるがんとしてよく指摘されているのは「大腸がん」です。実際、世界でも大腸がんの罹患率が高いニュージーランドは、牛肉の消費量が多い国でもあります。

他にも北アメリカやヨーロッパの一部など、肉食の多い国は大腸がん罹患率が高い傾向にあります。一方、宗教的な意味合いから牛肉の消費量が少ないインドやタイは、大腸がんの罹患率が他国に比べて非常に低いこともわかっています。

肉類が大腸がんの原因になる理由は、いくつか考えられます。

発がん性物質であるニトロソアミンは、たんぱく質と、発色剤によく使われる亜硝酸が反応して作られるため、ハムやベーコンなどの加工肉は特に発がんリスクが高いと考えられています。

また、動物性脂肪の摂取は、発がんを促進させる「二次胆汁酸」の生成を高めることが知られています。

さらに、肉類ばかり食べていると悪玉菌が増えて腸内バランスが崩れやすいことも一因と指摘されています。

とはいえ、肉類にはヘム鉄やたんぱく質など、血肉を作る上で重要な栄養素がたくさん含まれていることも事実です。

特に赤身肉には鉄分や亜鉛などのミネラルやビタミンB12などが豊富に含まれており、栄養的なメリットもあります。

したがって、あまり神経質になる必要はありませんが、赤身肉は適量を摂取し、加工肉(ベーコン、ソーセージ、サラミ、ハムなど)を毎日食べる習慣のある人は少し控え目にされることをおすすめします。

 

乳製品は乳がんや前立腺がんの原因になるのか

牛乳やバター、チーズなどの乳製品も、欧米型の食事に使われる代表的な食材です。乳製品は男性の前立腺がんのリスクを上げるという研究報告が多数あります。

実際、どちらも昔の日本人には少ないがんでしたが、食生活の欧米化にともなって急増しているのです。

国立がん研究センターの予防研究グループも、乳製品と前立腺がんの関連性について認める発表をしています。

調査の結果、乳製品の摂取量がもっとも多いグループの前立腺がんリスクは、もっとも少ないグループのおよそ1.5倍になったとのことです。

乳製品が前立腺がんを引き起こす理由としては、「カルシウムの多量摂取によって、前立腺がんのリスクを下げるビタミンDの血中濃度が下がること」、また「牛乳には、がんのリスクを高めるインスリン様成長因子が含まれていること」などがよく指摘されています。

乳製品を適度にとる分にはカルシウムも摂取できますし、ヨーグルトなどは腸内細菌のバランスも保ってくれます。

乳製品の摂取が、骨粗鬆症、高血圧、大腸がんといった病気に予防的であるという報告も多くあります。

したがって、乳製品の摂取については、総合的な判断が必要だと考えられます。

食生活を全体的に見直し、偏りがないかどうかをチェックすることが大切です。

塩分の多い食べ物は胃がんの原因になるのか

日本人に多い胃がんの原因として、よく指摘されているのが塩分量の多い食事です。

和食はバランスに優れ、ヘルシーであるとして世界中でブームになっていますが、一方で、塩分が多い点がデメリットであるといわれます。

塩分のとりすぎは胃壁にダメージを与え胃炎が発生しますので、それだけ胃が発がん性物質の影響を受けやすくなります。

国立がん研究センターの予防研究グループの調査でも、特に男性において、食塩の摂取量が多いグループほど、胃がんリスクが高まるという結果が出ています。

なかでも特にリスクが高かった食材は、いくらや塩辛、練りうになどの塩蔵加工品です。これらは塩分量の多さに加え、加工の段階で食品添加物が多く使われていることも一因ではないかと考えられています。

健康的な和食生活を送るためにも、塩分摂取量には気を付けましょう。

「こげを食べるとがんになる」は本当か

食べ物でがんになるといえば、焼きすぎによる「こげ」も有名です。

こげには「ヘテロサイクリックアミン類」という発がん性物質が含まれることがわかっています。

ただし、この発がん性物質は、動物性たんぱく質を焼くことで生じるため、肉や魚のこげが対象となります。ごはんや麺類などの炭水化物や、野菜のこげは問題ありません。

また、こげに含まれる発がん性物質は非常に微量です。ですから普段、口にする分にはそこまで大きな問題はないといえるでしょう。

このように、がんの原因になるといわれている食べ物はいくつかあります。世間では常に、特定の食べ物がブームになったり非難されたりしていますが、大切なことはやはり食事全体のバランスです。

どんなに体によい物でも食べ過ぎれば毒になりえますし、がんの原因になるといわれるものでも、重要な栄養素を含んでいる可能性があります。

上記に紹介したような食べ物を、日常的に食べ過ぎていないかどうかを見直し、気を付けていきましょう。

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