がんの進行度でステージ5はあるのか

がんでステージⅤの診断を受けた、という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。しかし、がんのステージ分類はⅣまでとなっているため、ステージⅤというのは存在しません。ステージⅤの診断を受けたと思っている方の多くは、細胞診によるクラスⅤと混同していると考えられます。ここではがんのステージ分類について詳しくご紹介します。

がんのステージ分類とは

がんが見つかったときには、治療方針を立てるためにもさまざまな方法でがんの進行具合や状態を調べる必要があります。

なかでも有名なのは、ステージ分類です。がんの種類によって分類の仕方は異なりますが、たとえば大腸がんの場合、以下のようなステージ分類が多く用いられています。

※国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がんの病期(ステージ)」参照

実際のステージは手術をしてみないとわからないこともありますが、適切な切除範囲を決めるためにも、術前にエコーやCT、MRIなどの画像検査の結果をもとにおおよそのステージを決定します。

ステージ分類でもっとも進行が進んでいる段階が、ステージⅣです。この段階では、血液やリンパの流れに乗ってがん細胞が遠くまで運ばれ、そこで腫瘍を形成する遠隔転移を起こしているため、治療は困難な場合が多いです。

どのがんにおいても、ステージⅣでは基本的に外科手術の対象とならず、化学療法を中心とした治療が行なわれることが一般的です。

組織診におけるクラスⅤとは

一方、進行度ではなく細胞の悪性度を調べるために行なわれるのが細胞診という検査です。

細胞診では、病変をブラシでこすったり針で吸引したりして細胞を採取し、それを顕微鏡で見て異型度を確認します。

がん細胞は、正常な細胞と比べて形がいびつだったり、細胞の中心の核がやたらと大きかったりするため、形を観察することでがんの可能性を調べることができるのです。

この細胞診の評価方法としてパパニコロウ分類というものがあり、この分類ではクラスⅠからⅤまでの5段階で評価します。

静岡県立静岡がんセンター「Web版がんよろず相談センター『細胞診の結果クラスⅤといわれたがどういう意味か。』」参照

一般的には、クラスⅠとⅡは陰性、Ⅲは偽陽性、Ⅳ以上を陽性と判断します。このうち、クラスⅤの細胞が見つかった場合はほぼ悪性であると断定できる状態ですので、ほかの検査もおこなって詳しく状況を調べたうえで治療に移ることになります。

ただし、細胞診はあくまで細胞の異型度を調べるための検査ですから、たとえば、ほかの臓器に転移があるかどうかなどの全身状態まではわかりません。

つまり、細胞診でクラスⅣやⅤの結果が出たからといって進行がんであるとは限らないので、混同しないように気をつけましょう。

がんのグレード分類とは

がんの分類法には、もう1つグレード分類というものもあります。グレードとは、がん細胞の悪性度を表すものです。つまり、すでにがんと診断された場合に調べます。

がん細胞は、もとは正常な細胞から変化したもので、本来の細胞の特徴をどれだけ残しているかによって悪性度が変わります。一般的には、本来の細胞の型に近いものほど悪性度が低く、反対に正常な細胞と相違が大きいほど悪性度は高めです。こうした悪性度の高いがん細胞を、未分化・分化度が低いと表現します。

がんの治療を行なうにあたっては、ステージ分類だけではなくグレード分類も重要な情報となります。たとえば、悪性度が高い場合は再発のリスクが高いとみなし、手術後に追加治療を行なうこともあります。グレード分類は、がんの種類によっても異なりますが、以下の4段階で表されることが一般的です。

グレードの数字が大きいほど未分化の細胞が多いため、悪性度が高く予後が悪い傾向がみられます。こちらもステージ分類と混同されやすいのですが、進行度ではなく、いわゆるがんの顔つきを調べる検査ですので、区別して考えるようにしましょう。

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